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第125話 精霊の使命

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静里菜せりなが消えて、この精神世界自体も消失を始めた。
俺の周りの風景が消えていく。
そして何もない漆黒の空間へと変わった。
いや…これは俺が眠りに落ちた時に最初に見た光景と同じ。
つまりこれは元々の俺の夢の世界に戻ったということか?

「ケイガおにいちゃん」

「光の精霊!?
消えなかったのか?」

「わたしは
ケイガおにいちゃんにはなしがあって
ここにのこった。
やみのせいれいが
おにいちゃんをおそったのは
かんぜんにわたしのふちゅうい。
ごめんなさい」

光の精霊はその小さな頭をぺこりと下げた。

「…いや、別に光の精霊が悪い訳じゃないぞ。
俺は気にしていないから」

「わたしはひかりのせいれいとしてのつとめをはたす。
これからは、やみのせいれいにおそわれないように
わたしがちゃんとみはる」

リリンシアは精神世界に侵入して来た。
あのセカイは静里菜せりな
俺の夢のセカイを土台に巫術ふじゅつで構築した
非常に限定的で特殊な、外部からは隔絶されたセカイである。
そんなセカイにリリンシアは特に苦労する様子も見せず入って来た。
つまり…彼女がその気になれば、
何時でも何処でも襲われる可能性が有るのでは?
と俺は内心、危惧していたのである。

しかし光の精霊が見張ってくれるのなら、
今後リリンシアに襲われることは無いという事なのだろう。
それはとても有難いことでは有るのだが…。
俺は彼女の申し出を受けることに抵抗を感じて言葉を返した。

「それはとても有難いが…
でも、光の精霊に負担を掛けたりはしないのか?」

そう、俺は『光の精霊』とは言え、
見た目こんな小さな子に助けてもらうことが忍びないと言うか…
一種の罪悪感の様なものを感じてしまったのである。

「おにいちゃん。
わたしたちせいれいは
このせかいエゾン・レイギスの
ちからのきんこうをたもつのがしめい。
げんざいのせかいは、
まぞくがとてもゆうり。
だからわたしはにんげんがほろびないように
できるかぎりきょうりょくする。
そしてわたしは、
おにいちゃんにもできるかぎり、きょうりょくする」

光の精霊はきらきらと宝石の様に輝く
綺麗な瞳で俺の目をまっすぐに見つめてながらそう述べると、
その小さな手のひらを俺に差し出した。

「…ありがとう、光の精霊」

俺には彼女の純粋な瞳から来る申し出を無下には出来ない。
その心遣いを素直に受け取ることにした。
彼女の小さな手を握って感謝の言葉を返す。

「んー。おにいちゃんとにんげんたちのためにわたしはがんばる」

光の精霊はそう言って笑った。
それはこの世界を護る精霊としてではなく、
見た目通りの子供らしい無邪気な笑顔だと俺は感じた。
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