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第122話 光と闇の精霊

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「やみのせいれい。
おにいちゃんの”しんいき”にまでしんにゅうするなんて、やりすぎ。
わたしたちには、そこまでのけんげんはみとめられていない」

「アタシはそこの処女おとめちゃんが作った精神世界を
たまたま見つけてタダ乗りしただけヨ。
それよりもナニ?
その”おにいちゃん”っては?
アンタ…年甲斐も無くケイガクンの妹になったとでも言うのかしらネ?」

「ケイガは
わたしみたいに、ちいさいこは
”おにいちゃん”ってよぶのがふつうっていってた」

「ケイガクン…
もしかしてアタシのカラダを見るのを避けていたのは…
そういう性癖だったからナノ?」

 リリンシアは俺を蔑みの目で見ながら問いかける。
 いわゆるジト目という奴である。
 …俺は、頭の中で何かが”プツン”と切れるのを感じた。

「今さら何言ってるんだ!
俺は普通の性癖だよ!
そうじゃなきゃお前の”肝心なトコロ”は見ないようにしながらも、
視線自体は絶やさずお前からの攻撃を常に警戒して
意識を払い続けるなんて苦労はしていないッ!!
大体、光の精霊は小さい子なんだからお兄ちゃん呼びは普通だろ!」

「そ、そうなんだ…」

 俺の怒りを込めた絶叫にリリンシアは呆然としている様だ。
 散々俺を翻弄した挙句、そんなことを言う彼女に
 俺は久し振りにキレてしまったのである…。
 いくら敵方とは言え、女性相手にこんなにも声を荒げてしまったのは
 ちょっと悪かったかなと俺は反省した。

「やみのせいれい。
わたしたちせいれいは、
このせかいエゾン・レイギスをうみだし
はぐくんでいくそんざい。
わたしたちは
むやみやたらにエゾン・レイギスに
かんしょうしてはならない。
それなのにどうして
やみのせいれいは、だいまおうのはいかになってまで
まぞくにかたいれをする?」

「光の精霊。
ソレを言うのならアタシからも言わせてもらうワ。
アナタは人間に肩入れし過ぎ。
火や水の他の精霊の子たちもそう。
人間は弱いから、
瞬く間に強い魔族に滅ぼされるとでも思っているのでしょう?
でもネ、魔族は確かに強いけど数自体は少ないから生物種としては危ういのヨ。
アタシは人間に肩入れし過ぎているアナタたちに対して
力の均衡を取るために、魔界五軍将・魔精将リリンシアになったのヨ」

「でも、やみのせいれい。
だいまおうのちからは、きょうだいすぎる。
わたしたちせいれいが、てをさしのべなければ
にんげんは、すぐにでもほろびかねない」

「でもネ、光の精霊。
大魔王サマも魔族という生物種が生き残るために進化した結果、生まれた存在なのヨ。
人間あれ魔族であれ、生き物同士は互いに切磋琢磨して進化して、
より強いモノが生き残るべき。
それが大宇宙のことわりでは無いのかしら?
大魔王サマに滅ぼされるなら人間という種は所詮、それ迄の生き物だった…
と言う事ではないのかしらネ?」
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