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第118話 契機(トリガー)
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俺のかけがえのない妹のひとりである地ノ宮 静里菜。
彼女の家である地ノ宮神社は俺たちが住まう地域一体を護る社。
そして静里菜は、
地域一帯を司る神様、地ノ宮神社の御祭神の加護を持つ護り巫女である。
いま俺が立っている此処は
異世界エゾン・レイギスに飛ばされた俺たちと連絡を取るために、
巫術を使って俺の夢のセカイを土台に構築した精神世界。
静里菜が護り巫女の力を使って大掛かりな巫術を行使したのは想像に難くない。
しかし言わばこの非常に限定的なセカイに、
魔界五軍将・魔精将リリンシアが突然、我が物顔で侵入して来たのである。
上位魔族という存在は何でも有りなのかと俺は戦慄した。
俺はリリンシアと戦い、この精神世界の仕組みを概ね理解した。
元々俺の夢のセカイであるなら自由時代に空を飛べるとか、
無敵状態とかに成りそうに思えるが、
そういうチート的なことは全く無かった。
物理法則は現実世界と同じである。
挙句、リリンシアには組み伏され俺は危うく貞操の危機を迎えた程である…。
だが静里菜曰く、
このセカイは俺の夢のセカイを基にしている以上、
外部からの侵入者は大きく力を削がれているとのことである。
実際に静里菜の力は大きく弱体化していた。
そして俺がリリンシアに押されつつも何とか渡り合えている事実から、
魔界五軍将と言えども例外なく力を削がれていると考えるべきであろう。
俺はかつて魔界五軍将・魔竜将の副官ディラムと戦い敗北している。
そんな俺がまがりなりにも五軍将であるリリンシアと戦えたのは、
彼女がこのセカイの補正で力を削がれてといると考えれば腑に落ちるのだ。
ならば、今の俺に出来ることは…
この有利な条件を最大限利用してリリンシアに勝つしかない。
生き残らなければ俺は…妹たちを護れない!
俺は『地ノ宮流気士術・四の型、瞑想』を行使する。
この技は本来、心を静め一切の雑念を無くし、
高めた気を傷口に集中させて回復を図る技。
だが高めた気を攻撃系統の技に転用すると言った応用も効く。
俺は『瞑想』を行使し続ける。
「フフフ…”気”を高めているのネ。
生命力の高いアタシを倒せるだけの気を溜めているということかしら?
でもそれ程の気を溜めるには時間がかかるわよネ。
…アタシの攻撃を躱しながら気を溜め続けることができるのかナ?」
リリンシアの髪がムチの様にしなって俺に向かって襲い掛かる。
『瞑想』の弱点は無防備になってしまうこと。
故に敵の眼前では行使は出来ない…
と言うのは、単に俺が未熟者だっただけである。
先の暴走した優羽花との銭湯大決戦で俺は、
無防備状態に陥ることなく『瞑想』を行使出来れば
あんな醜態を晒すことは無かったと思い知ったのだ。
だから俺はたった今、この瞬間を
『瞑想』の技を上の段階に向上させる契機とする事に決めた。
どんな状態でも『瞑想』を使うことが出来るようにする。
様は…技を行使したまま相手の攻撃を見切れば良いだけである。
俺は心を静め、気を高めながら、リリンシアの髪の攻撃を視る。
そして身体を逸らし、最小限の動きでリリンシアの一撃を躱し切った。
彼女の家である地ノ宮神社は俺たちが住まう地域一体を護る社。
そして静里菜は、
地域一帯を司る神様、地ノ宮神社の御祭神の加護を持つ護り巫女である。
いま俺が立っている此処は
異世界エゾン・レイギスに飛ばされた俺たちと連絡を取るために、
巫術を使って俺の夢のセカイを土台に構築した精神世界。
静里菜が護り巫女の力を使って大掛かりな巫術を行使したのは想像に難くない。
しかし言わばこの非常に限定的なセカイに、
魔界五軍将・魔精将リリンシアが突然、我が物顔で侵入して来たのである。
上位魔族という存在は何でも有りなのかと俺は戦慄した。
俺はリリンシアと戦い、この精神世界の仕組みを概ね理解した。
元々俺の夢のセカイであるなら自由時代に空を飛べるとか、
無敵状態とかに成りそうに思えるが、
そういうチート的なことは全く無かった。
物理法則は現実世界と同じである。
挙句、リリンシアには組み伏され俺は危うく貞操の危機を迎えた程である…。
だが静里菜曰く、
このセカイは俺の夢のセカイを基にしている以上、
外部からの侵入者は大きく力を削がれているとのことである。
実際に静里菜の力は大きく弱体化していた。
そして俺がリリンシアに押されつつも何とか渡り合えている事実から、
魔界五軍将と言えども例外なく力を削がれていると考えるべきであろう。
俺はかつて魔界五軍将・魔竜将の副官ディラムと戦い敗北している。
そんな俺がまがりなりにも五軍将であるリリンシアと戦えたのは、
彼女がこのセカイの補正で力を削がれてといると考えれば腑に落ちるのだ。
ならば、今の俺に出来ることは…
この有利な条件を最大限利用してリリンシアに勝つしかない。
生き残らなければ俺は…妹たちを護れない!
俺は『地ノ宮流気士術・四の型、瞑想』を行使する。
この技は本来、心を静め一切の雑念を無くし、
高めた気を傷口に集中させて回復を図る技。
だが高めた気を攻撃系統の技に転用すると言った応用も効く。
俺は『瞑想』を行使し続ける。
「フフフ…”気”を高めているのネ。
生命力の高いアタシを倒せるだけの気を溜めているということかしら?
でもそれ程の気を溜めるには時間がかかるわよネ。
…アタシの攻撃を躱しながら気を溜め続けることができるのかナ?」
リリンシアの髪がムチの様にしなって俺に向かって襲い掛かる。
『瞑想』の弱点は無防備になってしまうこと。
故に敵の眼前では行使は出来ない…
と言うのは、単に俺が未熟者だっただけである。
先の暴走した優羽花との銭湯大決戦で俺は、
無防備状態に陥ることなく『瞑想』を行使出来れば
あんな醜態を晒すことは無かったと思い知ったのだ。
だから俺はたった今、この瞬間を
『瞑想』の技を上の段階に向上させる契機とする事に決めた。
どんな状態でも『瞑想』を使うことが出来るようにする。
様は…技を行使したまま相手の攻撃を見切れば良いだけである。
俺は心を静め、気を高めながら、リリンシアの髪の攻撃を視る。
そして身体を逸らし、最小限の動きでリリンシアの一撃を躱し切った。
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