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第106話 聞き慣れた声
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剣を棚の上に戻した俺は、部屋にどどんと鎮座する豪華なベッドへと目を向けた。
二人…いや詰めれば三人は寝れそうな、とても大きなサイズのベッドである。
そして枕も長い。
掛け布団には煌びやかな刺繍が施されている。
俺に取っては場違い感この上ない、ロイヤルでスペシャル過ぎるベッドである。
果たして俺は…このベッドで眠りに付く事が出来るのだろうか?
とりあえず、感触を確かめてみよう。
掛け布団はフカフカで軽い。
枕は硬過ぎず柔らか過ぎずといった丁度良い塩梅の様である。
寝床のマットレスは柔らかくてとても良い手触り感がする。
それでは実際に横になって確かめてみようか?
フカフカの掛け布団をめくって
自身の身体をベッドの中に潜り込ませると
枕に頭を乗せて掛布団をかぶった。
おお…
この寝床の感触は…
今まで感じたことが無い…
何と言う心地よい場なのだろうか…。
ベッドのマットレス自体は柔らかい感触だが
身体が沈んでいくという訳では無い。
むしろしっかり身体を支えている。
いうなれば宙に浮いていると云うべきであろうか?
柔らかな感触に包まれながらも身体はとても安定しているといった感じである。
う、うーん…
何だか瞼が重くなって来たぞ…。
この非常に心地良いロイヤルベッドが俺を睡眠へと誘っていく…。
今日は数年分の出来事を圧縮した様な
とても濃い一日を過ごした。
正直なところ身体も心も疲れ果ててしまった。
そんな状態で、まるで高級旅館の様な旨い料理をたらふく食べて、
日本式の大浴場で汗を流してリラックスしたのである。
疲れた身体で、食欲を満たして、お風呂に入れば、次は眠くなって当然だろう。
まあ、お風呂では色々あって別に意味で疲れたのではあるが…。
ああ…
しばらくしたら…
ポーラ姫とミリィが部屋に来るのに…
でもシノブさんは…
それまでごゆるりとお休みくださいと言ってたじゃないか…
なら大丈夫だ…
俺は許された…
少し休むだけだから…
ふたりが来るまで、ほんの少し眠るだけだから…
俺の意識は闇の底へと落ちて行った…。
******
俺は目を閉じたまま漆黒の空間をゆっくりと落ちていく。
これは夢の中なのだろう。
その証拠に俺の身体は全く動かないのである。
指先だって動かせやしない。
自分の意思が全く身体に伝わらない。
まさに夢の中の現象である。
これは抗ってもどうしようも無い。
俺は流れのままにその落下に身を任せた。
「…兄さん…兄さん…」
そんな俺を遠くで呼ぶ声がする。
…この声は…?
…聞き慣れた声…?
俺は目を開けた。
漆黒に染められた頭上の空間が光り輝いて
一人の少女が俺のもとに舞い降りて来た。
白い上着に紅い袴。
紅白の色彩が織りなす可憐な巫女装束に身を包んだ、
優羽花と並んで妹歴16年の俺のもうひとりの妹、
地ノ宮 静里菜である。
二人…いや詰めれば三人は寝れそうな、とても大きなサイズのベッドである。
そして枕も長い。
掛け布団には煌びやかな刺繍が施されている。
俺に取っては場違い感この上ない、ロイヤルでスペシャル過ぎるベッドである。
果たして俺は…このベッドで眠りに付く事が出来るのだろうか?
とりあえず、感触を確かめてみよう。
掛け布団はフカフカで軽い。
枕は硬過ぎず柔らか過ぎずといった丁度良い塩梅の様である。
寝床のマットレスは柔らかくてとても良い手触り感がする。
それでは実際に横になって確かめてみようか?
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枕に頭を乗せて掛布団をかぶった。
おお…
この寝床の感触は…
今まで感じたことが無い…
何と言う心地よい場なのだろうか…。
ベッドのマットレス自体は柔らかい感触だが
身体が沈んでいくという訳では無い。
むしろしっかり身体を支えている。
いうなれば宙に浮いていると云うべきであろうか?
柔らかな感触に包まれながらも身体はとても安定しているといった感じである。
う、うーん…
何だか瞼が重くなって来たぞ…。
この非常に心地良いロイヤルベッドが俺を睡眠へと誘っていく…。
今日は数年分の出来事を圧縮した様な
とても濃い一日を過ごした。
正直なところ身体も心も疲れ果ててしまった。
そんな状態で、まるで高級旅館の様な旨い料理をたらふく食べて、
日本式の大浴場で汗を流してリラックスしたのである。
疲れた身体で、食欲を満たして、お風呂に入れば、次は眠くなって当然だろう。
まあ、お風呂では色々あって別に意味で疲れたのではあるが…。
ああ…
しばらくしたら…
ポーラ姫とミリィが部屋に来るのに…
でもシノブさんは…
それまでごゆるりとお休みくださいと言ってたじゃないか…
なら大丈夫だ…
俺は許された…
少し休むだけだから…
ふたりが来るまで、ほんの少し眠るだけだから…
俺の意識は闇の底へと落ちて行った…。
******
俺は目を閉じたまま漆黒の空間をゆっくりと落ちていく。
これは夢の中なのだろう。
その証拠に俺の身体は全く動かないのである。
指先だって動かせやしない。
自分の意思が全く身体に伝わらない。
まさに夢の中の現象である。
これは抗ってもどうしようも無い。
俺は流れのままにその落下に身を任せた。
「…兄さん…兄さん…」
そんな俺を遠くで呼ぶ声がする。
…この声は…?
…聞き慣れた声…?
俺は目を開けた。
漆黒に染められた頭上の空間が光り輝いて
一人の少女が俺のもとに舞い降りて来た。
白い上着に紅い袴。
紅白の色彩が織りなす可憐な巫女装束に身を包んだ、
優羽花と並んで妹歴16年の俺のもうひとりの妹、
地ノ宮 静里菜である。
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