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第93話 全てをあるがままに

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「は、はーい兄様!」

「…あ、兄様…はい今すぐ…」

 シダレとツツジは急ぎ俺に駆け寄ると、俺の腰のタオルが優羽花ゆうかに引っ張られて下に落ちないように、上へと引っ張って抑え込んだ。
 …って、こっちのタオルじゃなくてですね!
 優羽花のほうを俺から引き離して欲しかったのですけどお!?

「ちょっと二人とも!
邪魔しないで!
あたしは今ここでお兄を裸にしないと気が済まないんだからああー!」

「ちょっと待て優羽花! 何だ、その妹としてあるまじき発言はっー!?」

「知るかあ! この馬鹿お兄い! 早く観念してお兄の全部をあたしに見せなさいよおー!!」

「そ、それはダメだよ! ユウカ様!」

「…ユウカ様…ダメ…」

 シダレとツツジはそう言うと俺の腰のタオルに添えた手に力を込める。
 …おおう!
 美少女二人のたおやかな指先が俺の腰に食い込んで来るっ!
 柔らかな手の平の感触がタオル越しに伝わってくる!
 …これはいけないっ!?
 このままでは俺の分身が反応してしまうッー!!
 俺は『地ノ宮流気士術ちのみやりゅうきしじゅつ・四の型、瞑想めいそう』を行使して、たかぶろうとする心を静めようとした。
 しかしそこへ優羽花がもの凄い形相で俺の腰のタオルを引っ張って、もの凄い力で剥ぎ取ろうとして来る!

「お兄いー! いい加減覚悟しなさいよおッーー!!」

 …だ、駄目だあ!?
 この状態で瞑想めいそうを行使しようものなら、俺は一瞬で優羽花に腰のタオルを陥落させられてしまうっ!
 今の俺の分身の状態で其れは駄目だっ!
 それだけは防がなくてはっ!!

「ユウカ様ダメだよー!」

「…ユウカ様ダメ…」

 そんな優羽花に抵抗して俺の腰のタオルを取られまいと二人がかりで抑え込むシダレとツツジ。
 ああっ! 二人の柔らかいお手の感触があっー!?
 うあああああ!
 25歳童貞の俺が!
 見れ麗しい美少女ふたりにそんなところを触られて!
 反応しない筈が無いだろうがああー!
 いや、むしろ反応しないほうがおかしいだろう。
 そう、これは、物事の必然、大自然の摂理なのだあああーー!!
 …もう、どうでもなれ。

 俺は悟りの境地に辿り着いたのかも知れない。
 それは全てをあるがままに受け入れるという事なのだろうか。
 これが…無我の境地というものなのか…?
 其処に光が見えたような気がした。

 そして俺の腰のタオルはついに陥落し地に落ちた。

「「「きゃああああああーーーー!!??」」」

 俺の分身は”反応した姿”で白日の下に晒され、乙女たちの絶叫が浴場にこだました。
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