92 / 556
第92話 優羽花(ゆうか)、暴走
しおりを挟む
俺の目の前でひっくり返った優羽花。
そのあられもない姿が俺の瞳にいやおうなく飛び込んで来た。
「きゃあああああーーーー!!??」
優羽花は絶叫を上げながら床に落ちていたタオルをたぐりよせると、胸から下腹部までを覆い隠す。
そして俺を凄い形相で睨みつけた。
「み、み、み…見たわよねええーー!!」
「…大丈夫だ、俺はすぐに視線を逸らしたから。ほとんど見ていないぞ」
「う、嘘付けえ! あたしの右の太ももの付け根のほくろまでばっちり見たくせにい!」
「…えっ右? 左のふとももじゃないのか?」
「…間抜けは見つかった様ねえ…」
…何い!?
優羽花は直情的な性格で、頭を使う絡め手といった事は得意では無い筈だ。
そんな彼女がミスリードを誘ってくるとは?
俺はまんまと乗せられてしまったというのか!?
「優羽花あ! よくもだましたなアアア! だましてくれたなアアア!!」
「うっさいこの馬鹿スケベ嘘付きお兄いー!」
「…俺が見なかったほうが優羽花には良かれと思って、気を利かせたつもりだった。
でも確かに嘘はいけなかった、それに付いては謝ろうじゃないか。
だが俺は優羽花が子供の頃は良く一緒にお風呂に入っていた、お前の身体は頭のてっぺんから足の指先まで全て把握していると言って良いだろう。
そんな妹歴16年の優羽花の裸を今さら見たところで…さっきも言った通り、俺は何の劣情も感じないのだよ!
だからスケベ兄と言う箇所については全力で否定させて貰おうか!」
「な、な、な…何ですってえええーー!!」
顔を真っ赤にして激昂する優羽花はタオルを自身の身体に巻きなおすと、俺の腰に巻かれているタオルに手を掛けた。
えっ…な、何を!?
「それだったらこうよッー! あたしの裸を見たんだから! お兄の裸も見せなさいよおーー!」
「…こ、こらっ優羽花! 何を馬鹿な事を!?」
「馬鹿じゃないんだから! これでおあいこだもん! 引き分けなんだからね!」
優羽花は怒りに満ちた形相に涙まで浮かべながら支離滅裂な言動で俺を責め立てる。
これはいけない、我が妹は完全に冷静さを欠いている。
そもそも俺を裸にすることで引き分けという前提が間違っている。
乙女の裸と野郎の裸が釣り合いが取れる筈が無いのである。
優羽花の一時の感情に任せた暴走行為を止めるのも兄としての役目であろう。
だが正直こんなことになると思っていなかった。
俺が腰に巻いていたタオルは他人に引っ張られることを想定しておらず非常に防御力が低いのである。
このままではまずい…外されるっ!?
「シダレ! ツツジ! 優羽花を止めてくれ!」
俺は優羽花の暴走行為を前に、呆然と立ち尽くしていた姫騎士団のふたりに助けを求めた。
そのあられもない姿が俺の瞳にいやおうなく飛び込んで来た。
「きゃあああああーーーー!!??」
優羽花は絶叫を上げながら床に落ちていたタオルをたぐりよせると、胸から下腹部までを覆い隠す。
そして俺を凄い形相で睨みつけた。
「み、み、み…見たわよねええーー!!」
「…大丈夫だ、俺はすぐに視線を逸らしたから。ほとんど見ていないぞ」
「う、嘘付けえ! あたしの右の太ももの付け根のほくろまでばっちり見たくせにい!」
「…えっ右? 左のふとももじゃないのか?」
「…間抜けは見つかった様ねえ…」
…何い!?
優羽花は直情的な性格で、頭を使う絡め手といった事は得意では無い筈だ。
そんな彼女がミスリードを誘ってくるとは?
俺はまんまと乗せられてしまったというのか!?
「優羽花あ! よくもだましたなアアア! だましてくれたなアアア!!」
「うっさいこの馬鹿スケベ嘘付きお兄いー!」
「…俺が見なかったほうが優羽花には良かれと思って、気を利かせたつもりだった。
でも確かに嘘はいけなかった、それに付いては謝ろうじゃないか。
だが俺は優羽花が子供の頃は良く一緒にお風呂に入っていた、お前の身体は頭のてっぺんから足の指先まで全て把握していると言って良いだろう。
そんな妹歴16年の優羽花の裸を今さら見たところで…さっきも言った通り、俺は何の劣情も感じないのだよ!
だからスケベ兄と言う箇所については全力で否定させて貰おうか!」
「な、な、な…何ですってえええーー!!」
顔を真っ赤にして激昂する優羽花はタオルを自身の身体に巻きなおすと、俺の腰に巻かれているタオルに手を掛けた。
えっ…な、何を!?
「それだったらこうよッー! あたしの裸を見たんだから! お兄の裸も見せなさいよおーー!」
「…こ、こらっ優羽花! 何を馬鹿な事を!?」
「馬鹿じゃないんだから! これでおあいこだもん! 引き分けなんだからね!」
優羽花は怒りに満ちた形相に涙まで浮かべながら支離滅裂な言動で俺を責め立てる。
これはいけない、我が妹は完全に冷静さを欠いている。
そもそも俺を裸にすることで引き分けという前提が間違っている。
乙女の裸と野郎の裸が釣り合いが取れる筈が無いのである。
優羽花の一時の感情に任せた暴走行為を止めるのも兄としての役目であろう。
だが正直こんなことになると思っていなかった。
俺が腰に巻いていたタオルは他人に引っ張られることを想定しておらず非常に防御力が低いのである。
このままではまずい…外されるっ!?
「シダレ! ツツジ! 優羽花を止めてくれ!」
俺は優羽花の暴走行為を前に、呆然と立ち尽くしていた姫騎士団のふたりに助けを求めた。
0
お気に入りに追加
38
あなたにおすすめの小説
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
異世界帰りの底辺配信者のオッサンが、超人気配信者の美女達を助けたら、セレブ美女たちから大国の諜報機関まであらゆる人々から追われることになる話
kaizi
ファンタジー
※しばらくは毎日(17時)更新します。
※この小説はカクヨム様、小説家になろう様にも掲載しております。
※カクヨム週間総合ランキング2位、ジャンル別週間ランキング1位獲得
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
異世界帰りのオッサン冒険者。
二見敬三。
彼は異世界で英雄とまで言われた男であるが、数ヶ月前に現実世界に帰還した。
彼が異世界に行っている間に現実世界にも世界中にダンジョンが出現していた。
彼は、現実世界で生きていくために、ダンジョン配信をはじめるも、その配信は見た目が冴えないオッサンということもあり、全くバズらない。
そんなある日、超人気配信者のS級冒険者パーティを助けたことから、彼の生活は一変する。
S級冒険者の美女たちから迫られて、さらには大国の諜報機関まで彼の存在を危険視する始末……。
オッサンが無自覚に世界中を大騒ぎさせる!?
日本帝国陸海軍 混成異世界根拠地隊
北鴨梨
ファンタジー
太平洋戦争も終盤に近付いた1944(昭和19)年末、日本海軍が特攻作戦のため終結させた南方の小規模な空母機動部隊、北方の輸送兼対潜掃討部隊、小笠原増援輸送部隊が突如として消失し、異世界へ転移した。米軍相手には苦戦続きの彼らが、航空戦力と火力、機動力を生かして他を圧倒し、図らずも異世界最強の軍隊となってしまい、その情勢に大きく関わって引っ掻き回すことになる。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
異世界転生 我が主のために ~不幸から始まる絶対忠義~ 冒険・戦い・感動を織りなすファンタジー
紫電のチュウニー
ファンタジー
第四部第一章 新大陸開始中。 開始中(初投稿作品)
転生前も、転生後も 俺は不幸だった。
生まれる前は弱視。
生まれ変わり後は盲目。
そんな人生をメルザは救ってくれた。
あいつのためならば 俺はどんなことでもしよう。
あいつの傍にずっといて、この生涯を捧げたい。
苦楽を共にする多くの仲間たち。自分たちだけの領域。
オリジナルの世界観で描く 感動ストーリーをお届けします。
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる