シスターヴレイヴ!~上司に捨て駒にされ会社をクビになり無職ニートになった俺が妹と異世界に飛ばされ妹が勇者になったけど何とか生きてます~

尾山塩之進

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第85話 体たらく

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 男とは、かく面倒くさい生き物である。
 恥ずかし気なく堂々と肌を見せつけてくる女性よりも、その中に恥じらいを見せてくれた女性のほうが心に来るのである。
 ツツジは恥ずかしながらも一緒に風呂に入って来たという事実を漏らすことで、俺の心に直接攻撃ダイレクトアタックを仕掛けてきたのである。
 俺は其れに為す術もなく撃沈寸前である。
 姫騎士団プリンセスナイツの中でおそらく最年少。大人しい性格のメカクレ少女、ツツジ。
 見目麗みめうるわしい美女、美少女揃いの姫騎士団の中であって、最も幼い感じで性格も控えめな彼女は、他の団員よりも俺にとっては安心感があったのだ。
 そう…正直なところ俺はツツジの力を見くびっていたのである。

 …だが実際はこの有様である。
 何という破壊力か!
 ツツジ! 恐ろしい子!

「…あの、兄様…。
あまりツツジを見ないで…恥ずかしい…です…」

彼女は表情かおをより一層赤らめて俺に訴えかけた。

「ああっ…ご、ごめん…」

 俺は急ぎ彼女から視線を逸らして反対側に座り直した。
 自分の頬が熱いのを感じる。
 ツツジに対して俺は、感情を言葉にも表情かおにも出し過ぎている気がする。
 兄としての振る舞いとしてこれは失格である。
 兄は妹に頼りにされるべき存在なのだ。
 だから兄は妹に動揺している姿をやすやすと見せてはいけないのである。
 俺は心身を引き締める。

「…兄様。それじゃ、さっきの続き…お背中を洗いますね…」

「えっ…?
そんな悪いから良いよ…ああうっ!?
…き、気持ちいい…」

「ふふ…ツツジは姫騎士団のみんなからも背中を洗うのは上手いって評判なんです…」

「ああ…そ…そんな…ツツジ…もう良いから…疲れるだろ
わ、悪いから…ああっ! 気持ち良っ…」

「…兄様、失礼ながら…けっこうお背中汚れているみたい…。
…せっかくだから、ツツジが綺麗にして差し上げます…」

「あっ…あっ…、ツ、ツツジ…そんな動きされたら俺は…」

「…兄様、気持ちよかったら言ってくださいね…そこを集中して磨きますから…」

「そんなこと言っても…ツツジの触れる所はみんな気持ちいから…ああっ…」

「…でしたら…ツツジに全てお任せ下さい…」

「…ツツジ…凄い…凄い良い…ああっ…ツツジぃ…」

「…兄様…」

「…はあっ! ツツジぃ! そこは…駄目ええええーーー!?」

 俺は兄の身でありながら、愛しい妹であるツツジの背中磨きテクニックに思わずよろこびの声を上げてしまい、放心してその頭をうなだれさせてしまった。
 兄は妹に動揺している姿をやすやすと見せてはいけない。
 だから俺は心身を引き締めたばかりだというのに、この始末…。
 …何というていたらくか…。

 …このっ! 情けない兄ッ!!
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