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第74話 お風呂の準備
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「ケイガ兄様、ユウカ様。次はお風呂の準備をいたしますのでこのまましばしお待ちください」
シノブさんは俺たちにそう言い残しすと一礼して食堂から出て行った。
俺と優羽花(ゆうか)は広い食堂の椅子に二人きりで座りながら満腹の状態がこなれるのを任せていた。
「旨い食事のあとに今度はお風呂を用意して貰えるなんてなあ…まるで高級旅館みたいだよなあ」
「あははっ! お兄、旅館とかおかしー! それじゃあポーラさんや姫騎士団のみんなが女将さん仲居さんになっちゃうよー?」
「はは、確かになあ。みんながせっかく無料(タダ)でもてなしてくれたのに、商売業の旅館に例えるのは失礼だよなあ…」
「…無料(タダ)って!? あははっー! お兄、何だか貧乏臭くない?」
「こらっ、何てこと言うんだ優羽花!
それに兄さんは決して貧乏症でもケチでもないぞ!
俺は元社会人だったから…お金の大切さはわかっているから、そういう考えになるんだよっ!」
「本当にー? でもお兄って…昔から結構ケチくさいところあるよねー?」
「うっ…そんなことは…無い筈だ…」
「そうかなあー?」
優羽花(は俺をじとっとした目つきで見ながらニヤニヤしている。
いわゆるジト目という奴である。
むむっ我が愛しい妹よ、そんな小馬鹿にした目でこの兄を見るなら…俺にも考えがあるぞ!
「…なあ優羽花、今日は戦闘ですごく疲れたろう?
全身汗まみれで戦闘自体でも結構汚れたんじゃないか?
よし、今日は久しぶりに兄さんと一緒にお風呂に入ろうじゃないか?
ははっ、背中を念入りに流してあげるようじゃないかあ」
「な、な、な…なに言ってんのよこの馬鹿お兄いーー!!
い、妹と一緒にお風呂に入ろうだなんて!
このスケベ兄! キモい! 本当にキモいから!!」
「何を言ってるんだ優羽花。
昔は良く一緒に入ってただろう?
それに一緒に入ろうって誘って来たのは他らなぬ優羽花のほうじゃないか?
『お兄ちゃんー今日は一緒にお風呂はいろー』って良くせがんでいただろう?」
「あーー! あーー!? あたしはそんなこと言ってないっ! 言ってないからあーー!!」
優羽花は俺の声は一切聞こえないとばかりに両耳を手で抑えながら、恥ずかし気に顔を赤らめて叫んだ。
子供の頃の優羽花は今とは正反対の素直なお兄ちゃんっ子だったのだが、その事を言われると凄く嫌がるのである。
俺は小馬鹿にして来た優羽花に対して、ちょっとだけ意地悪をしたくなって、わざと昔のことを持ち出したという訳である。
彼女にとって子供の頃の振る舞いは黒歴史なのだろうか?
俺にとっては微笑ましい思い出ではあるのだが。
シノブさんは俺たちにそう言い残しすと一礼して食堂から出て行った。
俺と優羽花(ゆうか)は広い食堂の椅子に二人きりで座りながら満腹の状態がこなれるのを任せていた。
「旨い食事のあとに今度はお風呂を用意して貰えるなんてなあ…まるで高級旅館みたいだよなあ」
「あははっ! お兄、旅館とかおかしー! それじゃあポーラさんや姫騎士団のみんなが女将さん仲居さんになっちゃうよー?」
「はは、確かになあ。みんながせっかく無料(タダ)でもてなしてくれたのに、商売業の旅館に例えるのは失礼だよなあ…」
「…無料(タダ)って!? あははっー! お兄、何だか貧乏臭くない?」
「こらっ、何てこと言うんだ優羽花!
それに兄さんは決して貧乏症でもケチでもないぞ!
俺は元社会人だったから…お金の大切さはわかっているから、そういう考えになるんだよっ!」
「本当にー? でもお兄って…昔から結構ケチくさいところあるよねー?」
「うっ…そんなことは…無い筈だ…」
「そうかなあー?」
優羽花(は俺をじとっとした目つきで見ながらニヤニヤしている。
いわゆるジト目という奴である。
むむっ我が愛しい妹よ、そんな小馬鹿にした目でこの兄を見るなら…俺にも考えがあるぞ!
「…なあ優羽花、今日は戦闘ですごく疲れたろう?
全身汗まみれで戦闘自体でも結構汚れたんじゃないか?
よし、今日は久しぶりに兄さんと一緒にお風呂に入ろうじゃないか?
ははっ、背中を念入りに流してあげるようじゃないかあ」
「な、な、な…なに言ってんのよこの馬鹿お兄いーー!!
い、妹と一緒にお風呂に入ろうだなんて!
このスケベ兄! キモい! 本当にキモいから!!」
「何を言ってるんだ優羽花。
昔は良く一緒に入ってただろう?
それに一緒に入ろうって誘って来たのは他らなぬ優羽花のほうじゃないか?
『お兄ちゃんー今日は一緒にお風呂はいろー』って良くせがんでいただろう?」
「あーー! あーー!? あたしはそんなこと言ってないっ! 言ってないからあーー!!」
優羽花は俺の声は一切聞こえないとばかりに両耳を手で抑えながら、恥ずかし気に顔を赤らめて叫んだ。
子供の頃の優羽花は今とは正反対の素直なお兄ちゃんっ子だったのだが、その事を言われると凄く嫌がるのである。
俺は小馬鹿にして来た優羽花に対して、ちょっとだけ意地悪をしたくなって、わざと昔のことを持ち出したという訳である。
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俺にとっては微笑ましい思い出ではあるのだが。
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