64 / 556
第64話 地ノ宮流気士術の応用
しおりを挟む
「うー、酷いよ…ケイガ兄君様(あにぎみさま)。
ボクの話を全然信じようとしないんだから…ボクはやましいことなんて全然! まったく! これっぽっちも考えていないんだからね!」
ミリィが頬をぷくーと膨らませて怒っている。
男の俺としては、ちょっとやましい想像ぐらい普通なんだが。
ミリィは自分がそういう想像をしていることを一切認めたがらないみたいだ。
「妹の話を聞かない兄君様なんて嫌いだよ…ふんっ!」
ミリィはそう言うと腕組をみをしながらそっぽを向いてしまった。
おっと、妹に嫌われる兄なんてダメだよなあ。どうやって諫めようか?
そういえばさっきポーラ姫の頭を撫でているとき、ミリィは羨ましそうに見ていたなあ…よし!
「ミリィも王族のお仕事お疲れ様だったな。
俺から出来る労いはこれぐらいだけど…どうかな?」
俺は右の手のひらを、ポーラの頭からミリィの頭にを移すとその頭を優しく愛でる様に撫でた。
「…ふぅああっ!? 突然何をするんだい兄君様っ!
こ、こんなことでボクを宥(なだ)めようだなんて…そうはいかないよ!
…ふ、あっ…あ…
あっ、そ、そんな…トコロ…
き、気持ち良いよぉ…
ボ、ボク…も、もう…
あ、あに…ぎみ…さまあ…」
恍惚(こうこつ)とした表情を浮かべるミリィ。
怒りの鉾(ほこ)が収まって何よりである。
「ああン…お兄様、ミリィお姉さまばかりずるいです…ポーラもまだお兄様のナデナデが欲しいですの…」
ポーラ姫が頬を紅潮させて物欲しそうな顔で俺を見つめた。
「そ、そうか? それじゃ…」
俺はポーラ姫に求められるがまま、ミリィの頭からポーラ姫の頭に手を戻すとその頭を撫でた。
「あン…お兄様ぁ…気持ちいい…」
「兄君様、ポーラばかりずるいじゃないか…。
ボクはまだ全然満足してないんだからね…兄君様、もっとボクに来てよ…」
「あ…ああ、良し来た!」
俺はミリィに求められるがままミリィの頭を撫でる。
「ふあぁぁ…兄君様あ…良いよぉ…」
「…お兄様、ポーラ、まだまだ欲しいです…早くこちらに来て…」
「…兄君様、ボクもまだまだ欲しいよぉ…もっと来て…」
「え、えっと…」
俺は自分の右手を忙しく動かして、二人の間を行ったり来たりさせて、彼女たちの頭を撫で続ける。
えっ? これっていつになったら終わるんです?
「お兄」
心身ともに疲労困憊してきた俺の側に優羽花(ゆうか)がやって来た。
そして目を閉じるとその顔を俺に向けて差し出した。
「…ん。あたしも勇者として結構頑張ったと思う。
だからねお兄、ちょっとは褒めてくれても良いんだからね!」
「…お、おう!」
俺はポーラ姫とミリィの頭を次々と撫で続けていたが、その方法では間が空いてしまい二人から不満が出てしまった。
そして優羽花も頭をナデナデを所望した。
三人連続ともなれば更に間が空いてしまい、より不満が出ることは避けられないだろう。
ならば俺も覚悟を決めるしかないだろう。
俺は精神を研ぎ澄まさせる。
全身の気を高める。
高まった気を右腕に集中させる。
俺は気をまとった右手を解き放った。
「いくぞお! 俺の愛しい妹たち!」
常人では目にも止まらないであろう超高速度での頭ナデナデである。
右手のひらを三人の妹の頭にほぼ同時間で置き替えて、間を一切開けることなく妹達の頭を優しく愛でる様に撫でまくった。
地ノ宮流気士術(ちのみやりゅうきしじゅつ)のちょっとした応用である。
ボクの話を全然信じようとしないんだから…ボクはやましいことなんて全然! まったく! これっぽっちも考えていないんだからね!」
ミリィが頬をぷくーと膨らませて怒っている。
男の俺としては、ちょっとやましい想像ぐらい普通なんだが。
ミリィは自分がそういう想像をしていることを一切認めたがらないみたいだ。
「妹の話を聞かない兄君様なんて嫌いだよ…ふんっ!」
ミリィはそう言うと腕組をみをしながらそっぽを向いてしまった。
おっと、妹に嫌われる兄なんてダメだよなあ。どうやって諫めようか?
そういえばさっきポーラ姫の頭を撫でているとき、ミリィは羨ましそうに見ていたなあ…よし!
「ミリィも王族のお仕事お疲れ様だったな。
俺から出来る労いはこれぐらいだけど…どうかな?」
俺は右の手のひらを、ポーラの頭からミリィの頭にを移すとその頭を優しく愛でる様に撫でた。
「…ふぅああっ!? 突然何をするんだい兄君様っ!
こ、こんなことでボクを宥(なだ)めようだなんて…そうはいかないよ!
…ふ、あっ…あ…
あっ、そ、そんな…トコロ…
き、気持ち良いよぉ…
ボ、ボク…も、もう…
あ、あに…ぎみ…さまあ…」
恍惚(こうこつ)とした表情を浮かべるミリィ。
怒りの鉾(ほこ)が収まって何よりである。
「ああン…お兄様、ミリィお姉さまばかりずるいです…ポーラもまだお兄様のナデナデが欲しいですの…」
ポーラ姫が頬を紅潮させて物欲しそうな顔で俺を見つめた。
「そ、そうか? それじゃ…」
俺はポーラ姫に求められるがまま、ミリィの頭からポーラ姫の頭に手を戻すとその頭を撫でた。
「あン…お兄様ぁ…気持ちいい…」
「兄君様、ポーラばかりずるいじゃないか…。
ボクはまだ全然満足してないんだからね…兄君様、もっとボクに来てよ…」
「あ…ああ、良し来た!」
俺はミリィに求められるがままミリィの頭を撫でる。
「ふあぁぁ…兄君様あ…良いよぉ…」
「…お兄様、ポーラ、まだまだ欲しいです…早くこちらに来て…」
「…兄君様、ボクもまだまだ欲しいよぉ…もっと来て…」
「え、えっと…」
俺は自分の右手を忙しく動かして、二人の間を行ったり来たりさせて、彼女たちの頭を撫で続ける。
えっ? これっていつになったら終わるんです?
「お兄」
心身ともに疲労困憊してきた俺の側に優羽花(ゆうか)がやって来た。
そして目を閉じるとその顔を俺に向けて差し出した。
「…ん。あたしも勇者として結構頑張ったと思う。
だからねお兄、ちょっとは褒めてくれても良いんだからね!」
「…お、おう!」
俺はポーラ姫とミリィの頭を次々と撫で続けていたが、その方法では間が空いてしまい二人から不満が出てしまった。
そして優羽花も頭をナデナデを所望した。
三人連続ともなれば更に間が空いてしまい、より不満が出ることは避けられないだろう。
ならば俺も覚悟を決めるしかないだろう。
俺は精神を研ぎ澄まさせる。
全身の気を高める。
高まった気を右腕に集中させる。
俺は気をまとった右手を解き放った。
「いくぞお! 俺の愛しい妹たち!」
常人では目にも止まらないであろう超高速度での頭ナデナデである。
右手のひらを三人の妹の頭にほぼ同時間で置き替えて、間を一切開けることなく妹達の頭を優しく愛でる様に撫でまくった。
地ノ宮流気士術(ちのみやりゅうきしじゅつ)のちょっとした応用である。
0
お気に入りに追加
38
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
婚約破棄して、めでたしめでたしの先の話
を
ファンタジー
(2021/5/24 一話分抜けていたため修正いたしました)
昔々、あるところに王子様がいました。
王子様は、平民の女の子を好きになりました。平民の女の子も、王子様を好きになりました。
二人には身分の差があります。ですが、愛の前ではささいな問題でした。
王子様は、とうとう女の子をいじめる婚約者を追放し、女の子と結ばれました。
そしてお城で、二人仲良く暮らすのでした。
めでたしめでたし。
そして、二人の間に子供ができましたが、その子供は追い出されました。
ぼっちな幼女は異世界で愛し愛され幸せになりたい
珂里
ファンタジー
ある日、仲の良かった友達が突然いなくなってしまった。
本当に、急に、目の前から消えてしまった友達には、二度と会えなかった。
…………私も消えることができるかな。
私が消えても、きっと、誰も何とも思わない。
私は、邪魔な子だから。
私は、いらない子だから。
だからきっと、誰も悲しまない。
どこかに、私を必要としてくれる人がいないかな。
そんな人がいたら、絶対に側を離れないのに……。
異世界に迷い込んだ少女と、孤独な獣人の少年が徐々に心を通わせ成長していく物語。
☆「神隠し令嬢は騎士様と幸せになりたいんです」と同じ世界です。
彩菜が神隠しに遭う時に、公園で一緒に遊んでいた「ゆうちゃん」こと優香の、もう一つの神隠し物語です。
小さな大魔法使いの自分探しの旅 親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします
藤なごみ
ファンタジー
※2024年10月下旬に、第2巻刊行予定です
2024年6月中旬に第一巻が発売されます
2024年6月16日出荷、19日販売となります
発売に伴い、題名を「小さな大魔法使いの自分探しの旅~親に見捨てられたけど、元気いっぱいに無自覚チートで街の人を笑顔にします~」→「小さな大魔法使いの自分探しの旅~親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします~」
中世ヨーロッパに似ているようで少し違う世界。
数少ないですが魔法使いがが存在し、様々な魔導具も生産され、人々の生活を支えています。
また、未開発の土地も多く、数多くの冒険者が活動しています
この世界のとある地域では、シェルフィード王国とタターランド帝国という二つの国が争いを続けています
戦争を行る理由は様ながら長年戦争をしては停戦を繰り返していて、今は辛うじて平和な時が訪れています
そんな世界の田舎で、男の子は産まれました
男の子の両親は浪費家で、親の資産を一気に食いつぶしてしまい、あろうことかお金を得るために両親は行商人に幼い男の子を売ってしまいました
男の子は行商人に連れていかれながら街道を進んでいくが、ここで行商人一行が盗賊に襲われます
そして盗賊により行商人一行が殺害される中、男の子にも命の危険が迫ります
絶体絶命の中、男の子の中に眠っていた力が目覚めて……
この物語は、男の子が各地を旅しながら自分というものを探すものです
各地で出会う人との繋がりを通じて、男の子は少しずつ成長していきます
そして、自分の中にある魔法の力と向かいながら、色々な事を覚えていきます
カクヨム様と小説家になろう様にも投稿しております
転生したので好きに生きよう!
ゆっけ
ファンタジー
前世では妹によって全てを奪われ続けていた少女。そんな少女はある日、事故にあい亡くなってしまう。
不思議な場所で目覚める少女は女神と出会う。その女神は全く人の話を聞かないで少女を地上へと送る。
奪われ続けた少女が異世界で周囲から愛される話。…にしようと思います。
※見切り発車感が凄い。
※マイペースに更新する予定なのでいつ次話が更新するか作者も不明。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる