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第60話 重犯罪者
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(重犯罪者だと! このままでは聖王国の捜査が入るのも時間の問題、そうなれば芋づる式に私の反逆が白日の元に晒されてしまうということか…!?)
ポーラニア陛下の発言はゴルザベスに衝撃を与えた。
クロカワ一行はこの世界でも稀に見る強力な魔力数値を持つ戦闘集団。
自身の力の一部とすべく、影ながら支援してきたのだ。
そしてこの聖王国を牛耳る実行手段として、ポーラニア陛下の暗殺を依頼したのである。
しかしこのままではクロカワと結んでいたことも、そして王族への具体的な反逆も明るみになってしまう。
(おおお…このままでは我が教会も聖王国の捜査を受けますかのう…そうなれば教会の闇はまさに光の精霊様の元に晒されてしまいますのう…)
ポーラニア陛下の発言はクリストに衝撃を与え、現実逃避をするがごとくまるで他人ごとの様に思考した。
クロカワ一行はこの世界でも稀に見る強力な魔力数値を持つ実力者集団。
現世利益を主とする教会とすれば、彼女たちを支援することで、教団としての格も信者数も上がると言うものである。
そして現世利益の最たるものとして聖王国を完全に牛耳るべく、ポーラニア陛下の暗殺を依頼したのである。
第一王位継承権を持ち修道会の聖女であるポーラニア殿下は教会自体に及ぼす影響力が高く、元々教会に取っては諸刃の剣でもあったのだ。
だからポーラニア殿下を排して、もっと幼く力のない王族の女子を形だけの聖女に付けて傀儡として操り、王位をも狙わせるというのがクリスト率いる教会の今後の策略であったのだ。
(クロカワ殿には多大な出資をしている…これは商売先を見誤ったか…?)
ポーラニア陛下の発言はバイアンに衝撃を与える。
クロカワ一行はこの世界でも稀に見る強力な魔力数値を持つ集団。
やり手の商売人であるバイアンはクロカワ一行に経済的支援を惜しまなかった。
いずれ彼女がこのエゾン・レイギスの覇王となるとバイアンは見越して先行投資をしていたのである。
彼はゴルザベスやクリストの様にポーラニア殿下の暗殺までは考えていない。
大商人とはいえ所詮は庶民の身分であるバイアンからすれば王族の暗殺などリスクが高すぎるからである。
ただクロカワ一行に対する支援は他の二人を遙かに超えるものであり、ほとんどクロカワのスポンサーと言っても過言ではないのである。
このままでは自分は確実に一級国家反逆罪集団の支援者たる重犯罪者扱いとなるだろう…とバイアンは戦慄していた。
「申し訳ありませんポーラニア殿下、ちょっと商売上で急なトラブルの連絡が入りまして…ここは急ぎお暇させて頂きます…」
バイアンは頭を下げると一目散にこの場を立ち去ろうと駆けた。
それを見たゴルザベスとクリストも慌てて口を開いた。
「申し訳ありませぬ殿下…私も少しトラブルが出来まして…失礼しますぞ!」
「私も教会でトラブルがあった様で…失礼いたしますじゃ殿下」
三人は我先へと謁見の間の出入り口の扉に手をかけようとする。
しかしその扉の前を銀色に煌めく刃が遮った。
姫騎士団(プリンセスナイツ)が扉の前に立って剣を抜き、彼らの退場を制止したのである。
「ふふっ、そのトラブルというのは君たちがクロカワ君へ支援していたことに対して聖王国の捜査が入るからだよね?
なるほど、急ぎ帰って証拠隠滅でもしようとしているのかな?」
「なっ!?」
「ゴルザベス、バイアン、クリスト。
わたくしたちがあなたたちとクロカワとの関係を知らないとでも思いましたか?
既にクロカワ一行の支援者は捜査済みなのですよ。
そうです、わたくしがクロカワ一行を犯罪者指定する発言をした段階で”詰め”の段階だったと言う事です」
「そ、そんな…」
三人は腰を抜かしてその場に崩れ落ちた。
ポーラニア陛下の発言はゴルザベスに衝撃を与えた。
クロカワ一行はこの世界でも稀に見る強力な魔力数値を持つ戦闘集団。
自身の力の一部とすべく、影ながら支援してきたのだ。
そしてこの聖王国を牛耳る実行手段として、ポーラニア陛下の暗殺を依頼したのである。
しかしこのままではクロカワと結んでいたことも、そして王族への具体的な反逆も明るみになってしまう。
(おおお…このままでは我が教会も聖王国の捜査を受けますかのう…そうなれば教会の闇はまさに光の精霊様の元に晒されてしまいますのう…)
ポーラニア陛下の発言はクリストに衝撃を与え、現実逃避をするがごとくまるで他人ごとの様に思考した。
クロカワ一行はこの世界でも稀に見る強力な魔力数値を持つ実力者集団。
現世利益を主とする教会とすれば、彼女たちを支援することで、教団としての格も信者数も上がると言うものである。
そして現世利益の最たるものとして聖王国を完全に牛耳るべく、ポーラニア陛下の暗殺を依頼したのである。
第一王位継承権を持ち修道会の聖女であるポーラニア殿下は教会自体に及ぼす影響力が高く、元々教会に取っては諸刃の剣でもあったのだ。
だからポーラニア殿下を排して、もっと幼く力のない王族の女子を形だけの聖女に付けて傀儡として操り、王位をも狙わせるというのがクリスト率いる教会の今後の策略であったのだ。
(クロカワ殿には多大な出資をしている…これは商売先を見誤ったか…?)
ポーラニア陛下の発言はバイアンに衝撃を与える。
クロカワ一行はこの世界でも稀に見る強力な魔力数値を持つ集団。
やり手の商売人であるバイアンはクロカワ一行に経済的支援を惜しまなかった。
いずれ彼女がこのエゾン・レイギスの覇王となるとバイアンは見越して先行投資をしていたのである。
彼はゴルザベスやクリストの様にポーラニア殿下の暗殺までは考えていない。
大商人とはいえ所詮は庶民の身分であるバイアンからすれば王族の暗殺などリスクが高すぎるからである。
ただクロカワ一行に対する支援は他の二人を遙かに超えるものであり、ほとんどクロカワのスポンサーと言っても過言ではないのである。
このままでは自分は確実に一級国家反逆罪集団の支援者たる重犯罪者扱いとなるだろう…とバイアンは戦慄していた。
「申し訳ありませんポーラニア殿下、ちょっと商売上で急なトラブルの連絡が入りまして…ここは急ぎお暇させて頂きます…」
バイアンは頭を下げると一目散にこの場を立ち去ろうと駆けた。
それを見たゴルザベスとクリストも慌てて口を開いた。
「申し訳ありませぬ殿下…私も少しトラブルが出来まして…失礼しますぞ!」
「私も教会でトラブルがあった様で…失礼いたしますじゃ殿下」
三人は我先へと謁見の間の出入り口の扉に手をかけようとする。
しかしその扉の前を銀色に煌めく刃が遮った。
姫騎士団(プリンセスナイツ)が扉の前に立って剣を抜き、彼らの退場を制止したのである。
「ふふっ、そのトラブルというのは君たちがクロカワ君へ支援していたことに対して聖王国の捜査が入るからだよね?
なるほど、急ぎ帰って証拠隠滅でもしようとしているのかな?」
「なっ!?」
「ゴルザベス、バイアン、クリスト。
わたくしたちがあなたたちとクロカワとの関係を知らないとでも思いましたか?
既にクロカワ一行の支援者は捜査済みなのですよ。
そうです、わたくしがクロカワ一行を犯罪者指定する発言をした段階で”詰め”の段階だったと言う事です」
「そ、そんな…」
三人は腰を抜かしてその場に崩れ落ちた。
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