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第59話 愚かな反撃の結果
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(このままではまずい…)
ゴルザベス、バイアン、クリストの三人の心境はこの様に同調していた。
国王代理として突如、王者としての立ち振る舞いを始めたポーラニア殿下。
そして彼女を支持し、その補佐に回るミリフィア公爵殿下。
この謁見の間に入って以来、二人に完全に押されているのだ。
三人は国王が倒られた今こそが聖王国を牛耳る好機と判断し謁見を希望したのにこの始末。
そして二人は自分たちの企みに最初から気付いていたふしがある。
このままでは聖王国を牛耳る以前に、王宮内での自分達の立場すら悪くなってしまうかも知れないのだ。
それだけは防がなくてはならない。
何か二人に反撃する手段は無いものかと思考する三人。
やがてバイアンがその一手を思いつき口を開いた。
「恐れながら…ポーラニア殿下、以前この王宮に居たクロカワ殿の一行が殿下の暗殺を狙ったという情報が商会の情報網から入りました。
クロカワ殿一行は異世界の戦士としては過去には例が無かった計36人という大人数。
そんな一行が出奔(しゅっぽん)して殿下を暗殺を企てる様な悪党になってしまったのは、この国に取って危険極まりないと思います。
恐れながら…そもそもクロカワ殿一行が出奔したのは、この聖王国の対応等に責任があったのでは無いでしょうか?」
「バイアン、ボク達はクロカワ君たちには異世界の戦士として最大限の待遇をしていたつもりだよ!」
「しかしその結果としてクロカワ殿一行は出奔してしまっておりますじゃ」
「そして陛下を暗殺しようとするまでに成り下がりました。
クロカワ一行はこの国の、いやエゾン・レイギスに取っての危険分子となっていますぞ。
これは聖王国の、強いては殿下たちにも責が無いとは言いますまい?」
「君たち! 随分と好き勝手言ってくれるじゃないか!」
「ミリフィアお姉様、お待ちください」
「ポーラニア…」
「確かにわたくしたち聖王国にも責任はあったかも知れませんね」
「それでは殿下も責を認められるという事ですかな?」
「そうですね、聖王国の王国代理をつとめる者として、クロカワ様一行の愚行の責は取らせて頂きましょう。
わたくしたち聖王国は、クロカワ様一行を魔族と戦って下さる異世界の戦士一行として迎え、厚遇しました。
クロカワ様の野心めいたその振る舞いに気付きながらも、この国の為、そしてこの人間界の為に戦って下さると期待して。
ですがそれは只の甘えでした。
そもそも出奔した時に何の罪にも問わなかったのも、クロカワ様に考えを改めて聖王国に戻って下さると期待しての甘えでした。
わたくしたちは終始クロカワ様一行に甘い期待をしていたのです。
ですから、わたくしは責任を取ってクロカワ様一行への態度を改めましょう!
彼女一行は最早この国に、そしてエゾン・レイギスに仇なす犯罪者でしか無いと言うのは、あなたたちと見解の一致です。
ですから、クロカワ様…いやクロカワ一行への対応を犯罪者に見合った容赦無いものへと修正いたしましょう!
たった今から、わたくしポーラニアの名のもとに、エクスラント聖王国はクロカワ一行を一級国家反逆罪集団として指定し、このエゾン・レイギス中に指名手配します!
そして、彼女たちに協力しているエゾン・レイギスの者達も重犯罪者として厳しく裁いていく所存です!」
「…な、何ですとお!?」
影でそれぞれがクロカワに何らかの便宜を図って関係を結んでいた三人に取って、ポーラニア陛下のその発言は衝撃だった。
ゴルザベス、バイアン、クリストの三人の心境はこの様に同調していた。
国王代理として突如、王者としての立ち振る舞いを始めたポーラニア殿下。
そして彼女を支持し、その補佐に回るミリフィア公爵殿下。
この謁見の間に入って以来、二人に完全に押されているのだ。
三人は国王が倒られた今こそが聖王国を牛耳る好機と判断し謁見を希望したのにこの始末。
そして二人は自分たちの企みに最初から気付いていたふしがある。
このままでは聖王国を牛耳る以前に、王宮内での自分達の立場すら悪くなってしまうかも知れないのだ。
それだけは防がなくてはならない。
何か二人に反撃する手段は無いものかと思考する三人。
やがてバイアンがその一手を思いつき口を開いた。
「恐れながら…ポーラニア殿下、以前この王宮に居たクロカワ殿の一行が殿下の暗殺を狙ったという情報が商会の情報網から入りました。
クロカワ殿一行は異世界の戦士としては過去には例が無かった計36人という大人数。
そんな一行が出奔(しゅっぽん)して殿下を暗殺を企てる様な悪党になってしまったのは、この国に取って危険極まりないと思います。
恐れながら…そもそもクロカワ殿一行が出奔したのは、この聖王国の対応等に責任があったのでは無いでしょうか?」
「バイアン、ボク達はクロカワ君たちには異世界の戦士として最大限の待遇をしていたつもりだよ!」
「しかしその結果としてクロカワ殿一行は出奔してしまっておりますじゃ」
「そして陛下を暗殺しようとするまでに成り下がりました。
クロカワ一行はこの国の、いやエゾン・レイギスに取っての危険分子となっていますぞ。
これは聖王国の、強いては殿下たちにも責が無いとは言いますまい?」
「君たち! 随分と好き勝手言ってくれるじゃないか!」
「ミリフィアお姉様、お待ちください」
「ポーラニア…」
「確かにわたくしたち聖王国にも責任はあったかも知れませんね」
「それでは殿下も責を認められるという事ですかな?」
「そうですね、聖王国の王国代理をつとめる者として、クロカワ様一行の愚行の責は取らせて頂きましょう。
わたくしたち聖王国は、クロカワ様一行を魔族と戦って下さる異世界の戦士一行として迎え、厚遇しました。
クロカワ様の野心めいたその振る舞いに気付きながらも、この国の為、そしてこの人間界の為に戦って下さると期待して。
ですがそれは只の甘えでした。
そもそも出奔した時に何の罪にも問わなかったのも、クロカワ様に考えを改めて聖王国に戻って下さると期待しての甘えでした。
わたくしたちは終始クロカワ様一行に甘い期待をしていたのです。
ですから、わたくしは責任を取ってクロカワ様一行への態度を改めましょう!
彼女一行は最早この国に、そしてエゾン・レイギスに仇なす犯罪者でしか無いと言うのは、あなたたちと見解の一致です。
ですから、クロカワ様…いやクロカワ一行への対応を犯罪者に見合った容赦無いものへと修正いたしましょう!
たった今から、わたくしポーラニアの名のもとに、エクスラント聖王国はクロカワ一行を一級国家反逆罪集団として指定し、このエゾン・レイギス中に指名手配します!
そして、彼女たちに協力しているエゾン・レイギスの者達も重犯罪者として厳しく裁いていく所存です!」
「…な、何ですとお!?」
影でそれぞれがクロカワに何らかの便宜を図って関係を結んでいた三人に取って、ポーラニア陛下のその発言は衝撃だった。
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