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第44話 魔導将
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「フォフォフォ…なぁに、この年寄りの耳にちょいと若き魔族の悔しみの声が聞こえたんでのう。
ガルヴァーヴ、その若い竜にチャンスを与えたらどうじゃ?
儂ら魔導軍には今地上に出られ、かつ強い手勢が居なくてな。
魔力数値1000以上の魔力を持つ者は精霊の結界の隙間を抜けられぬからのう。
そこでじゃ、その若い竜リュシウムを儂に貸して欲しいんじゃよ。
儂らの魔術と知略に、魔竜(エビルドラゴン)の強靭さが合わされば勇者討伐も人間界への侵攻も上手くいくとは思わんか?」
魔導将アポクリファル、大魔王直属の魔界五軍将のひとりで魔界五軍のひとつである魔導軍を統べる者。
爺の姿をした魔導学技術に秀でた魔族の将は同僚である魔竜将に問いかけた。
「魔導将アポクリファルよ、なるほどあいわかった。
だがお前は魔界一の魔導学者であると同時に狂魔導学者(マッドソーサラー)でもあるからな。
魔竜は全てオレの可愛い眷属。
もしぞんざいに扱って壊してもらっては困るし、そうなればオレは只では済まさんぞ?」
「そんなことはせんよ、儂ら魔導軍は手勢不足なんじゃ。
貴重な戦力として迎えるのだから丁重に使わせてもらうわい」
「リュシウム、聞いた通りだ。
この魔界の狂魔導学者がお前を借りたがっている。
行くか行かないかはお前が決めろ」
「我が偉大なる主ガルヴァーヴ様ッ! それではこのリュシウム、ぜひアポクリファル様の下で働きたく思いますッ!」
「そうか、ならば行くがいいリュシウム。
アポクリファル、くれぐれも言うが…壊すなよ!」
「フォフォフォ…了解じゃ」
魔界の狂魔導学者、魔導将アポクリファルは若き魔竜リュシウムを従わせると魔竜山砦(まりゅうさんさい)から去っていった。
「ガルヴァーヴ様、あんなにあっさりリュシウムをアポクリファル様に貸し与えて良かったのですか?」
「まあ正直面白くは無いが仕方がないだろう。
リュシウムは明らかに不満だったろうから、その気持ちの発散場所として魔導将の下で働くという場所を与えてやったという訳だ。
アイツは若いし純種主義なところがある、若く半魔族でありながらオレの副官をしているお前に色々と対抗している所があるんだろうな」
「しかしガルヴァーヴ様が私を重用したのは実力を重視されるからでしょう? 私は厳しい鍛錬の末に剣技を極めてガルヴァーヴ様にこの地位を頂きました。
何も後ろめたいことは無いのですが」
「まあ物事はそう単純では無いということだ、オレの副官ディラムよ。
そしてこのオレも信頼する副官を悪く言われて、売り言葉に買い言葉でリュシウムに辛く当たってしまったからな。
その穴埋めはしなくてはならん。
くくく、全くオレは基本的には大人げないからな。
軍団の長を務めるのも一苦労だ、ははは!」
ガルヴァーヴ、その若い竜にチャンスを与えたらどうじゃ?
儂ら魔導軍には今地上に出られ、かつ強い手勢が居なくてな。
魔力数値1000以上の魔力を持つ者は精霊の結界の隙間を抜けられぬからのう。
そこでじゃ、その若い竜リュシウムを儂に貸して欲しいんじゃよ。
儂らの魔術と知略に、魔竜(エビルドラゴン)の強靭さが合わされば勇者討伐も人間界への侵攻も上手くいくとは思わんか?」
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だがお前は魔界一の魔導学者であると同時に狂魔導学者(マッドソーサラー)でもあるからな。
魔竜は全てオレの可愛い眷属。
もしぞんざいに扱って壊してもらっては困るし、そうなればオレは只では済まさんぞ?」
「そんなことはせんよ、儂ら魔導軍は手勢不足なんじゃ。
貴重な戦力として迎えるのだから丁重に使わせてもらうわい」
「リュシウム、聞いた通りだ。
この魔界の狂魔導学者がお前を借りたがっている。
行くか行かないかはお前が決めろ」
「我が偉大なる主ガルヴァーヴ様ッ! それではこのリュシウム、ぜひアポクリファル様の下で働きたく思いますッ!」
「そうか、ならば行くがいいリュシウム。
アポクリファル、くれぐれも言うが…壊すなよ!」
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「ガルヴァーヴ様、あんなにあっさりリュシウムをアポクリファル様に貸し与えて良かったのですか?」
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