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第42話 魔竜軍議
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魔界に生息する竜である魔竜(エビルドラゴン)が住まう山、魔竜山脈の主峰の頂上に建つ砦、魔竜山砦(まりゅうさんさい)。
巨大な竜が難なく出入り出来るこの砦はとてつもなく広い。
その砦の最上階にある王の間に、大魔王直属の魔界五軍のひとつ魔竜軍の主力である魔竜たちが集っていた。
上座には魔竜軍を統べる魔竜将ガルヴァーヴが座り、その隣には副官である魔騎士ディラムが立ち、ガルヴァーヴの前に魔竜たちが集うという形である。
「それではオレの副官ディラムよ、此処に集まった皆にお前が戦った異世界の勇者について聞かせてやれ」
「はっ、ガルヴァーヴ様。
異世界の勇者、『ユウカ』と呼ばれていた女ですが、魔力数値は最初250でした。
少し高めの数値ではあるものの、我が力ならばたやすく御せると判断したのですが、女は感情の高ぶりと共に魔力が上昇し600まで上昇しました。
我も危険と判断し攻撃を仕掛けたところ、女は勇者専用の武器、星剣と思われる剣の力を引き出して魔力数値1200まで上昇しました。
私は持てる力の全てで持って女に攻撃を仕掛けました。
ですが女は星剣から『光の刃』を展開させて魔力数値を1500まで上昇させました。
そして私の放った最大の魔剣技は女にいなされ、逆に光の剣に斬り裂かれて敗北、ガルヴァーヴ様の温情で命は取り留めました。
これが私、魔騎士ディラムが勇者ユウカと戦った顛末でございます」
「ディラム副官の通常魔力数値は850で最大数値は1300もあるのだぞ!? それをも凌駕するのか異世界の勇者は?」
「異世界の勇者はそれ程の魔力の持ち主なのか!?」
「我等魔竜の魔力数値は少なくとも700以上は確実だが、複数でかからなければ勇者に勝てぬということか!?」
「恐るべきは勇者ユウカは召喚したての身でありながら既にこれ程の力を発揮しているということです。
今後更に力を伸ばし、我等魔族に対して更なる脅威と成るとこのディラムは確信しております」
「流石は精霊達が大魔王様を倒すべく呼び出した勇者というべきか?
しかし星剣か…確か星剣エクシオンという名前だったか? 確かにあの剣はよく切れる剣だったな。
くくく、500年前の戦いでこのオレも右腕を斬り飛ばされて再生するのに時間を要したのを思い出したぜ」
魔竜将は自身の右腕に手を添えるとその竜を思わせる鋭い瞳を細めてニヤリと笑った。
「ディラムよ、勇者のほかにもう一人気になる男が居たよなぁ? そいつについても皆に聞かせてやれ」
「はっ、ガルヴァーヴ様。
勇者ユウカの側に彼女の兄と思わしき男が居ました。
その時は名は分かりませんでしたが、後で使い魔に調べさせたところ『ケイガ』と判明しました。
奴もかなりの腕でございました。我が勇者と戦う前に最初に戦って対等に撃ち合った相手です」
「つまりその勇者の兄もディラム副官の通常の魔力数値850ぐらいということなのか!?」
「我等魔竜を凌ぐ魔力を持つ人間が一度に二人も召喚されたというのか!」
「異世界の人間の魔力数値は大概100前後で高くてもせいぜい200前後、そんな奴らが幾ら来ようとも我等魔竜からすれば敵では無かったが、これは…」
「いえ、そのケイガという男は魔力数値がゼロだったのです。
しかし奴はこのエゾン・レイギスでは稀な『気』を使いこなす戦士でございました。
その力故にこの世界に召喚されたのでは無いかと我は感じております」
「『気』を使う異世界の戦士というのは面白いよなぁ。くくく、その男と勇者の二人の兄妹が組んで更に力を付ければ500年前の勇者をも凌ぐ存在になるかも知れんな」
「ガルヴァーヴ様が笑っている…?」
「おお…我らが魔竜の王は強い者と戦うことを何よりも至上の喜びとする御方…」
「ガルヴァーヴ様は勇者とその兄が御身に匹敵する存在に成り得る可能性に喜んでおられるということか…」
魔竜達は竜の様な目を細めて喜々する自分たちの主を見て、新たな異世界の勇者とその兄の更なる力の可能性に驚き、そしてそれに全く臆することの無いガルヴァーヴの器の大きさに歓喜した。
巨大な竜が難なく出入り出来るこの砦はとてつもなく広い。
その砦の最上階にある王の間に、大魔王直属の魔界五軍のひとつ魔竜軍の主力である魔竜たちが集っていた。
上座には魔竜軍を統べる魔竜将ガルヴァーヴが座り、その隣には副官である魔騎士ディラムが立ち、ガルヴァーヴの前に魔竜たちが集うという形である。
「それではオレの副官ディラムよ、此処に集まった皆にお前が戦った異世界の勇者について聞かせてやれ」
「はっ、ガルヴァーヴ様。
異世界の勇者、『ユウカ』と呼ばれていた女ですが、魔力数値は最初250でした。
少し高めの数値ではあるものの、我が力ならばたやすく御せると判断したのですが、女は感情の高ぶりと共に魔力が上昇し600まで上昇しました。
我も危険と判断し攻撃を仕掛けたところ、女は勇者専用の武器、星剣と思われる剣の力を引き出して魔力数値1200まで上昇しました。
私は持てる力の全てで持って女に攻撃を仕掛けました。
ですが女は星剣から『光の刃』を展開させて魔力数値を1500まで上昇させました。
そして私の放った最大の魔剣技は女にいなされ、逆に光の剣に斬り裂かれて敗北、ガルヴァーヴ様の温情で命は取り留めました。
これが私、魔騎士ディラムが勇者ユウカと戦った顛末でございます」
「ディラム副官の通常魔力数値は850で最大数値は1300もあるのだぞ!? それをも凌駕するのか異世界の勇者は?」
「異世界の勇者はそれ程の魔力の持ち主なのか!?」
「我等魔竜の魔力数値は少なくとも700以上は確実だが、複数でかからなければ勇者に勝てぬということか!?」
「恐るべきは勇者ユウカは召喚したての身でありながら既にこれ程の力を発揮しているということです。
今後更に力を伸ばし、我等魔族に対して更なる脅威と成るとこのディラムは確信しております」
「流石は精霊達が大魔王様を倒すべく呼び出した勇者というべきか?
しかし星剣か…確か星剣エクシオンという名前だったか? 確かにあの剣はよく切れる剣だったな。
くくく、500年前の戦いでこのオレも右腕を斬り飛ばされて再生するのに時間を要したのを思い出したぜ」
魔竜将は自身の右腕に手を添えるとその竜を思わせる鋭い瞳を細めてニヤリと笑った。
「ディラムよ、勇者のほかにもう一人気になる男が居たよなぁ? そいつについても皆に聞かせてやれ」
「はっ、ガルヴァーヴ様。
勇者ユウカの側に彼女の兄と思わしき男が居ました。
その時は名は分かりませんでしたが、後で使い魔に調べさせたところ『ケイガ』と判明しました。
奴もかなりの腕でございました。我が勇者と戦う前に最初に戦って対等に撃ち合った相手です」
「つまりその勇者の兄もディラム副官の通常の魔力数値850ぐらいということなのか!?」
「我等魔竜を凌ぐ魔力を持つ人間が一度に二人も召喚されたというのか!」
「異世界の人間の魔力数値は大概100前後で高くてもせいぜい200前後、そんな奴らが幾ら来ようとも我等魔竜からすれば敵では無かったが、これは…」
「いえ、そのケイガという男は魔力数値がゼロだったのです。
しかし奴はこのエゾン・レイギスでは稀な『気』を使いこなす戦士でございました。
その力故にこの世界に召喚されたのでは無いかと我は感じております」
「『気』を使う異世界の戦士というのは面白いよなぁ。くくく、その男と勇者の二人の兄妹が組んで更に力を付ければ500年前の勇者をも凌ぐ存在になるかも知れんな」
「ガルヴァーヴ様が笑っている…?」
「おお…我らが魔竜の王は強い者と戦うことを何よりも至上の喜びとする御方…」
「ガルヴァーヴ様は勇者とその兄が御身に匹敵する存在に成り得る可能性に喜んでおられるということか…」
魔竜達は竜の様な目を細めて喜々する自分たちの主を見て、新たな異世界の勇者とその兄の更なる力の可能性に驚き、そしてそれに全く臆することの無いガルヴァーヴの器の大きさに歓喜した。
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