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第31話 察しの良過ぎる妹

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俺はさっき心の中で色々と叫んだ結果、少し心が落ち着いた。
きっとしばらくの間は色々と持ちこたえられるだろうから、その間に新しい妹たちに慣れていけば大丈夫だろう、多分。
俺は自分の腕に手を絡ませて満足気でおられるポーラ姫に話しかける。

「…それでポーラ、王城までは結構遠いのかな?」

「王城から光の神殿は1日もかからない距離ですから、本日中には着くと思いますわ」

 なるほど、どこかで宿を取るとか野営とかの必要は無さそうだ。
 そういえば昔のゲームでドラゴンを倒してお姫様を助けて宿屋に泊ったら次の日に宿の主人が、
 『さくばんはおたのしみでしたね』とか言うのだが、宿の主人大概だな!
 というか聞こえるぐらいの大声でナニかしたのか主人公!
 俺はお姫様の顔を見ながらそんなことを考えていた。
 油断すると目線も意識もポーラ姫のおっぱいに全て持ってかれてしまうので思考を止めるわけにはいかないのである。
 俺はそのおっぱい星人だけを殺す兵器から必死に目と意識を反らすためにポーラ姫の顔に視線を集中させていた。
 
「…デレデレしちゃってお兄、いやらし」

 とつぜん優羽花が俺だけに聞こえる様な小さな声でぼそりと言葉を吐くと蔑みの目線で俺を見た。
 ち、違うぞ愛しい妹よ。これは不可抗力だ!

「…良かったね。お兄が好きな大きなおっぱい見放題で」

「何言ってるんだ優羽花! 俺は必死に見ないようにしているんだぞ! …えっ? ナンデ? ナンデ俺が…好きなことを知って…?」

「静里菜(せりな)から聞いてるから」

「静里菜サンッ! ナンデ? ナンデ!?」

 馬鹿な…俺はおっぱい星人と毛摂られないように今まで細心の注意を払ってきたのだぞ!
 俺国の最重要国家機密がいともたやすく情報漏れ…だと…?
 確かに静里菜は洞察力に優れている所があるが…そこまでわかるのか!?
 いやちょっと待って! もしかすると静里菜は俺の性癖を全て知っているのでは…?
 俺の心のハードディスク丸見えなんですか静里菜サン!?
 そして優羽花も静里菜から俺の性癖を全て聞いているのでは…?
 俺は怖くなって思わず優羽花を見た。

「…何よ?」

「何でもない」

 俺はその恐ろしい可能性を胸にしまった。
 気が付かなかったことにしよう。
 大丈夫、きっと妹たちは気づいてはいない、大丈夫だから。
 そうじゃないと俺の繊細な心は耐えられないから。

 …!?
 俺は突如嫌な気配がして地面を見た。
 見通しの眼鏡(スカウターレンズ)に突然の反応、魔力数値100の数字が浮かぶ。
 俺はポーラ姫と優羽花を強引に抱きよせ両脇に抱えると地面を強く蹴り上げて横に跳んだ。

「お兄様!?」
「お兄!?」
「ミリィは後ろに跳べ! シノブさんは前に跳んで! 姫騎士団のみんなは陣形の外側に退避!」

 俺は跳びながらみんなに退避の指示を出した。
 皆が急ぎ退避する最中、さっきまで俺が居た場所がぼこおっ! と盛り上がって土色の巨大な人型の怪物が姿を現した。
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