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第30話 苦しみの鳴鐘 慧河(なるがね けいが)

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「魔族の騎士ディラム…魔竜将ガルヴァーヴの側近というのなら事実ならその者は魔族の中でもかなり上位の存在と思われますわ。
ガルヴァーヴは大魔王に次ぐ力を持つという五人の元魔王であり大魔王直属の魔界五軍将の一人。
500年前の人間と魔族の大戦時にも猛威を振るい幾つもの国を滅ぼしたと言われています。
魔族も勇者様の召喚を察して本腰を上げてきたということになりますわね」

 俺と優羽花が戦った魔族ディラムについて話すと、ポーラ姫がその上官の魔族について説明してくれた。
 国を滅ぼすって…部下のディラムがあんなに強かったのに、もっと凄いのかその魔竜将ガルヴァーヴというのは。
 そして何よりも、横から見てもポーラ姫のおっぱい凄いな!
 おっぱい星人の俺からすれば戦略兵器である。
 だ、駄目だ…このままでは俺はこのおっぱいに撃沈されてしまう。
 俺は必死にその超兵器から目を逸らすとポーラ姫の顔に視線を集中させた。

「あのポーラ?俺からも質問があるのだが…その、ちょっと距離が近くない?」

「そんなことはないと思いますわ」

「いや近いよポーラ!何で俺と腕を組んでいるんですか!」

「愛しいお兄様といつも繋がりたい、そう思うのは妹として当然ですわ」

 俺はことあることに俺の腕に抱き着いてきたもう一人の愛しい妹、静里菜(せりな)のことを思い出した。
 そうか…妹が兄と腕を組むのは当然か、それなら仕方が無いのだろう。俺は納得する。
 しかしですねえポーラさん、あなたとはさっき兄妹になったばかりで俺は全然馴れてないんですよ。
 そして歩くたびにあなたのおっきなおっぱいが俺の腕に当たっているんです。
 そのたびに俺の理性防衛線がガシガシ削られているんです助けてえ!

「まあ、ポーラはファイズ殿下への対する思いの強さは他の追随を許さなかったからね、その反動あって仕方が無いと言わざるを得ないね。
ポーラは中身は残念な愚妹(ぐまい)だが見てくれは完ぺきなお姫様だから兄君様からすれば心中穏やかではないかも知れないけど、しばらくはこの調子も仕方が無いと諦めてくれたまえ」

 そう言ってミリィは俺の肩にぽんと触れながら軽やかに笑う。
 いやですねミリィさん、まるで自分は関係ないような素振りしてますけどあなたも大概すごい美少女なんですよ…。
 あなたもポーラ姫みたいにおっぱいが大きかったら即死していた、俺が。
 控えめだったから致命傷で済んだんですよ。

 ポーラ姫、ミリィ、そして姫騎士団のシノブさん、カエデ、モミジ、イチョウ、クレハ、シダレ、イロハ、ツツジ。
 今日いきなり妹になったばかりの見目麗しい皆さんに俺は全然馴れてないんです。
 どうしてもどきどきしてしまうんです。
 もしかして俺のこと好きなの?ぐふふ…と気持ち悪く勘違いしてしまうんです。
 兄と妹の関係なだけなのにね!
 俺はどうしようもない25歳童貞で半年間無職ニートなんです。
 女の子に全然馴れてないんです。
 優羽花と静里菜には妹歴16年の実績があるから大丈夫なだけなんです。
 ごめんなさい嘘つきました静里菜には転移前の制服姿にちょっとだけ、どきっとしてました! ちょっとだけだから許して!
 助けて優羽花! ああ…俺には心の底から平常心で見られる妹は優羽花だけなのか?
 ツンデレだけど! デレの部分見たこと無いけど!
 俺は皆を優羽花の様に見られる時が来るのだろうか…。
 一刻も早く『俺には性欲が無い…』と決め顔でクールに受け流すようなお兄様になりたいです!
 今は性欲めっちゃありますうううー! 駄目えええー! このままだとお兄ちゃんの理性が壊れちゃうのおおおーー!!
 俺は心の中で悶え苦しみ叫んだ。
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