上 下
27 / 556

第27話 魂の波動

しおりを挟む
「ファイズお兄様とケイガお兄様は瓜二つなのです!
つまりこれは!噂に聞く異世界をされたという証左なのですわ!
ファイズお兄様が地球と呼ばれる異世界にケイガお兄様として転生し、そして精霊様に召喚されて戻って来たと考えるのが筋と言うものです!
ファイズお兄様だった頃の記憶は忘れられている様ですが大丈夫ですわ! これからポーラがずっとお側にいます!
前世でお兄様の側にいつも居た最愛の妹であるポーラと一緒にいれば妹の愛の力できっと記憶がよみがえる筈です! ですからお兄様今からさっそくポーラとしっぽりきゃうン!」

 俺の手を握って来て三度ヒートアップして来たポーラ姫をミリィが杖で押しのけると俺と姫の間に割って入ってきた。

「だからいい加減にしたまえポーラ! 兄君様(あにぎみさま)が困っているって言っているだろう!
まったく、頭に血が上ると止まらなくなってしまう所がポーラの悪い所だよ…まあそこが可愛い所でもあるのだけどね」

「うう…でもミリィお姉様。ファイズお兄様とケイガお兄様は瓜二つなのはまぎれもない事実ですわ。
これは話に聞く異世界転生されていると考えるのが普通なのではないでしょうか?」

「ボクは異世界召喚すなわち転移はセカイからセカイへの移動だから現象としては理論的に問題ないと思っているよ。
実際に地球と言うセカイからこのエゾン・レイギスに転移している現象は今、目の前で確認されているからね。
でも異世界転生はどうなんだろうね? 話には聞いているけど、少なくともこのエクスラント聖王国では確認されていない現象だよ。
そもそも異世界転生というのは理論的にはどうなんだい? 別のセカイの人間に転生して別のセカイの人間の魂に同居しているとか魂を上書きするとか訳がわからないよ!
それだと転生先の人間はどういう扱いなんだい? 元の世界の人間のほうが優先されるのかい?
大体人の魂と言うのは死んだらそれで終わりじゃないのかい?
新しく生まれる身体と共に魂も新しく生まれるものではないのかい?
何が異世界転生だよ! ボクは認められないね!」

「ストップです! そこまでですわミリィお姉様! でないと一千万人の異世界転生ファンを敵に回してしまいますわ! 今すぐあやまって! あやまって下さいミリィお姉様!!」

「今のは俺も謝った方がいいと思う…」

「あたしもそう思う…」

「な、なんだい皆して? ボクそんなに悪いこと言ったのかい…?
コホン、まあ言い過ぎた感はあるかな。ごめん悪かったよ…って誰に謝まっているんだいボクはっ!?
と、とにかくボクは兄君様の異世界転生については眉唾(まゆつば)モノだと思っているよ。
まあここはエルフの血を半分引いているボクが白黒はっきり付けてあげようじゃないか」

 そう言うとミリィは俺にふわりと抱き着いて頬に口づけをした。

「ええっーー!?」
「ずるいですわミリィお姉様ーー!」

 驚きの声を上げる優羽花(ゆうか)とポーラ姫。
俺もミリィの突然の行動に正直びっくりしている。

「まったく…君たち人間にとっては口づけは違う意味を持つみたいだが、エルフにとって口づけは力の流れを知る手段なのだよ。
…まあボクも半分人間だから、流石に唇同士は躊躇するけどね。
ふむ、今の兄君様には誰かが掛けた護りの術みたいなものが宿っているみたいだね。
まあそれは今は関係ないから置いておいて、エルフは魂の波動を認識することができるのさ。
ボクはファイズ殿下の魂の波動も知っているから、兄君様の波動と記憶の中の殿下の波動と比較してみたのだけど、全然違うね。これは完全に他人の空似だろう」

「そ、そんな…」

 がっくりとうな垂れるポーラ姫。
 まるでセカイの終わりが来たような顔をしている。
 えっと…流石にこれはいたたまれなくなって俺は声をかけた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

日本帝国陸海軍 混成異世界根拠地隊

北鴨梨
ファンタジー
太平洋戦争も終盤に近付いた1944(昭和19)年末、日本海軍が特攻作戦のため終結させた南方の小規模な空母機動部隊、北方の輸送兼対潜掃討部隊、小笠原増援輸送部隊が突如として消失し、異世界へ転移した。米軍相手には苦戦続きの彼らが、航空戦力と火力、機動力を生かして他を圧倒し、図らずも異世界最強の軍隊となってしまい、その情勢に大きく関わって引っ掻き回すことになる。

D○ZNとY○UTUBEとウ○イレでしかサッカーを知らない俺が女子エルフ代表の監督に就任した訳だが

米俵猫太朗
ファンタジー
ただのサッカーマニアである青年ショーキチはひょんな事から異世界へ転移してしまう。 その世界では女性だけが行うサッカーに似た球技「サッカードウ」が普及しており、折りしもエルフ女子がミノタウロス女子に蹂躙されようとしているところであった。 更衣室に乱入してしまった縁からエルフ女子代表を率いる事になった青年は、秘策「Tバック」と「トップレス」戦術を授け戦いに挑む。 果たしてエルフチームはミノタウロスチームに打ち勝ち、敗者に課される謎の儀式「センシャ」を回避できるのか!? この作品は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。

異世界帰りの底辺配信者のオッサンが、超人気配信者の美女達を助けたら、セレブ美女たちから大国の諜報機関まであらゆる人々から追われることになる話

kaizi
ファンタジー
※しばらくは毎日(17時)更新します。 ※この小説はカクヨム様、小説家になろう様にも掲載しております。 ※カクヨム週間総合ランキング2位、ジャンル別週間ランキング1位獲得 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 異世界帰りのオッサン冒険者。 二見敬三。 彼は異世界で英雄とまで言われた男であるが、数ヶ月前に現実世界に帰還した。 彼が異世界に行っている間に現実世界にも世界中にダンジョンが出現していた。 彼は、現実世界で生きていくために、ダンジョン配信をはじめるも、その配信は見た目が冴えないオッサンということもあり、全くバズらない。 そんなある日、超人気配信者のS級冒険者パーティを助けたことから、彼の生活は一変する。 S級冒険者の美女たちから迫られて、さらには大国の諜報機関まで彼の存在を危険視する始末……。 オッサンが無自覚に世界中を大騒ぎさせる!?

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

異世界転生 我が主のために ~不幸から始まる絶対忠義~ 冒険・戦い・感動を織りなすファンタジー

紫電のチュウニー
ファンタジー
 第四部第一章 新大陸開始中。 開始中(初投稿作品)  転生前も、転生後も 俺は不幸だった。  生まれる前は弱視。  生まれ変わり後は盲目。  そんな人生をメルザは救ってくれた。  あいつのためならば 俺はどんなことでもしよう。  あいつの傍にずっといて、この生涯を捧げたい。  苦楽を共にする多くの仲間たち。自分たちだけの領域。  オリジナルの世界観で描く 感動ストーリーをお届けします。

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

処理中です...