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第27話 魂の波動
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「ファイズお兄様とケイガお兄様は瓜二つなのです!
つまりこれは!噂に聞く異世界をされたという証左なのですわ!
ファイズお兄様が地球と呼ばれる異世界にケイガお兄様として転生し、そして精霊様に召喚されて戻って来たと考えるのが筋と言うものです!
ファイズお兄様だった頃の記憶は忘れられている様ですが大丈夫ですわ! これからポーラがずっとお側にいます!
前世でお兄様の側にいつも居た最愛の妹であるポーラと一緒にいれば妹の愛の力できっと記憶がよみがえる筈です! ですからお兄様今からさっそくポーラとしっぽりきゃうン!」
俺の手を握って来て三度ヒートアップして来たポーラ姫をミリィが杖で押しのけると俺と姫の間に割って入ってきた。
「だからいい加減にしたまえポーラ! 兄君様(あにぎみさま)が困っているって言っているだろう!
まったく、頭に血が上ると止まらなくなってしまう所がポーラの悪い所だよ…まあそこが可愛い所でもあるのだけどね」
「うう…でもミリィお姉様。ファイズお兄様とケイガお兄様は瓜二つなのはまぎれもない事実ですわ。
これは話に聞く異世界転生されていると考えるのが普通なのではないでしょうか?」
「ボクは異世界召喚すなわち転移はセカイからセカイへの移動だから現象としては理論的に問題ないと思っているよ。
実際に地球と言うセカイからこのエゾン・レイギスに転移している現象は今、目の前で確認されているからね。
でも異世界転生はどうなんだろうね? 話には聞いているけど、少なくともこのエクスラント聖王国では確認されていない現象だよ。
そもそも異世界転生というのは理論的にはどうなんだい? 別のセカイの人間に転生して別のセカイの人間の魂に同居しているとか魂を上書きするとか訳がわからないよ!
それだと転生先の人間はどういう扱いなんだい? 元の世界の人間のほうが優先されるのかい?
大体人の魂と言うのは死んだらそれで終わりじゃないのかい?
新しく生まれる身体と共に魂も新しく生まれるものではないのかい?
何が異世界転生だよ! ボクは認められないね!」
「ストップです! そこまでですわミリィお姉様! でないと一千万人の異世界転生ファンを敵に回してしまいますわ! 今すぐあやまって! あやまって下さいミリィお姉様!!」
「今のは俺も謝った方がいいと思う…」
「あたしもそう思う…」
「な、なんだい皆して? ボクそんなに悪いこと言ったのかい…?
コホン、まあ言い過ぎた感はあるかな。ごめん悪かったよ…って誰に謝まっているんだいボクはっ!?
と、とにかくボクは兄君様の異世界転生については眉唾(まゆつば)モノだと思っているよ。
まあここはエルフの血を半分引いているボクが白黒はっきり付けてあげようじゃないか」
そう言うとミリィは俺にふわりと抱き着いて頬に口づけをした。
「ええっーー!?」
「ずるいですわミリィお姉様ーー!」
驚きの声を上げる優羽花(ゆうか)とポーラ姫。
俺もミリィの突然の行動に正直びっくりしている。
「まったく…君たち人間にとっては口づけは違う意味を持つみたいだが、エルフにとって口づけは力の流れを知る手段なのだよ。
…まあボクも半分人間だから、流石に唇同士は躊躇するけどね。
ふむ、今の兄君様には誰かが掛けた護りの術みたいなものが宿っているみたいだね。
まあそれは今は関係ないから置いておいて、エルフは魂の波動を認識することができるのさ。
ボクはファイズ殿下の魂の波動も知っているから、兄君様の波動と記憶の中の殿下の波動と比較してみたのだけど、全然違うね。これは完全に他人の空似だろう」
「そ、そんな…」
がっくりとうな垂れるポーラ姫。
まるでセカイの終わりが来たような顔をしている。
えっと…流石にこれはいたたまれなくなって俺は声をかけた。
つまりこれは!噂に聞く異世界をされたという証左なのですわ!
ファイズお兄様が地球と呼ばれる異世界にケイガお兄様として転生し、そして精霊様に召喚されて戻って来たと考えるのが筋と言うものです!
ファイズお兄様だった頃の記憶は忘れられている様ですが大丈夫ですわ! これからポーラがずっとお側にいます!
前世でお兄様の側にいつも居た最愛の妹であるポーラと一緒にいれば妹の愛の力できっと記憶がよみがえる筈です! ですからお兄様今からさっそくポーラとしっぽりきゃうン!」
俺の手を握って来て三度ヒートアップして来たポーラ姫をミリィが杖で押しのけると俺と姫の間に割って入ってきた。
「だからいい加減にしたまえポーラ! 兄君様(あにぎみさま)が困っているって言っているだろう!
まったく、頭に血が上ると止まらなくなってしまう所がポーラの悪い所だよ…まあそこが可愛い所でもあるのだけどね」
「うう…でもミリィお姉様。ファイズお兄様とケイガお兄様は瓜二つなのはまぎれもない事実ですわ。
これは話に聞く異世界転生されていると考えるのが普通なのではないでしょうか?」
「ボクは異世界召喚すなわち転移はセカイからセカイへの移動だから現象としては理論的に問題ないと思っているよ。
実際に地球と言うセカイからこのエゾン・レイギスに転移している現象は今、目の前で確認されているからね。
でも異世界転生はどうなんだろうね? 話には聞いているけど、少なくともこのエクスラント聖王国では確認されていない現象だよ。
そもそも異世界転生というのは理論的にはどうなんだい? 別のセカイの人間に転生して別のセカイの人間の魂に同居しているとか魂を上書きするとか訳がわからないよ!
それだと転生先の人間はどういう扱いなんだい? 元の世界の人間のほうが優先されるのかい?
大体人の魂と言うのは死んだらそれで終わりじゃないのかい?
新しく生まれる身体と共に魂も新しく生まれるものではないのかい?
何が異世界転生だよ! ボクは認められないね!」
「ストップです! そこまでですわミリィお姉様! でないと一千万人の異世界転生ファンを敵に回してしまいますわ! 今すぐあやまって! あやまって下さいミリィお姉様!!」
「今のは俺も謝った方がいいと思う…」
「あたしもそう思う…」
「な、なんだい皆して? ボクそんなに悪いこと言ったのかい…?
コホン、まあ言い過ぎた感はあるかな。ごめん悪かったよ…って誰に謝まっているんだいボクはっ!?
と、とにかくボクは兄君様の異世界転生については眉唾(まゆつば)モノだと思っているよ。
まあここはエルフの血を半分引いているボクが白黒はっきり付けてあげようじゃないか」
そう言うとミリィは俺にふわりと抱き着いて頬に口づけをした。
「ええっーー!?」
「ずるいですわミリィお姉様ーー!」
驚きの声を上げる優羽花(ゆうか)とポーラ姫。
俺もミリィの突然の行動に正直びっくりしている。
「まったく…君たち人間にとっては口づけは違う意味を持つみたいだが、エルフにとって口づけは力の流れを知る手段なのだよ。
…まあボクも半分人間だから、流石に唇同士は躊躇するけどね。
ふむ、今の兄君様には誰かが掛けた護りの術みたいなものが宿っているみたいだね。
まあそれは今は関係ないから置いておいて、エルフは魂の波動を認識することができるのさ。
ボクはファイズ殿下の魂の波動も知っているから、兄君様の波動と記憶の中の殿下の波動と比較してみたのだけど、全然違うね。これは完全に他人の空似だろう」
「そ、そんな…」
がっくりとうな垂れるポーラ姫。
まるでセカイの終わりが来たような顔をしている。
えっと…流石にこれはいたたまれなくなって俺は声をかけた。
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