22 / 556
第22話 優羽花(ゆうか)の覚醒
しおりを挟む
「う、おおおお!」
俺は両腕を交差させてディラムの斬撃波(ざんげきは)を受け止める。
痛い、すごく痛くて腕がちぎれそうだ! 三の型、金剛(こんごう)で肉体強度を鋼(はがね)並みに引き上げている筈なのにこの威力。
「…おいおい、身体を両断されても死なないって魔族ってのは不死身なのかよ?」
「我等魔族でもに身体を二つに引き裂かれれば無事では済まないだろう。
だが斬られる前に自らの意思で分離すれば問題はない。
それよりも私は貴様が我が斬撃波をあえて受けた事に違和感がある。
上半身だけという不完全な構えで放った技など貴様の速さならいくらでもかわせただろう?」
「俺の後ろには大切な妹が居るんでね。逃げる訳にはいかないんだなこれが」
「…お兄」
「なるほど、女子供を護るその姿勢は見事なり。だがそれはお前の敗北に繋がった」
くっ、腕が動かない…まさか腱が切れたのか!? どうする? ここまでなのか? ならせめて優羽花だけでも…。
「優羽花(ゆうか)…逃げろ。ここは俺が何とかあいつを食い止めるから…その間に」
「な、何言ってんのよお兄! 一人で逃げろなんて馬鹿じゃないの! あたしは…いつもお兄と一緒なんだからね!」
「さらばだ異世界の戦士よ!」
上半身だけで宙に浮くディラムはその手に持った剣を俺に向かって振り下ろした。
「お兄に! 手を出すなあああーー!」
優羽花の絶叫と共にその身体全体から炎の様なものが吹き上がった。
俺が掛けている見通しの眼鏡(スカウターレンズ)には優羽花の魔力数値は600と表示されている。
先程の2倍以上の数字である。つまり優羽花の身体から吹き上がっている炎のようなものが優羽花の本気の魔力ってことなのか?
優羽花は手に持っていた星剣(せいけん)を振るった。それは斬撃波となってディラムに直撃した。
「何ィ! これは!? ぐおおおお!」
優羽花が放った斬撃波に吹き飛ばされながらも何とかその場に踏み留まるディラム。
「魔力600だと!?感情の高ぶりで魔力を上げたというのか? だがそれでも我の魔力に及ばぬ筈…しまった身体を分離させたことで我が魔力が半減したか!? ならばッ!」
ディラムの上半身は地上に降下すると待機していた下半身に繋がって瞬く間に元の身体に戻った。
そして優羽花に向かって凄まじい速度で駆けて剣を振りかぶった。
「うああああーー!」
優羽花の叫びと共にその手に握った星剣に光が集中して、それは一回り大きく豪華な形の剣に変化した。
優羽花の魔力数値は1200まで上昇した。ディラムの数値を大きく超えている。
俺は両腕を交差させてディラムの斬撃波(ざんげきは)を受け止める。
痛い、すごく痛くて腕がちぎれそうだ! 三の型、金剛(こんごう)で肉体強度を鋼(はがね)並みに引き上げている筈なのにこの威力。
「…おいおい、身体を両断されても死なないって魔族ってのは不死身なのかよ?」
「我等魔族でもに身体を二つに引き裂かれれば無事では済まないだろう。
だが斬られる前に自らの意思で分離すれば問題はない。
それよりも私は貴様が我が斬撃波をあえて受けた事に違和感がある。
上半身だけという不完全な構えで放った技など貴様の速さならいくらでもかわせただろう?」
「俺の後ろには大切な妹が居るんでね。逃げる訳にはいかないんだなこれが」
「…お兄」
「なるほど、女子供を護るその姿勢は見事なり。だがそれはお前の敗北に繋がった」
くっ、腕が動かない…まさか腱が切れたのか!? どうする? ここまでなのか? ならせめて優羽花だけでも…。
「優羽花(ゆうか)…逃げろ。ここは俺が何とかあいつを食い止めるから…その間に」
「な、何言ってんのよお兄! 一人で逃げろなんて馬鹿じゃないの! あたしは…いつもお兄と一緒なんだからね!」
「さらばだ異世界の戦士よ!」
上半身だけで宙に浮くディラムはその手に持った剣を俺に向かって振り下ろした。
「お兄に! 手を出すなあああーー!」
優羽花の絶叫と共にその身体全体から炎の様なものが吹き上がった。
俺が掛けている見通しの眼鏡(スカウターレンズ)には優羽花の魔力数値は600と表示されている。
先程の2倍以上の数字である。つまり優羽花の身体から吹き上がっている炎のようなものが優羽花の本気の魔力ってことなのか?
優羽花は手に持っていた星剣(せいけん)を振るった。それは斬撃波となってディラムに直撃した。
「何ィ! これは!? ぐおおおお!」
優羽花が放った斬撃波に吹き飛ばされながらも何とかその場に踏み留まるディラム。
「魔力600だと!?感情の高ぶりで魔力を上げたというのか? だがそれでも我の魔力に及ばぬ筈…しまった身体を分離させたことで我が魔力が半減したか!? ならばッ!」
ディラムの上半身は地上に降下すると待機していた下半身に繋がって瞬く間に元の身体に戻った。
そして優羽花に向かって凄まじい速度で駆けて剣を振りかぶった。
「うああああーー!」
優羽花の叫びと共にその手に握った星剣に光が集中して、それは一回り大きく豪華な形の剣に変化した。
優羽花の魔力数値は1200まで上昇した。ディラムの数値を大きく超えている。
0
お気に入りに追加
38
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
漫画の寝取り竿役に転生して真面目に生きようとしたのに、なぜかエッチな巨乳ヒロインがぐいぐい攻めてくるんだけど?
みずがめ
恋愛
目が覚めたら読んだことのあるエロ漫画の最低寝取り野郎になっていた。
なんでよりによってこんな悪役に転生してしまったんだ。最初はそう落ち込んだが、よく考えれば若いチートボディを手に入れて学生時代をやり直せる。
身体の持ち主が悪人なら意識を乗っ取ったことに心を痛める必要はない。俺がヒロインを寝取りさえしなければ、主人公は精神崩壊することなくハッピーエンドを迎えるだろう。
一時の快楽に身を委ねて他人の人生を狂わせるだなんて、そんな責任を負いたくはない。ここが現実である以上、NTRする気にはなれなかった。メインヒロインとは適切な距離を保っていこう。俺自身がお天道様の下で青春を送るために、そう固く決意した。
……なのになぜ、俺はヒロインに誘惑されているんだ?
※他サイトでも掲載しています。
※表紙や作中イラストは、AIイラストレーターのおしつじさん(https://twitter.com/your_shitsuji)に外注契約を通して作成していただきました。おしつじさんのAIイラストはすべて商用利用が認められたものを使用しており、また「小説活動に関する利用許諾」を許可していただいています。
【R18】童貞のまま転生し悪魔になったけど、エロ女騎士を救ったら筆下ろしを手伝ってくれる契約をしてくれた。
飼猫タマ
ファンタジー
訳あって、冒険者をしている没落騎士の娘、アナ·アナシア。
ダンジョン探索中、フロアーボスの付き人悪魔Bに捕まり、恥辱を受けていた。
そんな折、そのダンジョンのフロアーボスである、残虐で鬼畜だと巷で噂の悪魔Aが復活してしまい、アナ·アナシアは死を覚悟する。
しかし、その悪魔は違う意味で悪魔らしくなかった。
自分の前世は人間だったと言い張り、自分は童貞で、SEXさせてくれたらアナ·アナシアを殺さないと言う。
アナ·アナシアは殺さない為に、童貞チェリーボーイの悪魔Aの筆下ろしをする契約をしたのだった!
ある日、近所の少年と異世界に飛ばされて保護者になりました。
トロ猫
ファンタジー
仕事をやめ、なんとなく稼ぎながら暮らしていた白川エマ(39)は、買い物帰りに偶然道端で出会った虐待された少年と共に異世界に飛ばされてしまう。
謎の光に囲まれ、目を開けたら周りは銀世界。
「え?ここどこ?」
コスプレ外国人に急に向けられた剣に戸惑うも一緒に飛ばされた少年を守ろうと走り出すと、ズボンが踝まで落ちてしまう。
――え? どうして
カクヨムにて先行しております。
異世界で等価交換~文明の力で冒険者として生き抜く
りおまる
ファンタジー
交通事故で命を落とし、愛犬ルナと共に異世界に転生したタケル。神から授かった『等価交換』スキルで、現代のアイテムを異世界で取引し、商売人として成功を目指す。商業ギルドとの取引や店舗経営、そして冒険者としての活動を通じて仲間を増やしながら、タケルは異世界での新たな人生を切り開いていく。商売と冒険、二つの顔を持つ異世界ライフを描く、笑いあり、感動ありの成長ファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる