上 下
20 / 556

第20話 魔族の騎士

しおりを挟む
 神殿を出たら魔族の魔騎士ディラムという奴が突然現れて俺たちを殺すと宣言した。
 ええと、それって…ゲーム初めていきなりボスが現れたってパターンか?
 おいおい、最初はスライムを倒してレベル上げるとかじゃないのか?
 しかも今この世界に出てこれる魔族では最強とか言ってたよな…これはやばいんじゃないのか。

「だが戦う前に、お前たちの力を見ておこうか。
これはこの世界の人間がその昔、異世界の戦士の装備から技術を写し取り量産したものだが、便利なので我等魔族も使わせて貰っている」

 そう言ってディラムは片眼鏡(モノクル)の様なものを左目の部分にはめ込んだ。

「これは見通しの眼鏡(スカウターレンズ)といって映した者の魔力値を測定するアイテムだ」

 それって…俺がさっき貰った専用装備の眼鏡と同じ名前だよなあ?
 つまり俺の装備のコピーということか?
 ちなみに俺が掛けている見通しの眼鏡(スカウターレンズ)からはディラムの頭の上に850という数字が見える。

「魔力…ゼロ? 馬鹿な! この世界の人間ならどんな者でも魔力はある、赤ん坊でもだ!
馬鹿な…ありえぬ…そんな魔力無しの役立たずが異世界から呼ばれるなど…そうだ! その男の陰に隠れている女、貴様の魔力は幾らだ!」

 へえ、俺は魔力ゼロなのか? 自分で自分は見れなかったからなあ。
 しかしいきなり役立たずとか失礼な奴だぜ。
 そしてディラムはいつの間にか俺の後ろに隠れていた優羽花(ゆうか)のほうを視て言葉を述べた。

「魔力250…ほう、なかなかの数値だ。
この世界での一般的な人間の大人の数値は5、大魔法使いや大僧侶で200前後。
この世界に来たてでこの数値は我等魔族にとって後に脅威となろう。
確実に今この場で殺さなくてはなるまい…」

「きゃあっ!?」

 ディラムから強烈な殺意が優羽花(ゆうか)に向けられて、それをまともに受けて怯える彼女。
 俺は優羽花をかばって前に出た。

「退くが良い異世界の人間よ。我は魔力の一切無い弱者をいたぶる趣味は無い、その女を殺せれば良いのだ」

「嫌だと言ったら?」

「ならば、貴様もろともその女を殺すのみ」

「じゃあ、戦うしかないよなあ」

 俺はディラムに向かって拳を握って身構えた。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

奇跡の車いすと母の笑顔

O.K
エッセイ・ノンフィクション / 完結 24h.ポイント:35pt お気に入り:1

僕の目の前の魔法少女がつかまえられません!

ライト文芸 / 完結 24h.ポイント:28pt お気に入り:0

隣の席の徳大寺さん

キャラ文芸 / 完結 24h.ポイント:21pt お気に入り:3

聖戦の鎮魂歌

SF / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:1

金曜が終わる、良い終末を

ホラー / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

短編集【BLACK】

ホラー / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

処理中です...