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第18話 魔力満ちる世界、エゾン・レイギス

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「この”魔力満ちる世界、エゾン・レイギス”は、最初はどこまでも広がる海とひとつの島しかありませんでした。
遥かな昔、天空から一つの星が落ちてきました。
星は島に突き刺さりました。
星の中に蓄えられていた精霊たちの力は弾けて、島はとても大きくなりました。
そして星が突き刺さった地面の中は削られて。地下にとても大きな空間が作られました。
やがて地上には人間という生き物が、地下には魔族と呼ばれる生き物が生まれ出て、増えていきました。
地上は人間界と呼ばれるように、地下は魔界と呼ばれるようになりました。
人間界と魔界は地に突き刺さった星を境にして互いに行き来出来ました。

人間は個々としては弱いが数が多い生き物。魔族は個々は強いが数は少ない生き物。
故に互いの力の均衡は取れていました。だがある時、力の均衡が崩れました。
魔界にかつてない強大な力を持つ一人の魔族の王、”魔王”が生まれました。
その魔王は自分以外の魔王を下し魔界を統一すると”大魔王”を名乗り、人間界の支配をも目論み地上に侵攻を始めました。
大魔王率いる魔族の軍勢の力は圧倒的で、人間は滅亡寸前にまで追い詰められました。
世界の均衡を司る精霊たちは星の欠片から星剣を造りだしました。
星剣は魔力を変換して刃にする剣。
精霊たちは星剣を高い魔力を持った一人の人間に授けました、彼の者は”勇者”と呼ばれました。
勇者は大魔王を倒し魔族の軍勢を魔界に退けました。
地上と魔界の境には精霊たちが結界を張って互いに行き来出来ない様にしました。

それから500年の月日が流れ、精霊たちの力が弱まり結界に綻びが出来はじめました。
力の弱い魔族が結界の隙間を抜けて地上に出てくるようになりました。
このまま綻びが大きくなれば、より力の強い魔族も地上に出てくるでしょう。
やがては魔界を統べる大魔王も。
大魔王は勇者に倒されはしましたが滅んでいません。魔界の奥底で眠りにつき力を蓄えているのです。

もうあまり時間は残されてはいません。
今のエゾン・レイギスの人間の魔力は総じて低く、とても星剣を扱えるほどの魔力はありません。
かつての勇者の様な魔力の高い人間の誕生を待つ時間の猶予もありませんでした。
精霊たちは一計を案じました、エゾン・レイギスに似た異世界から魔力の高い人間を召喚することを。
地球の人間がエゾン・レイギスに召喚転移される時、人間に生まれながら備わっている魔力制限回路(リミッター)が外されて高い魔力を得ることが出来ます。
精霊たちは多くの地球人を召喚しました。そしてついに勇者を召喚することに成功したのです。

鳴鐘 優羽花(なるがね ゆうか)、あなたこそが、わたしたちが待ち望んだ”勇者”なのです。
どうか、大魔王を倒し、この世界エゾン・レイギスを救って下さい」
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