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第3話 無職ニートと巫女な妹

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「ちょっと腹ごなしに外走ってくるよ」

 俺はそう言い残して家を出た。
 優羽花(ゆうか)からの返事は無かった。
 まだ怒っているのだろうか?
 それはともかくとして、さっきの朝食は食べ過ぎである。
 無職ニートの俺は只でさえ運動不足、このままでは肉が固定されて無職ニートの上に豚野郎になってしまう。
 これ以上の醜態は避けねばならないだろう。

「兄さん」

 玄関を出てダッシュをしようとした俺を、横からを引き留める静やかな声。
 俺の家のお隣さん、地ノ宮 静里菜(ちのみや せりな)だ。
 彼女は優羽花と同い年で同じ学校に通っている。
 昔から三人一緒に過ごしてきて、幼馴染みというよりは家族に近い。
 静里菜は俺の事を兄さんと呼び、俺も彼女をもう一人の妹だと思っている。

「今から走り込みですか? 精が出ますねー。でしたらわたしもご一緒しますよー」

「そう言っても静里菜…その格好じゃあ…ダメだろう?」

 俺は鮮やかな紅白の巫女装束に身を包んだ彼女に向かってそう答えた。
 彼女の家は神社なのだ。ちなみに俺の家の左隣が彼女の住宅でその隣に神社がある。

「ふふ、でも兄さん? 巫女服…お好きでしょ?」

「うっ…」

 俺はぐうの音を上げてしまった。ああそうだよ! 巫女服大好きだよ! 古風な言葉で言うなら巫女萌えだよ!
 この二人目の妹は洞察力に優れている所があり、俺が巫女服に目が無いのをいつ頃からか見抜いてしまったのである。
 そしてことあるたびに俺に巫女服を見せつけて来る様になったのだ。

「わたしは別に気にしませんよー。
だって巫女装束はわたしにとっては制服です。
何も恥ずかしがることは無いのですよー。
でも兄さんは人の目を気にしちゃいますか?
それだったら仕方ありませんので、わたしの家に行きましょう。
家の中なら気にしないで巫女服見放題ですよー」

 静里菜はそう言って俺の腕を引っ張ると自分の家に引きずり込もうとする。

「ちょ、ちょっと待てえ! 何でそうなる!俺は今から走るんだあ!」

 家の玄関の前でひと悶着している、いい歳の男と巫女姿の少女。
 このままでは近所の奥様たちの格好の話題の的だ。
 一刻も早くこの事態を脱しなければ。しかし巫女服の魅力(みりき)は絶大で俺には抗い難い…どうすれば…。
 その時、俺の家の玄関の扉がガチャリと開いて殺意の気(オーラ)を纏った優羽花が俺たち二人の前にやって来た。

「ふふふ…お兄…静里菜…こんなところで何をやっているのかなあ?」
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