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プレゼント①
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「君たちに武器を支給しよう!」
南はテンションが高く、大きな声をあげた。
部屋の中で反響する。
「先生、何でそんなに楽しそうなんですか」
「ナイロの武器ってさ、深い瑠璃色でさ、めちゃくちゃ格好いいんだよ。もう少しすると届くと思うから待っていろ!」
鼻息をフンフン鳴らしながら、ウロウロと歩き回っている。
落ち着きがないので、今は本当に子どものように見える。
コンコンッと研究室のドアがノックされる。
「すぐ行く!」
南は駆け足でドアに向かった。
ドアを開けると、何故か銀色のアタッシュケースに入れられている。
「もっと段ボールの箱とかに入っているのかなと思ってましたよ」
南はスタスタと黙って智尋の前に来て、数秒間黙ってしまった。
大きく息を吸っているのを確認した瞬間、ものすごい剣幕で怒鳴ってきた。
「このナイロの武器は純度100%のものだぞ。東京都の周りを囲っているナイロの純度でさえ60~80%だ。段ボールに入れるなど、そんなぞんざいな扱いはするものか!」
智尋に秋、のどかに彩香に比津見の全員が、そんな南を見て引いてしまっていた。
アタッシュケースを開けると、そこには拳銃が入っていた。
「すげ~。綺麗ですね」
「そうだろう、そうだろう。しかしこれは表面に薄く張っているだけだ。」
南は銃弾を手に取って見せた。
「これは、ナイロで作られた銃弾だ。何故表面に薄くなのか分かったか?」
「いや、分かんないです」
「君は馬鹿か。拳銃本体をナイロにしてどうする。君は拳銃で蟲を叩くのか?銃なんて弾が命だ。本体をナイロにしたって意味がない。だから、見た目はナイロ専用武器だって一目で分かるようにはしている。」
南は名残惜しそうな顔をしている。
「これは君のだ」
渡す手がプルプルと震える。
「あ、ありがとうございます」
智尋は拳銃を受け取り、一緒に入っていたホルスターを腰につけ、そこに収納した。
「よし、次は彩香の武器だな」
それからもう一つのアタッシュケースを開けた。
中には短剣が入っていた。
サバイバルナイフのようである。
「あーしの能力って爪だからそんなのいらないんじゃないの?」
「ふむ、確かに必要ではないが適合者だと証明するためにも持っていた方がいいだろう」
今度は手が震えていない。
しっかりと受け取った彩香は鞘に入れた。
「よし、では君たちの武器も紹介してもらおうか」
秋姉とのどか、比津見がそれぞれの武器を出す。
武器は机の上に置かれ、順番に説明してくれた。
「私の使っている武器は、智尋くんと同じ銃よ」
机には全く同じ銃が置かれていた。
次にのどか。
「あたしの武器はね……これの名前なんだっけ?」
「マウスピースでしょ?」
彩香が答える。
「そう!それです!よく知ってましたね。」
のどかは彩香に指をさしながら、ピョンピョン跳ねている。
智尋と秋が注意しようとすると、先に比津見が注意をした。
比津見は上を組みながら言った。
「人に指をさすな。常識だろう」
大声で怒鳴ったわけではないが、迫力は凄まじいものだった。
顔には一切の表情が見られない。
逆にこれがさらなる恐怖をのどかに植え付けることとなった。
のどかの顔は引きつり、涙目で智尋に助けを求めようと必死に目で訴えかける。
智尋は「はぁ」と小さなため息をついて助けに入る。
「比津見さん。このくらいで勘弁してもらえませんか?のどかも縮こまっていますし……」
比津見は気が付いたのか、あわてて謝ってきた。
「こういうのは家族や先生がするものだよな。すまない。気を付けるよ。のどかも悪かったな……」
焦って、早口になる。
比津見は反省の顔で下を向いている。
目はのどかと同様に涙目だ。
智尋はそれを見て驚き、必死に言葉をかける。
「いや、指摘は友達とか知らない人がすると結構効果あるんですよ。のどかも俺たちがいくら言ってもやめないので。むしろこちらがお礼言いたいくらいですよ。それに、それに……」
言葉に詰まった智尋だったが、比津見の顔には明るさが戻り、智尋の両手をつかんで胸の前に持ってきてギュッと握った。
智尋の手が軽く胸に当たっているが、そんなことはお構いなしである。
「ありがとう村上。すごくうれしいよ」
まっすぐな瞳で智尋を見て、天使のような笑顔を見せる。
思わず智尋の口から声が漏れた。
「可愛い……」
「え?」
比津見も驚いた顔を見せるが、それは智尋も同じことであった。
「声にでちゃってました?」
「あ、ああ」
比津見の顔はありえないほどに赤く染まっていた。
「そういうのはここではしないでくれ。未だ独身の私に対しての当てつけか?誠志郎。早く説明をしてやれ」
南の現在の状況を知ることになったが、智尋たちにはどうすることも出来ない。
南はテンションが高く、大きな声をあげた。
部屋の中で反響する。
「先生、何でそんなに楽しそうなんですか」
「ナイロの武器ってさ、深い瑠璃色でさ、めちゃくちゃ格好いいんだよ。もう少しすると届くと思うから待っていろ!」
鼻息をフンフン鳴らしながら、ウロウロと歩き回っている。
落ち着きがないので、今は本当に子どものように見える。
コンコンッと研究室のドアがノックされる。
「すぐ行く!」
南は駆け足でドアに向かった。
ドアを開けると、何故か銀色のアタッシュケースに入れられている。
「もっと段ボールの箱とかに入っているのかなと思ってましたよ」
南はスタスタと黙って智尋の前に来て、数秒間黙ってしまった。
大きく息を吸っているのを確認した瞬間、ものすごい剣幕で怒鳴ってきた。
「このナイロの武器は純度100%のものだぞ。東京都の周りを囲っているナイロの純度でさえ60~80%だ。段ボールに入れるなど、そんなぞんざいな扱いはするものか!」
智尋に秋、のどかに彩香に比津見の全員が、そんな南を見て引いてしまっていた。
アタッシュケースを開けると、そこには拳銃が入っていた。
「すげ~。綺麗ですね」
「そうだろう、そうだろう。しかしこれは表面に薄く張っているだけだ。」
南は銃弾を手に取って見せた。
「これは、ナイロで作られた銃弾だ。何故表面に薄くなのか分かったか?」
「いや、分かんないです」
「君は馬鹿か。拳銃本体をナイロにしてどうする。君は拳銃で蟲を叩くのか?銃なんて弾が命だ。本体をナイロにしたって意味がない。だから、見た目はナイロ専用武器だって一目で分かるようにはしている。」
南は名残惜しそうな顔をしている。
「これは君のだ」
渡す手がプルプルと震える。
「あ、ありがとうございます」
智尋は拳銃を受け取り、一緒に入っていたホルスターを腰につけ、そこに収納した。
「よし、次は彩香の武器だな」
それからもう一つのアタッシュケースを開けた。
中には短剣が入っていた。
サバイバルナイフのようである。
「あーしの能力って爪だからそんなのいらないんじゃないの?」
「ふむ、確かに必要ではないが適合者だと証明するためにも持っていた方がいいだろう」
今度は手が震えていない。
しっかりと受け取った彩香は鞘に入れた。
「よし、では君たちの武器も紹介してもらおうか」
秋姉とのどか、比津見がそれぞれの武器を出す。
武器は机の上に置かれ、順番に説明してくれた。
「私の使っている武器は、智尋くんと同じ銃よ」
机には全く同じ銃が置かれていた。
次にのどか。
「あたしの武器はね……これの名前なんだっけ?」
「マウスピースでしょ?」
彩香が答える。
「そう!それです!よく知ってましたね。」
のどかは彩香に指をさしながら、ピョンピョン跳ねている。
智尋と秋が注意しようとすると、先に比津見が注意をした。
比津見は上を組みながら言った。
「人に指をさすな。常識だろう」
大声で怒鳴ったわけではないが、迫力は凄まじいものだった。
顔には一切の表情が見られない。
逆にこれがさらなる恐怖をのどかに植え付けることとなった。
のどかの顔は引きつり、涙目で智尋に助けを求めようと必死に目で訴えかける。
智尋は「はぁ」と小さなため息をついて助けに入る。
「比津見さん。このくらいで勘弁してもらえませんか?のどかも縮こまっていますし……」
比津見は気が付いたのか、あわてて謝ってきた。
「こういうのは家族や先生がするものだよな。すまない。気を付けるよ。のどかも悪かったな……」
焦って、早口になる。
比津見は反省の顔で下を向いている。
目はのどかと同様に涙目だ。
智尋はそれを見て驚き、必死に言葉をかける。
「いや、指摘は友達とか知らない人がすると結構効果あるんですよ。のどかも俺たちがいくら言ってもやめないので。むしろこちらがお礼言いたいくらいですよ。それに、それに……」
言葉に詰まった智尋だったが、比津見の顔には明るさが戻り、智尋の両手をつかんで胸の前に持ってきてギュッと握った。
智尋の手が軽く胸に当たっているが、そんなことはお構いなしである。
「ありがとう村上。すごくうれしいよ」
まっすぐな瞳で智尋を見て、天使のような笑顔を見せる。
思わず智尋の口から声が漏れた。
「可愛い……」
「え?」
比津見も驚いた顔を見せるが、それは智尋も同じことであった。
「声にでちゃってました?」
「あ、ああ」
比津見の顔はありえないほどに赤く染まっていた。
「そういうのはここではしないでくれ。未だ独身の私に対しての当てつけか?誠志郎。早く説明をしてやれ」
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