BUG(バグ)～蟲の国ではすでに人間様は強者ではない～

現在の日本

蟲の出現によって甚大な被害が出た。
まずは、自然が多いところ。
次に、都市部だ。

M１に感染することによって生息域が意味をなさなくなり、どこへでも行動し生息できるようになってしまった。
また、姿は本来の形ではなく、変形していたり、大きくなっていたり個体によって様々である。
自然の多いところでは、蟲が出現するたびに人々が一人、また一人と殺されていった。


猟銃で立ち向かっていく勇敢な男たちも現れた。
柔らかい部位がある蟲は撃退することに成功したが、硬い鎧を持った蟲は倒すことも出来ず、男たちは首を切られ、内臓を食い散らかされた。

蟲には人を食うやつもいれば、食わないで植物だけを食べるやつもいる。
だが、結局は人間を食べる蟲と食べない蟲との判断ができないので、殲滅するほかない。
しかし一番厄介なのが、食べる目的ではなく人を殺すことで快感を得ている蟲だ。
満腹になれば捕食をやめるわけではない。
田舎の人口が少ないところは、すぐに人間がいなくなってしまう。

まぁ、次の行動は簡単に読めてくる。
そうだ、都市部に出てくるのだ。
奴らの中には当然空を飛ぶことができるものもいる。
体が大きくなっている蟲がビルに当たるとどうなるだろう。
もちろんビルは倒壊する。
倒壊すればさらに下の道路にいる人も巻き添えだ。
そんな連鎖のせいで、大勢の人間が死んでしまっている。


唯一の救いが、M１に感染する個体は日本にいる全ての虫ではない。しかし、日本のほぼ全てを蹂躙するのに3年しかかからなかった。
そして今はまだE２に寄生された個体は見つかっていない。



――現在は東京都と大阪府の二つしか安全が確立されていない。
ほぼすべての人間はここに集まっている。
東京には囲むように黒い柱が等間隔にそびえたっており、大阪には辺り一面に黒い球が等間隔に散らばっている。
黒いものは金属でできており、名を【ナイロ】という。
ナイロはいわば蚊取り線香のようなものである。
蟲に対して効果があるらしく、置いておくと蟲が近寄らなくなる。
ナイロは蟲が死んだ跡の地面に少量出てくるものであり、違う製法として蟲の死体の中に金属類を入れておくと、すべてがナイロに変質する。死んだ跡から出るものは純度100％のナイロだが、死体から製造できるのは精々30～50％である。

ナイロによって通常の人間も戦うことができるようになった。
なお、ナイロの純度によって蟲に対しての効果が変わる。
分かるだろうが、純度の高いものがより蟲に対して有効である。

なお、人間は蟲によって激減したため、昆虫を食べる必要はなくなった。