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第3部 電脳機神兵の花嫁になんてならない!

第25章 アリーシャ、素で味方を追い込む

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「ブルー王子、あぶないっ!笑ってる場合じゃないですよ!」
 
 ブルーが戦闘不能状態におちいっても、白兵衛しろべえは攻撃の手を止めてはくれない。
 ブルー目がけて、無数のロボットアームが次々とり下ろされる。
 
「ダメっ!」
 
 一瞬、見ていられずに目を閉じかけた。
 
 が、ブルーは紙一重で次々とアームをくぐる。
 
「ハァ……ハァ……ッ、やっと落ち着いてきたな。やられっぱなしだと思うなよ!今度はこっちから行くぜ!」
 
 やっとブルーの反撃が始まった。ブルーは相変わらず、流れるようにスムーズにマイスター・スキルをり出す。
 
 だが、さすがにボスだけあって、なかなか致命的ちめいてきなダメージは与えられない。
 そして逆にブルーの方は、明らかに傷をい、服は破れ、肌には血がにじんでいく。
 
「やめて!これ以上ブルーを攻撃しないで!お願い、白兵衛!」
 
 おりの中で何もできない私は、せめてダメ元で懇願こんがんする。だが……
 
《ありーしゃチャンノオ願イデモ、ソレハ聞ケマセン。今ハ、妨害者ノ排除ガ優先サレマス》
 
 やはり白兵衛には通用しなかった。
 
 そしてそれは逆に、別方向にダメージを与えてしまう。
 
「し……白兵衛……?アリーシャちゃん……?」
 
 私たちの会話を聞いたブルーが、再びプルプルふるえ出し、爆笑を始めてしまった。
 
 ……しまった。人間、どこに笑いのツボがあるか分からないな。
 
「や……やめてくれ……っ、これ以上、俺を笑わせないでくれ……っ!マジ死ぬから!」
 
 ヒィヒィ笑いころげながら、ブルーは必死に白兵衛の攻撃をけ続ける。
 
 ……まずいな。このままだと、文字通り、マジに死んでしまいそうだ。
 
「もーっ!創君?ユース?しのブルーが死にそうだよ!何とかしてよ!」
 
 私は虚空こくうへ向け、ヤケクソのように怒鳴どなった。
 
 ……何となく『誰のせいでこんなことになったと思ってんだよ!』というツッコミが聞こえたような気がしたが……その直後、ふいに白兵衛の頭上に、赤く輝く巨大な宝石が現れた。
 
「"スタールビー・メテオ"」
 
 ブルーの爆笑の合間に、静かだが妙に通る、凛とした声が聞こえた。
 
 ……と、思ったら、白兵衛の頭上に浮いていた宝石が、真っ赤な炎を上げて落下した。
 爆音が響き、辺りを土煙がおおくす。
 
「……ケホッ、ケホッ……これって……宝石魔法?ってことは、エヴァーミリアさんが……?」
 
 じっと目をらしていると、だんだんと土煙が晴れ、二つの人影が見えてきた。
 
「アリーシャ姫!ご無事ですか!?」
 
 無言でたたずむエヴァーミリアの横には、勇者レッド。
 ガルトブルグで見た時よりも、さらに装備がパワーアップし、今は肩と胸だけの部分的なものとは言え、ちゃんと "よろい" を身にけている。
 
「レッド!? いつの間にココに!?」
 
「叔母に会いにレイの塔に立ち寄ったんです。そうしたら、あなたが大変なことになっていると聞いて……。待っていてください!ソイツを倒して、すぐに助けて差し上げます!」
 
 ……微妙に会話がみ合ってない。
 でもまぁ、レッドは元々、王女わたしを救う予定だったもんね……。
 
「おい、ブルー!無事か!? ……随分ずいぶんとやられちまったじゃねぇか」
 
 笑い疲れてフラつくブルーを、横からサッと支えた人物がいる。
 
「インディさん!来てくれたんですね!」
 
「ホレ、お前はコレでも食って休んでろ」
 
 インディはポケットから薬草を取り出し、ブルーに押しつけるが、ブルーは何だか渋い顔をしている。
 
「……べつに。大丈夫だ。俺もまだ戦える」
「何だよ、お前、ひょっとして、アリーシャちゃんの前でカッコつけたいのか?」
「……そういう勘繰かんぐり、マジやめろよ」
 
 すでに顔見知りらしい二人は、何だか妙にフランクに会話している。
 でも、何となく、デリカシーに欠ける父親と反抗期の息子みたいだな。
 
 …………ん?父親と、息子……?
 
 ……そっか、インディの正体って……
 
《新タナ侵入者ガ3人……。全員、私ノ目的ヲ妨害スル者ト認定。排除シマス》
 
 エヴァーミリアの攻撃魔法を受けても、白兵衛はアームを1本吹き飛ばされただけだった。
 他のアームはまだ健在で、ブルーやレッドたちを同時におそう。
 
「クッ……これでも食らえ!"日照権ライト・オブ・ライト"!」
 
 レッドが白兵衛へ向け光属性攻撃魔法を放つ。
 
 いつの間にか魔法まで覚えて……。ちょっと見ない間に成長レベルアップしたんだなぁ……。でも……
 
「ダメだよ、レッド!白兵衛に光属性はかない!」
 
 白兵衛は光属性や闇属性の通用しない機械系。
 光属性がメインな勇者レッドとは相性が悪い敵だ。
 
「だったら剣で勝負だ!」
 
 レッドは腰に下げていた長剣を抜き放ち、白兵衛に向かっていく。だが……
 
「……プスッ……」
 
 白兵衛にりつける瞬間、その口から奇妙な声がれた。
 
 その後に響いた斬撃ざんげきの音も、何だか微妙に迫力はくりょくがない。いまいちダメージを与えられていなさそうな音だ。
 
「何やってんだ、英雄志望の兄ちゃん!マイスター・スキル其のきゅう『切断』!」
 
 へなちょこ攻撃に終わったレッドに代わり、インディが攻撃をり出す……が……
 
「……プッ……」
 
 やはり攻撃の寸前で、妙な声がこぼれた。
 そしてその攻撃も、レッド同様へなちょこに終わる。
 
 これは……ゲームのプレイで言うと、攻撃をミスしてる状態なんじゃ……
 
「えっ!? どうしたんですか、二人とも!」
 
 私の疑問の声に、二人は何ともまりのない顔で振り返った。
 
「だ……駄目だめだ。あの顔を見ると、力がけて……」
「……ああ。つい吹き出しちまって、思うように力が出ねぇ」
 
 …………えぇえぇ……。
 私の画力って、そんなに破壊力あるかなぁ……?
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