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さて、僕の実家についてお話ししようか

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 前にもお話ししたと思うけど、僕の家庭は複雑だ。

 義理の父は、お城の門兵を生真面目にしている狼族の男だ。
兄もまた狼らしく集団闘争を得意とする武闘派。もちろん遠吠えも得意。
獣人の能力を存分に発揮する、仲間思いの人たちだ。

 母は、そんな狼の父と結婚し、なんやかんやで幸せな生活を送っていたのだが、ある日、突然襲われたそうなのだ。僕の実父に。

 夜の王、とか、夜の覇者の一族とか言われている、とんでもない血脈の人にね。

 僕はその男の血を引いている。
そのせいか夜についてはめちゃんこ強く、本性もそういう意味においては聖属性に弱い……らしいのだが、確かにあんま近寄りたくはない、程度だ。実際、ヴォル家が頼んでいる聖職者は目が血走って僕を見つめ続けてるからほどほどに怖い。まあ、それはともかく。

 そんな突発的被害を受けたにも関わらず、母は僕を産み落とした。
 義理の父もそれを承知でいて、僕を大切に育ててくれた。
 両親には感謝のしきりである。
兄もそう。僕と半分しか血の繋がりがないのに、同じ狼一族であると守ってくれている。

 ……なんとも仲良しな家族関係なのだ、僕の家は。ガーディアン家は。




 その点、僕の血の元である実父はといえば、基本、僕と関わることはない。
僕が外でぽけーっと出歩いていても、彼らの血族と出会うことはないのだ。夜、がやはり僕の本性としても調子が良いので出歩くことはあるけれども、それでも、彼らと遭遇することはないのだ。恐ろしいことに。
 妙に徹底したそれらに、近くに住んでいないのではないかと考慮したことはあるけれども、そんなことはなかった。

 案外と彼らは身近にいるのだ。
ただ、彼らは、光の前に出ないだけ。

 (僕と同じで、隠蔽体質なんだな)

 嫌な同意感である。

 幼い頃、僕が狼と同じじゃなきゃ嫌だあ、と中身の年甲斐もなく駄々をこねたこともあるが、まあ、そういう年頃の幼い体に引っ張られた事情でもない限り、僕は彼らと今後も会うことはない、と……考えていたんだが。

 「婚約式にご招待……か」

 彼ら、夜の一族とどう会話をしたら良いか。
ヴォル家としても、彼らと縁を繋ぐことは大変有意義ではある。なんせ、彼らは闇に紛れる。決して表に出ないが、なんらかの伝手があればそれなりに益ぐらいはあるのかもしれない。

 「でもなぁ……やだなあ……」

 この調子だと、結婚式ですら彼らは呼ぶことになりそうだなあ……。

 (まあいずれにせよ、返事次第か)

 ルフスさんが心配そうに僕を覗き込んでくるまで、僕は頭を悩ませた。
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