どうしよう、俺の公子様がXXに。

小夜時雨

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鳩って可愛いよね。

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 「鳩って可愛いよね」
 「そうですか?」
 「うん。たまにアホっぽいし、
  顔と足の動きが面白いし」
 
 バサバサ、と激しい物音がするも無視。

 「たまに餌奪いにくるけど、
  平和の象徴だよね」
 「平和……?
  なんでしょうか」

 そういえばこの世界では、鳩は王家への反乱因子だった。
ルフスさんは先ほどから不思議そうに、僕の発言に反応している。

 「空から落ちてくる白い爆弾、
  当たったことないけど運があるよね」
 「それは……俺も当たったことがないので、なんとも」
 「鳥類ってだけで空飛べるから良いよね」
 「……リヒト様も飛べるのでは?」 
 「まあ、そうだけど」

 けど、鳥って翼があるし。
かっこいいよね。

 「僕の飛び方じゃ、なんというか……。
  夜に紛れてしまってカッコがつかないし」
 「隠蔽できて良いじゃありませんか。
  目立って良いことはありませんよ」
 「それはそうだね」

 空飛ぶ獣人、って目立つからね。
だから基本、夜闇に飛ぶからか刺客かと思われ、何ヤツ! と怒られる可能性大。不審者極まりない。
 (制空権、だっけか)
 そこまで僕は法律に詳しくないのでわからないが、あんまり王様のいる都で不用意な動きはヴォル家にとってもよろしくはないだろう。

 「ところで、鳩くんは喋ることができないんだっけ」
 
 バタバタバタ、と籠の中で暴れ回っている。

 「うーん、鳩ですし……」
 
 ルフスさんのごもっともな発言に、僕としてもうん、と頷かざるを得ない。
お茶の時間が長かったせいか、鳩氏のin籠の時間が長くかかってしまったのは否めない。
そのせいか、ローランの機嫌も悪くなり、鳩胸も大いにふくらましてポッポポッポとうるさい。

 「そうだね、仕方ない。
  ……とりあえず、服着てもらおうかな……。
  ちなみに、逃げようとしたら僕も追いかけるからね」

 途端、鳩氏は籠の隙間から突き出していた怒りのクチバシをしずしずとおさめ、
 (もう少し鳩の動き、観察してみたかったなあ)
籠から恐る恐る出てきた鳥足を僕は見つめる。小さい。
 鈍い動きだが、ローランは一歩、一歩、踏み出して、すっと飛び上がったと思ったら人の姿に戻った。

 「ふぅ……」

暴れたためか、乱れた金髪をガシガシと片手でかきつつも、そのそれなりに整っている真顔のままに、上着やらズボンを身につけ始める。ぶらりと下がる、逸物。お尻はきゅっとしていて、触り心地……はそれなりに良さそう。腹筋は割れてるし、鳩にしては鍛えている。腕の太さもそれなりにあるし、うん。

 「……なんだよ見せ物じゃないぞ……」
 「おかまいなく」
 「くっそ……」
 
 悪態つきつつも、彼はしっかりと僕との約束を守ってくれた。
 (なんだかんだで、股間はそれなりにご立派だった)
 なんでか僕は、ローラン・グアランの裸体ショーをじっくりと眺めることになったが、まあ、それなりに楽しめたのでよしとしよう。
 ただ、ほんわかお兄さん代表ともいうべきルフスさんは面白くはなかったらしく、
 
 「……ふぅん」
 「な、なんだよ」
 「なんでもありません」

 ふん、とローラン・グアランに対し鼻息をかけてつまらなさそうにしていた。
 (まあ、ピルク少年のことがあるからね……)
 しかも放置プレイしてたし。
 (その件も含めて、吟味するか)

 「さて、ローラン・グアラン。
  改めて、聞くとしよう」

 椅子に座らせ、僕は話を聞くことにした。
 
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