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食べないでください。むしろ食べますとも。

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 「食べないでください」
 「ふ、言葉遊びの範疇ですとも」

 ニコ、と微笑むけど目が笑っていない。
なんたって瞳孔が縦に伸びている。きっと腹の中では怒っているのだろう、僕はわかる。
 
 



 さて、結果といえば。
思ってた以上の感触の悪かったフリードからは、ノーセンキューをもらった。

 「はー……」

 長いため息まで頂戴した。

 「俺はそこまで、溜まってはいません」
 「でも、夜の魔性だったでしょ?」
 「……魔性のつもりもありませんし、女王でもありません」
 
 おっと、心の声が漏れ出てたかな……。
僕の頭をぐりぐりとしながらも、ふん、と鼻息を漏らしてくださる。

 「そりゃあ、たまに言われてましたが……」
 「へえー」
 「……リヒ、そんな興味津々に見つめられても答えませんからね」
 「えー」

 僕、すっごく気になります!
なんたって、人からそこまで良くも悪くも賞賛される? ってことは基本ありえないし。目立つから、なんだろう、やはり。生まれ変わっても僕は地味だし、こういったキラキラ耀き人の人生経験は何事にも筆舌につき難い、面白……ごほん、遭遇するはずもない。
 (だからこそ、せめて、フリードの品質向上のため、
  その柔肌をさらにしなやかにするために)
 必然的に、定期的にメンテナンスが必要なわけで……。

 「前にもお伝えしましたが、
  俺はあなたのすべてを手に入れるために、
  あんな……やりたくもないことをしたわけです」
 「え? でも……声が」
 「……まあ、声は出るものです」
 「へえー」
 
 またも期待がこもった目をしたせいか、フリードは口元が引き攣っていた。

 「……まったく、あなたと喋っていると、
  俺は年上である自信がなくなります。
  ……どうして、そう堂々としているのですか」
 「しかも、気になっている、という?」
 「そうで……そうだ、
  もう、まったく……。
  ……俺がしたことは、やはり汚れたやり方ですよ。
  望んでやってたわけではないのに、
  あんな派手にやっても、リヒは姿を現さないのですから」

 人数経験何人か、とか知りたいが、それはまたおいおい聞くに限る。
プレイ内容も本人の口から聞きたいし、うん。僕ってマゾなんかな。いや、逆に……エスかも? むしろ半々か。自分のことながらわからないが、現実を見ていないから、そうしてニヤニヤしていられるのだろうか。我ながらよくわからない。だが、
 
 「ようやく見つけたと思ったら、あの現場ですからね……。
  驚きと成功と、……俺は、一途にあなたを愛したかったのに」
 「ごめんね?」 
 「……はあ、もう。
  惚れた弱みです。
  ……仕方ありませんが……今更ですし」

 へにょ、と垂れ下がる猫耳ごと、僕は腕をあげて、撫でてやれば、その流れによって毛もまたすけて、髪も混ざって、なんとも可愛らしい公子様になった。うん。目の瞳孔も、どうにかガンギマリからは遠のき、まん丸になったようだ。

 

 
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