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学生としての本分とヴォル家の一員としての責務

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 ひとまず。
 
 ローラン・グアランとフリードリヒの関係性はわかったが、一夜を共にしたあとは、けんもほろろで振り払われたのち、特に付き合いも何もないらしい。うちのスーパー執事が言うから間違いない。
 (問題は、そこからの気配がぷつり、と)
 消えてる、ってこと。
 特に、セフレ同士が攻撃しあってさらにおい追加された男のセフレが出てきて、場の空気がとんでもないことになったあたり以降の行方が。
 (……グアラン家は騒いでいない、のが気になる)
 前述した通り、獣人は一族のつながりが強いので、シーンと静まり返っているのが不思議である。
 (まあ……王家に反乱を企てた、という話だから……、
  騒ぎたくても騒げないのかも?)
 それに、情報収集を生業としている、というあたりから、別に騒いでいなくとも、闇に潜んで騒々しいのかもしれなかった。さすがに裏側の話については、学業を担っている僕がおいそれと知るはずもない。
 
 「というか、どうでもいいな……」

 たまたま出てきた噂話だし。
フリードリヒの元アレなのが気に食わないだけ……って、

 「……僕、嫉妬してるのかな?」

 うーん、と唸ってはみたものの、答えは出ない。
 



 学生としての本分は勉強なので、いつも通りフリードリヒを何食わぬ顔をして送り出し学業に勤しむ。
貴族たちもまた素知らぬ顔で授業を受ける。僕と公子様の婚約にはあんなに騒ぎまくっていたと言うのに、今じゃすっかり沈静化し、新しくできた高級店についての話題が飛び交っている。それなりに地味に生きていたと言うのに、さらに静かに過ごしていたため、ようやく一息ついたところだが、しかしそれはそれでなんとはなしに寂しい。
 (……僕、わがままか……?)
 むしろ、かまってちゃんか。
自称しても可愛くないので、それはそれとして。




 フリードリヒに、聞くってのもなあ。
忙しいだろうし。




 どうにも、その情報収集を生業としたという情報屋、別名・グアラン家が気になる。
定期的にヴァル邸へ現れたというのにスゴスゴと帰っていった、というが、その後の気配が不明瞭なのが……。
 (モヤモヤが残る)
 
 「あ」

 そういえば、セフレがいたなあ。
 (辿っていけないかな?)
 もしかしたらそこらあたりに潜んでるかも。
 元はといえば、薬の出元を根絶やしにしたいから、だしな、僕。
 
 「うーむ」

 危険性はないとはいえ、まだまだ僕は未熟者だ。
セフレを探すあたりで頓挫しているし。そもそも、どうやって探せばいいのだろう。

 「……まぁ、やってみるか」

 目を閉じると、エメラルドの目を持つ婚約者どのが、爛々と僕をひた、と見つめている姿が脳裏に浮かぶ。いつもいつも、じっと僕から視線を外さないんだよね。物影から見てるときあるし。たまに怖い。

 「居酒屋、とかそういった夜の店は難しいか」

 さて、どこからアプローチしたらいいものやら。
 
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