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ローラン・グアラン(三男坊)放蕩息子、恋に溺れる
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ーーーーそれは、とても手の届かない星のようだった。
せめて、それが玉座であれば。反乱を起こせばそれなりに成功率は低くてもなんとかなるかもしれないし、王侯貴族であれば目に留まる行動をとったり好ましい環境へ赴けば、なんとかなるかもしれない。幸いにして自分は情報収集に長けた一家の男だ、なまじ貴族であるぶん、それなりに動けるだろう。それがどういった触れ方か、わからないが。
彼の瞳は、宝石のような色をしている。
緑の、エメラルドの双眸。
誰もがうっとりとする美しい面差しをもち、孤高の立ち位置は崩さない……そういった男のはずだった。
ローラン・グアランは、基本的に嗜好は女だ。
柔らかい体が好きなので、男特有の骨の味がしそうなゴテゴテとした体つきは好きじゃない。年下も。基本、真っ当な性癖を持つ一般的な獣人だと本心から思っていたのだが……。
(まさか、これほどに……)
確かに、彼は考えたことがなかった。
ツガイの相手が男、の可能性を。
ローランは理論的に想像した。
自分は三男坊だし、相手が男だとしても、家族ははじめ反対するか驚くだろうが、最後には納得するはずだ。三男坊としての功績は計り知れないし、なかなかの見た目を駆使してやるのもやぶさかではなかったので、両親の言われた通りに動いてみせた。これまでも、いままでも。
(よし、ならばやってみせよう)
今まで女相手どってきたため、想定外のことには対処するにはまずは実践を組まねばなるまい。
妙なところで真面目な質を持つ、突き詰める男・ローラン・グアラン。
まずは手軽に、と男娼を紹介する夜の店へと赴いたのだった。
紹介された男娼はその店で売れっ子のひとりである、ほそっこい、地味な顔をした少年だった。幼さを感じるが、手管は玄人そのもの。ローランの、自慢の逸物を容易に咥えて見せ、しっかりと搾り取ってきた。
自分はこの手に関しては勝手のできないものだと、初心者よろしく恥じらってみせるローランに、男娼は「よしきた、任せて!」ときたものである。
真実、マグロ状態で寝台に横たわったローランの上に乗り上げた男娼は、後ろから失礼、とばかりに背中を向けて尻の中をみせ、それでも興奮状態が維持できたことを大いに喜び、ローランのローランを背後越しにしっかりと咥え込んでみせる。上下する振動はまさに、見事としかいいようがなかった。成功体験である。
女性よりもしっかりとした肩幅は男だが、その陰影がかえって艶かしい……。
しばし、その男娼館に通い、男娼からあらゆる性技を学んだあと彼をセフレとして買い上げ、己の愛人としたローラン。貴族らしい仕草である。
さて、そんなローランであるが再び夜会へ。機会が訪れた。
男娼との始末を発揮できるチャンスである。
「……あなたは」
「ローラン・グアラン殿、でしたか。
久方ぶりにお見かけする」
話しかけてきたのは、相手からだった。
フリードリヒ・シュタイネン・ヴォル。
ローランは普段、女を侍らすが、フリードリヒは男を侍らす。
(急に男へ宗氏変えした、というのはやはり本当であったか)
誘ってきたのも、相手からだ。
仮面舞踏会では、切り込みの入ったドレスを着ていた。
それがまた彼の生々しい白い足に似合っていて、またも男たちを侍らしている。
その宝石の如く美しい緑の瞳だけは爛々と輝いており、仮面からのぞいている。まるでこちらの心根までも見透かすように……そう、フリードリヒはグラスを片手に一口、二口と飲んでいても、その目は笑っていないのだ。
まさしく、ローラン・グアランと同じ……渇望の瞳だ。
ゾクゾクする。
股間をひと撫でされ、たっぷりと情欲のこもった緑の目を向けられて、個室へと誘惑される。
なまじ男を知ってしまったローラン。女相手に無双し、男相手に熟練の技を極めてきた男が、その誘いを跳ね返すことができるだろうか。否。好奇心は、ローランにも持ちうるものだ。
(よし……)
唇を湿らせ。
ひとまずは、一戦。背後の戸を静かに閉めた。
せめて、それが玉座であれば。反乱を起こせばそれなりに成功率は低くてもなんとかなるかもしれないし、王侯貴族であれば目に留まる行動をとったり好ましい環境へ赴けば、なんとかなるかもしれない。幸いにして自分は情報収集に長けた一家の男だ、なまじ貴族であるぶん、それなりに動けるだろう。それがどういった触れ方か、わからないが。
彼の瞳は、宝石のような色をしている。
緑の、エメラルドの双眸。
誰もがうっとりとする美しい面差しをもち、孤高の立ち位置は崩さない……そういった男のはずだった。
ローラン・グアランは、基本的に嗜好は女だ。
柔らかい体が好きなので、男特有の骨の味がしそうなゴテゴテとした体つきは好きじゃない。年下も。基本、真っ当な性癖を持つ一般的な獣人だと本心から思っていたのだが……。
(まさか、これほどに……)
確かに、彼は考えたことがなかった。
ツガイの相手が男、の可能性を。
ローランは理論的に想像した。
自分は三男坊だし、相手が男だとしても、家族ははじめ反対するか驚くだろうが、最後には納得するはずだ。三男坊としての功績は計り知れないし、なかなかの見た目を駆使してやるのもやぶさかではなかったので、両親の言われた通りに動いてみせた。これまでも、いままでも。
(よし、ならばやってみせよう)
今まで女相手どってきたため、想定外のことには対処するにはまずは実践を組まねばなるまい。
妙なところで真面目な質を持つ、突き詰める男・ローラン・グアラン。
まずは手軽に、と男娼を紹介する夜の店へと赴いたのだった。
紹介された男娼はその店で売れっ子のひとりである、ほそっこい、地味な顔をした少年だった。幼さを感じるが、手管は玄人そのもの。ローランの、自慢の逸物を容易に咥えて見せ、しっかりと搾り取ってきた。
自分はこの手に関しては勝手のできないものだと、初心者よろしく恥じらってみせるローランに、男娼は「よしきた、任せて!」ときたものである。
真実、マグロ状態で寝台に横たわったローランの上に乗り上げた男娼は、後ろから失礼、とばかりに背中を向けて尻の中をみせ、それでも興奮状態が維持できたことを大いに喜び、ローランのローランを背後越しにしっかりと咥え込んでみせる。上下する振動はまさに、見事としかいいようがなかった。成功体験である。
女性よりもしっかりとした肩幅は男だが、その陰影がかえって艶かしい……。
しばし、その男娼館に通い、男娼からあらゆる性技を学んだあと彼をセフレとして買い上げ、己の愛人としたローラン。貴族らしい仕草である。
さて、そんなローランであるが再び夜会へ。機会が訪れた。
男娼との始末を発揮できるチャンスである。
「……あなたは」
「ローラン・グアラン殿、でしたか。
久方ぶりにお見かけする」
話しかけてきたのは、相手からだった。
フリードリヒ・シュタイネン・ヴォル。
ローランは普段、女を侍らすが、フリードリヒは男を侍らす。
(急に男へ宗氏変えした、というのはやはり本当であったか)
誘ってきたのも、相手からだ。
仮面舞踏会では、切り込みの入ったドレスを着ていた。
それがまた彼の生々しい白い足に似合っていて、またも男たちを侍らしている。
その宝石の如く美しい緑の瞳だけは爛々と輝いており、仮面からのぞいている。まるでこちらの心根までも見透かすように……そう、フリードリヒはグラスを片手に一口、二口と飲んでいても、その目は笑っていないのだ。
まさしく、ローラン・グアランと同じ……渇望の瞳だ。
ゾクゾクする。
股間をひと撫でされ、たっぷりと情欲のこもった緑の目を向けられて、個室へと誘惑される。
なまじ男を知ってしまったローラン。女相手に無双し、男相手に熟練の技を極めてきた男が、その誘いを跳ね返すことができるだろうか。否。好奇心は、ローランにも持ちうるものだ。
(よし……)
唇を湿らせ。
ひとまずは、一戦。背後の戸を静かに閉めた。
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