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食事会(お披露目会)

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 フリードリヒ・シュタイネン・ヴォル、彼の親戚筋にあたる(本家)ともいうべき、王家。

 下々である僕のイメージからすると目鼻立ちの整った綺麗どころが揃っており、脳筋な獣人らを統率するに相応しいカリスマを持っている……というイメージだった。

 コロコロと主流の血筋が変わるのは他の大陸から嫁に来た人間と血が交わったせいでもあるし、さまざまな獣人と交わった結果でもある。基本、嫁が複数いるのが公式に許されており、非公式で妾やら愛人やらしかもてない貴族からすると贔屓されててずるーい、といえる王家だが、それはそれで目に見えない問題がありそうだな、と僕は考えている。なんせ、今の本流が本流の種族からして……。

 「どう、リヒ?」

 無駄に整った顔をさらに磨かれ、精錬された輝きが増した婚約者どのと比較して、僕のこのやぼったい感じはどうだ。なんとも言えない気持ちになる。

 「うん、かっこいいよ、フリード」
 「んんっ」

 口元を引き締めようとも緩んでいる。鏡越しに照れてる彼は、題して、天から舞い降りた月の貴人だ。
背筋の真っ直ぐさ、手足の長さを包む一級品の布地、額を晒して整った顔を全面に出している本気の姿に、僕としては萎縮することしかできない。なんだ、このもさもさとした地味深い生き物は。分不相応すぎる……。
 (一応僕も、頭をセットしてるけれど……)
 こんな格好、実父と初めて会う時以来だ。着用しているというより、着せられている……。
 
 「リヒもかわ……かっこいい」
 「……ありがとうございます」

 しばらく沈黙がその場を支配したが、呼びにきた執事によって解放される。
 ……室内には他にも身支度を手伝っていた使用人がいたが、彼らは忠義心高く何も語らずに業務へと戻った。




 軽いお披露目会、という王族がくるので軽量さがまったく感じられない本気の装いをしつつ、僕とフリードは、ヴォル邸の離れで待ち構える。お忍びということで、こっそりときてくれるものらしい。
 (うう、緊張する……)
 あんまり目立ちたくないのに、さすがに主役なので目立つことこのうえないだろう。
内心はびびりまくっているが、堂々としたフリードリヒがいるので、慣れた様子の彼の腕に手をかけて普段の嫁(婿)修行の成果を発揮する。笑顔、笑顔。
 今回のお披露目会は、義理の父と、実母、そしてフリードの両親と、親戚代表として王族がくるものらしい。
 (さすがに王様はこないだろう……)
 と思っていた。
 そのまさか、がやってくるとは……。
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