上 下
40 / 124

緊張の夕暮れ、魔の領域3 ※少しだけ戯れる主人公×公子

しおりを挟む
 多少は発散すれば、彼も満足するだろう。
 そういった想いでもって、僕は彼の胸元を口に含んだ。
慌てて、戸惑っている高位貴族の彼を見上げるのも面白い。

 舐めると、少し硬かった乳首がさらに硬度を高めた。
ちょっとした粒だったそれなのに、人体の神秘は面白い。いや、獣人の神秘か。

 「リヒ、いきなり、何を」
 
 僕の頭の上に、フリード公子の手がかかる。さわさわ、と撫でられる……。力の入っていない、困惑中の美人顔は珍しい。もう片方の手はどうすればいいのか彷徨うようにして、公子自身の鎖骨に置かれている。
仰ぎ見ながら舌の上に硬い尖りを転がすと、彼は甘い声を上げ続けた。

 「……、う……んん……」

 次第に力なく横たわる彼に続けとばかりに覆い被さるようにして、もう片方の寂しそうにしている胸にも触れる。
さわさわと撫でたり、ゆるゆると回したり。ひっぱったり。こちら側もすぐに硬くなり、いやらしく緩急つけて手のひらで揉んだりすると、ビクビクと震える公子様の様子に、僕としては大変しこり甲斐があった。
 (とはいえ、ずいぶんと感度が高い)
 乱れ髪の合間から漏れる艶めく唇からは、僕の愛称と、感じ入る熱のこもった喘ぎ声。
 (タイザーたちとのよもやま話によれば、開発されてる、ってやつかな?)
 僕は自分の胸を触りたい気持ちがないので、彼がここまでふるふるとしているのがなんとも謎めいている。
 となると、そうなるわけだ。
 (むぅ……)
 それはそれで、面白くない。
 ここら辺は、僕は潔癖かもしれない。
 (まあ、こんなに綺麗な人が自分の下で乱れるなら、どんな顔を次は見せてくれるか……支配欲を持っても、仕方ないよね)
 ただ、それはそれで、彼の過去が気になってしまう。
 僕の口の中で転がした乳首のまわり。乳輪をなぞると、フリード公子はビクビク、と腰をくねらした。
 僕の、下で。舌でね。
 その切先には、誰かが噛み付いた痕跡がある。歯形の残り。
 やぱり、それを目にしてしまうと。間接キスのような、傷。
誰かにとられた、それ。ダメだった。
 
 「あー……」

 やっぱり、僕の嫉妬心が存外に。
僕の腹の底に、ほんの少し積み上げていたそれが、少しだけ顔を出した。

 「あぐっ!」

 僕の歯が、出ていたから。
それなりに痛みを感じたことだろう。
 (けど)
 
 「な、何を、リヒ……!」
 
 魚のように跳ねた肢体。顔だけ向けてきた彼の目は、噛まれた衝撃で涙目である。いや、元々うるうるとしていたから、宝石のように煌めいている。
 僕はちらと視線だけ向けて、赤い舌を見せつけながら、新たに傷つけた胸の周りを舐め回した。じっくりと。

 「あ、っ……ん、んっ」
 
 痛みすら感じ取りながら、フリード公子は僕の頭を両手で、柔く触る。ひどく優しい心地だ。
僕の丸いハーフらしい耳朶にも撫でて、目元を柔く。赤く染めて。

 「リヒ……」

 ほんの少量だったけれども、少しだけ出てきた血を、僕はなめとった。
……これは僕の本能によるさらなる力で、このわずかな血は消えてしまい、傷すらも消滅する。
 ちゅう、と吸って、熱い息を吹き付けると、たまらずにフリードは、んんっ、と僕の体を両足で抱え込んだ。
先ほどから自己主張してくる彼の股間の逸物とともに。ぎゅうぎゅうと。
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

もう人気者とは付き合っていられません

花果唯
BL
僕の恋人は頭も良くて、顔も良くておまけに優しい。 モテるのは当然だ。でも――。 『たまには二人だけで過ごしたい』 そう願うのは、贅沢なのだろうか。 いや、そんな人を好きになった僕の方が間違っていたのだ。 「好きなのは君だ」なんて言葉に縋って耐えてきたけど、それが間違いだったってことに、ようやく気がついた。さようなら。 ちょうど生徒会の補佐をしないかと誘われたし、そっちの方に専念します。 生徒会長が格好いいから見ていて癒やされるし、一石二鳥です。 ※ライトBL学園モノ ※2024再公開・改稿中

平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです

おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの) BDSM要素はほぼ無し。 甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。 順次スケベパートも追加していきます

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

BL世界に転生したけど主人公の弟で悪役だったのでほっといてください

わさび
BL
前世、妹から聞いていたBL世界に転生してしまった主人公。 まだ転生したのはいいとして、何故よりにもよって悪役である弟に転生してしまったのか…!? 悪役の弟が抱えていたであろう嫉妬に抗いつつ転生生活を過ごす物語。

R指定

ヤミイ
BL
ハードです。

嫁側男子になんかなりたくない! 絶対に女性のお嫁さんを貰ってみせる!!

棚から現ナマ
BL
リュールが転生した世界は女性が少なく男性同士の結婚が当たりまえ。そのうえ全ての人間には魔力があり、魔力量が少ないと嫁側男子にされてしまう。10歳の誕生日に魔力検査をすると魔力量はレベル3。滅茶苦茶少ない! このままでは嫁側男子にされてしまう。家出してでも嫁側男子になんかなりたくない。それなのにリュールは公爵家の息子だから第2王子のお茶会に婚約者候補として呼ばれてしまう……どうする俺! 魔力量が少ないけど女性と結婚したいと頑張るリュールと、リュールが好きすぎて自分の婚約者にどうしてもしたい第1王子と第2王子のお話。頑張って長編予定。他にも投稿しています。

ヤンデレBL作品集

みるきぃ
BL
主にヤンデレ攻めを中心としたBL作品集となっています。

処理中です...