36 / 98
急募@僕の婚約者どのの品評会、僕のお気持ち産業
しおりを挟む
「遊んでるよね……」
執事が持っていた銀のお盆に積載中のレターの山に辟易とした気持ちになる。
宛先の婚約者どのは未だ眠っている。モテるのが羨ましいのか、それとも遊べるほどの相手が山ほどいてけしからんな気持ちなのかモヤモヤとした感情を抱え、それらが公子の手元へと辿るように届けられていることにやっぱ憤懣やるせない心地になる。実物の手紙の積載量を眺めると余計に。
「……捨てちゃダメですか?」
一応、執事に尋ねるが、ふるふると頭を横に振られ、ですよねえ、と苦笑し合う。
相手は誰かと気になるので聞いてみたら、教えてくれた。
「いいの? 教えちゃって」
「ご主人様の想い人であられる婚約者様のご希望ですから。
それに、フリードリヒ様は狭量ではございません。
ご安心ください、リヒト様」
ニコニコ、とロマンスグレーの執事に微笑まれ、中身こそはさすがに個人的な内容だろうからと差し控え、宛名の名前を羅列してもらい、僕は頭の中でそれぞれの家系に対し感想を述べる。
「ランドルフ家、嫡男」
「うわあ、すごいとこからきてるね。
とってもタラシの騎士爵の家じゃん」
「ブランドー家、次男」
「んー……知らないけど、どこかで聞いたことがあるかも?」
「西南に領地を持つ、ロル茶の名産地のひとつを所有しておりますれば」
「あー! だからかあ」
膝をポンと打っていると、ちょうどお茶が配膳されていた。
どうも、と礼を言い、一口飲む。うん、今日も爽やかな味わい。ロル茶、良い仕事してます。
「グリューネグ家、五男」
「辺境伯のとこのか、良いとこ選んだね。
顔イケメンなんだよあそこの家」
「ジュ・ドラン家、次男」
「あー……うん。
すごく……体でかい家系の人たちだよね、巨人の血が入ってるんじゃって噂される。
……すごいな、公子様」
ナニとはいわないが、二メートル越えのあれのあそこを投入されたのか。
辺境伯の血も入ってるせいか武闘派が多いが、穏やかな気性らしい……ゆるゆるな接合したのかな、と見覚えのあるジュ・ドラン家の次男坊の顔を頭に浮かべる。
うん。すごく……大きいそれを、時間をかけて入れてる婚約者どのの顔が苦痛を帯びていて……、とてつもなく、エロい感じしか感じられない。あの体の大きさだから、何時間もかけたことだろう。いや、そもそも入るかどうかというか、入れたかどうか……? そこまではいかないような。
(公子様のお尻、小さいしなあ)
プリプリで弾力あるけど裂けそうだなあ……ちょっとかわいそう……。
執事がごほん、と咳をし、
「時間はさほどかからずご主人様はご帰宅されたので、
ご想像の行為まではいかなかったかと……」
「え、そう……なの」
「はい」
なんだ、そうかあ。
ちょっとがっかり……いや、がっかりするのもちょっとおかしいな、自分。
「それで、次はどういった獣人から……」
「次はですね、グアラン家の三男」
「セフレいるとこだね。
前に揉めてニュースになってるの聞いたけど、すごかった、
セフレ同士喧嘩したって街の往来で」
というか、公子様は3Pしてたし。逆に凄いよね……。
(いや、そこは張り合うとこじゃないけどさ)
執事曰く、毎度、ほとんどは夜会へのご案内のようだった。つまりあのデバガメのように、ってことか。もちろんそのまま帰宅、ってのもあるだろうけど夜の意味深なパートナーとしてのご案内だよね、これ。
一部、本気の自宅やデートのお誘いも常に紛れているとのことだが、そもそもの話、婚約者いるのにお手紙お渡ししてくるのどうなの? という気持ちなので、あとでお礼参りしておこうかと考慮しておく。
婚約式してなかったので、もしかしたらだけど、人目につくようなことをしてないから、つけ込まれている可能性もあるかもなあ……いや、目立つことはしたくないんだよね、僕の場合。
後ろ暗いのは、僕も同じ、か。
執事が持っていた銀のお盆に積載中のレターの山に辟易とした気持ちになる。
宛先の婚約者どのは未だ眠っている。モテるのが羨ましいのか、それとも遊べるほどの相手が山ほどいてけしからんな気持ちなのかモヤモヤとした感情を抱え、それらが公子の手元へと辿るように届けられていることにやっぱ憤懣やるせない心地になる。実物の手紙の積載量を眺めると余計に。
「……捨てちゃダメですか?」
一応、執事に尋ねるが、ふるふると頭を横に振られ、ですよねえ、と苦笑し合う。
相手は誰かと気になるので聞いてみたら、教えてくれた。
「いいの? 教えちゃって」
「ご主人様の想い人であられる婚約者様のご希望ですから。
それに、フリードリヒ様は狭量ではございません。
ご安心ください、リヒト様」
ニコニコ、とロマンスグレーの執事に微笑まれ、中身こそはさすがに個人的な内容だろうからと差し控え、宛名の名前を羅列してもらい、僕は頭の中でそれぞれの家系に対し感想を述べる。
「ランドルフ家、嫡男」
「うわあ、すごいとこからきてるね。
とってもタラシの騎士爵の家じゃん」
「ブランドー家、次男」
「んー……知らないけど、どこかで聞いたことがあるかも?」
「西南に領地を持つ、ロル茶の名産地のひとつを所有しておりますれば」
「あー! だからかあ」
膝をポンと打っていると、ちょうどお茶が配膳されていた。
どうも、と礼を言い、一口飲む。うん、今日も爽やかな味わい。ロル茶、良い仕事してます。
「グリューネグ家、五男」
「辺境伯のとこのか、良いとこ選んだね。
顔イケメンなんだよあそこの家」
「ジュ・ドラン家、次男」
「あー……うん。
すごく……体でかい家系の人たちだよね、巨人の血が入ってるんじゃって噂される。
……すごいな、公子様」
ナニとはいわないが、二メートル越えのあれのあそこを投入されたのか。
辺境伯の血も入ってるせいか武闘派が多いが、穏やかな気性らしい……ゆるゆるな接合したのかな、と見覚えのあるジュ・ドラン家の次男坊の顔を頭に浮かべる。
うん。すごく……大きいそれを、時間をかけて入れてる婚約者どのの顔が苦痛を帯びていて……、とてつもなく、エロい感じしか感じられない。あの体の大きさだから、何時間もかけたことだろう。いや、そもそも入るかどうかというか、入れたかどうか……? そこまではいかないような。
(公子様のお尻、小さいしなあ)
プリプリで弾力あるけど裂けそうだなあ……ちょっとかわいそう……。
執事がごほん、と咳をし、
「時間はさほどかからずご主人様はご帰宅されたので、
ご想像の行為まではいかなかったかと……」
「え、そう……なの」
「はい」
なんだ、そうかあ。
ちょっとがっかり……いや、がっかりするのもちょっとおかしいな、自分。
「それで、次はどういった獣人から……」
「次はですね、グアラン家の三男」
「セフレいるとこだね。
前に揉めてニュースになってるの聞いたけど、すごかった、
セフレ同士喧嘩したって街の往来で」
というか、公子様は3Pしてたし。逆に凄いよね……。
(いや、そこは張り合うとこじゃないけどさ)
執事曰く、毎度、ほとんどは夜会へのご案内のようだった。つまりあのデバガメのように、ってことか。もちろんそのまま帰宅、ってのもあるだろうけど夜の意味深なパートナーとしてのご案内だよね、これ。
一部、本気の自宅やデートのお誘いも常に紛れているとのことだが、そもそもの話、婚約者いるのにお手紙お渡ししてくるのどうなの? という気持ちなので、あとでお礼参りしておこうかと考慮しておく。
婚約式してなかったので、もしかしたらだけど、人目につくようなことをしてないから、つけ込まれている可能性もあるかもなあ……いや、目立つことはしたくないんだよね、僕の場合。
後ろ暗いのは、僕も同じ、か。
23
お気に入りに追加
53
あなたにおすすめの小説
そばにいてほしい。
15
BL
僕の恋人には、幼馴染がいる。
そんな幼馴染が彼はよっぽど大切らしい。
──だけど、今日だけは僕のそばにいて欲しかった。
幼馴染を優先する攻め×口に出せない受け
安心してください、ハピエンです。
深刻にならないのが取り柄なオレが異世界をちょっとだけ救う物語
左側
BL
自宅で風呂に入ってたのに、気付いたら異世界にいた。
異世界には様々な種族が住んでる。
異世界には男しかいないようだ。
異世界ではなかなか子供が出来ないらしい。
うまくヤレば、イイ思いをした上に異世界をちょっとだけ救えるかも知れない。
※ ※ ※ ※ ※ ※
妊娠・出産率の低い異世界で、攻め主人公が種付けするだけの話です。
種族はたくさんありますが、性別は男しかありません。
主人公は貞操観念が乏しいです。
攻めですが尻を弄られることへの抵抗感も乏しいです。
苦手な人はご注意ください。
姫を拐ったはずが勇者を拐ってしまった魔王
ミクリ21
BL
姫が拐われた!
……と思って慌てた皆は、姫が無事なのをみて安心する。
しかし、魔王は確かに誰かを拐っていった。
誰が拐われたのかを調べる皆。
一方魔王は?
「姫じゃなくて勇者なんだが」
「え?」
姫を拐ったはずが、勇者を拐ったのだった!?
子育て騎士の奮闘記~どんぶらこっこと流れてきた卵を拾ってみた結果~
古森きり
BL
孤児院育ちのフェリツェは見習いから昇格して無事に騎士となり一年。
ある魔物討伐の遠征中に川を流れる竜の卵らしきものを拾った。
もしも竜が孵り、手懐けることができたら竜騎士として一気に昇進できる。
そうなれば――と妄想を膨らませ、持ち帰った卵から生まれてきたのは子竜。しかも、人の姿を取る。
さすがに一人で育てるのは厳しいと、幼馴染の同僚騎士エリウスに救助要請をすることに。
アルファポリス、BLoveに先行掲載。
なろう、カクヨム、 Nolaノベルもそのうち掲載する。
総長の彼氏が俺にだけ優しい
桜子あんこ
BL
ビビりな俺が付き合っている彼氏は、
関東で最強の暴走族の総長。
みんなからは恐れられ冷酷で悪魔と噂されるそんな俺の彼氏は何故か俺にだけ甘々で優しい。
そんな日常を描いた話である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる