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急募@僕の婚約者どのの品評会、僕のお気持ち産業

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 「遊んでるよね……」

 執事が持っていた銀のお盆に積載中のレターの山に辟易とした気持ちになる。
宛先の婚約者どのは未だ眠っている。モテるのが羨ましいのか、それとも遊べるほどの相手が山ほどいてけしからんな気持ちなのかモヤモヤとした感情を抱え、それらが公子の手元へと辿るように届けられていることにやっぱ憤懣やるせない心地になる。実物の手紙の積載量を眺めると余計に。

 「……捨てちゃダメですか?」

 一応、執事に尋ねるが、ふるふると頭を横に振られ、ですよねえ、と苦笑し合う。
 相手は誰かと気になるので聞いてみたら、教えてくれた。

 「いいの? 教えちゃって」
 「ご主人様の想い人であられる婚約者様のご希望ですから。
  それに、フリードリヒ様は狭量ではございません。
  ご安心ください、リヒト様」

 ニコニコ、とロマンスグレーの執事に微笑まれ、中身こそはさすがに個人的な内容だろうからと差し控え、宛名の名前を羅列してもらい、僕は頭の中でそれぞれの家系に対し感想を述べる。

 「ランドルフ家、嫡男」
 「うわあ、すごいとこからきてるね。
  とってもタラシの騎士爵の家じゃん」
 「ブランドー家、次男」
 「んー……知らないけど、どこかで聞いたことがあるかも?」
 「西南に領地を持つ、ロル茶の名産地のひとつを所有しておりますれば」
 「あー! だからかあ」

 膝をポンと打っていると、ちょうどお茶が配膳されていた。
 どうも、と礼を言い、一口飲む。うん、今日も爽やかな味わい。ロル茶、良い仕事してます。

 「グリューネグ家、五男」
 「辺境伯のとこのか、良いとこ選んだね。
  顔イケメンなんだよあそこの家」
 「ジュ・ドラン家、次男」
 「あー……うん。
  すごく……体でかい家系の人たちだよね、巨人の血が入ってるんじゃって噂される。
  ……すごいな、公子様」

 ナニとはいわないが、二メートル越えのあれのあそこを投入されたのか。
 辺境伯の血も入ってるせいか武闘派が多いが、穏やかな気性らしい……ゆるゆるな接合したのかな、と見覚えのあるジュ・ドラン家の次男坊の顔を頭に浮かべる。
 うん。すごく……大きいそれを、時間をかけて入れてる婚約者どのの顔が苦痛を帯びていて……、とてつもなく、エロい感じしか感じられない。あの体の大きさだから、何時間もかけたことだろう。いや、そもそも入るかどうかというか、入れたかどうか……? そこまではいかないような。
 (公子様のお尻、小さいしなあ)
 プリプリで弾力あるけど裂けそうだなあ……ちょっとかわいそう……。
 執事がごほん、と咳をし、

 「時間はさほどかからずご主人様はご帰宅されたので、
  ご想像の行為まではいかなかったかと……」
 「え、そう……なの」
 「はい」
 
 なんだ、そうかあ。
 ちょっとがっかり……いや、がっかりするのもちょっとおかしいな、自分。

 「それで、次はどういった獣人から……」
 「次はですね、グアラン家の三男」
 「セフレいるとこだね。
  前に揉めてニュースになってるの聞いたけど、すごかった、
  セフレ同士喧嘩したって街の往来で」

 というか、公子様は3Pしてたし。逆に凄いよね……。
 (いや、そこは張り合うとこじゃないけどさ)

 執事曰く、毎度、ほとんどは夜会へのご案内のようだった。つまりあのデバガメのように、ってことか。もちろんそのまま帰宅、ってのもあるだろうけど夜の意味深なパートナーとしてのご案内だよね、これ。
 一部、本気の自宅やデートのお誘いも常に紛れているとのことだが、そもそもの話、婚約者いるのにお手紙お渡ししてくるのどうなの? という気持ちなので、あとでお礼参りしておこうかと考慮しておく。
 婚約式してなかったので、もしかしたらだけど、人目につくようなことをしてないから、つけ込まれている可能性もあるかもなあ……いや、目立つことはしたくないんだよね、僕の場合。
 
 後ろ暗いのは、僕も同じ、か。
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