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情、世は無常。

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 こんなにも僕を求めている人に対し、僕はどう答えたらいいか?
アンサー。結論。
 たくさん、たくさん満足してもらうこと。
 いっぱい、いっぱい。動けばいい。

 律動は、僕も負けじとするべし。
 たくさん、出し入れした。
 熱い腹の中に、子沢山になるように。

 (でも、両生類でもない限り、子はできないと……)

 けど、これだけ出したら……。

 「うっ」

 またも、フィニッシュ。
かくり、と疲れてしまいそうになるが、そもそも激しい交接をしすぎではなかろうか。

 (……)

 腰、痛い。
なぜに、攻め手の僕が腰を痛めるのだろうか。普段運動しないから、にしてはやはりやりすぎたのかも。
 見やれば、彼はとてもどこもかしこも。
美しく、乱れに乱れ、精液に塗れた体のまま、意識を失っていた。さもありなん。

 「声……」

聞きたいな。
 思ったけど、伏せたまつ毛の長さ、それに。少し、泣いた跡があって。

 「あ……」

ショックを受けた。

 我に、返った。

 そうか、僕は。これ、ただの……。
でも、でもでも、彼だってノリノリだったような……?
 
 (……)

 めちゃくちゃ嬉しそうに、その、僕のもの、口に咥えて……。
 ボッ、と恥ずかしくなった。自分が。
想像するだに、照れる。

 (けど……)

 愛してる、とか。
言葉では、お互いに……返しては……。

 言葉のコミュニケーションの前に、体のコミュニケーションをとってしまったことを察し、僕は頭を抱えそうになる。とんでもないことだった。
 卑猥なことばかりして、先にするべきことを、しなかった。
なんというボディランゲージか。

 そよ、と。

 静かな部屋に、微風が、少し吹いた。

 「そういえば……もう、朝か」

 薄暗いキングベッドに、異臭まみれのこの空間を爽やかにする気配。
周囲の調度品。どれもこれも一級品。頑丈そうな両扉。明らかにどれもこれもが一流の品であった。
僕のしがないお小遣い程度では、どうしようもないほどで。
 ひとつ欠けるだけでも、とんでもないお値段になりそうだ。

 急に、自らの吐息でさえ、怖くなった。

 静寂に、恐怖を覚える。

 そういや、公子様は……王族の、身内だった。
そんな彼を……僕は……。手籠に。

 (いや、とてつもなく……ノリノリで……僕の上に乗り掛かってたけど……)

 彼にがむしゃらに喰われた気がするが……気のせいかな。
でも今日の朝は、僕がやり返した感はある。
あるけど……。
 でも……。

 「面倒そうな、予感しか……」

 しない。
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