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発案者は唸る
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亀頭球(きとうきゅう)がようやく大人しくなった頃を見計らい、色々とハメらされたアルファは朦朧とした様子で警備員に連行されていった。
「この学園ではサーモグラフィーがあちこちに設置されてるが、
心許なくてな」
ヒート状態になると体温が異常なほどに熱くなるのは周知の事実だが、それだけの防犯はいかがなものか。
一応は監視カメラだってあちこちで目を光らせているし、決して無能な警備体制を敷いているわけではないのだが、副会長としてはそれだけでは不足だと、提案した。近寄ってきたオメガを散々に貪ってきた人間が言うセリフではないが、こういった立場と地位そして背景を持つアルファの発言に周りもなんとなく流されて説得される。
ただし、会計だけは変なところで野生のカンが働くらしい、
「胡散臭い……」
と反発した。
正しい。
「だがこのままの状態だと、
いずれは危険な目に遭う被害者がまた出るだろう?
先手を打ったまでだ」
(効果的にな)
「うぐぐ」
何やら物申したい顔になった会計ではあったが、反論材料はなかったようだ。不満そうではあるが。
実際にあのドールはきちんと働いてくれ、ものの見事にアルファのアルファを噛んでくれた。亀の亀を。
亀頭球は射精を長らく行うために発達した孕ましたいアルファの神秘だが、より外れないようにしたまで。すなわち、エロいことによって膨らんだ亀頭球が外れない仕組みとなっている。
最初の設計段階だと、急所を噛みちぎるほどのパワーまみれな製品になってしまったので弱体化させたが、今度は逆に威力を弱めすぎた。社会的に貶すために陰茎を挿入状態のままに外れない作りのはずが、会計の力でも容易にアルファのアルファが粘つきを纏いながらも出てきてしまった。
人によっては亀頭球など諸々のサイズが違うあたりが原因と思われる。
(改良の余地はあるな)
平然とした顔の癖して、頭の中では自身がオメガと交わる際を思い起こしている様相であるところの副会長に、庶務はニコリ、といつもの微笑をしてみせた。
「レイ、サギリ君のことだけど」
「サギリ?」
ぴくり、とピンク色の思考から、副会長の目が冴え渡る。
庶務はますます微笑を深めた。
「危険だから側に近寄らせなかったけど、
多分、まだ近くにいるんじゃない?」
考えるまでもない。
居残り続ける彼らギャラリーを般若のごとき必殺な視線で退け、廊下へと飛び出す。
きょろきょろと見回すが、誰もいない。該当するところにも。
おぼろげながら、なんとなくそこにいた気はする。背丈しか覚えていないが。
あの人影は、確かに婚約者に似ていた。
(……サギリ)
匂い、もしない。まあ香りを嗅いだ覚えもないのであくまでも想像でしかないが。
ただ、オメガやアルファのフェロモンの匂いはしないので、ここから離れてしまったことには想像にがたくない。
「あれ? いなかった?」
「ああ」
おかしいなあ、と顔を出した庶務は首を捻った。
「この学園ではサーモグラフィーがあちこちに設置されてるが、
心許なくてな」
ヒート状態になると体温が異常なほどに熱くなるのは周知の事実だが、それだけの防犯はいかがなものか。
一応は監視カメラだってあちこちで目を光らせているし、決して無能な警備体制を敷いているわけではないのだが、副会長としてはそれだけでは不足だと、提案した。近寄ってきたオメガを散々に貪ってきた人間が言うセリフではないが、こういった立場と地位そして背景を持つアルファの発言に周りもなんとなく流されて説得される。
ただし、会計だけは変なところで野生のカンが働くらしい、
「胡散臭い……」
と反発した。
正しい。
「だがこのままの状態だと、
いずれは危険な目に遭う被害者がまた出るだろう?
先手を打ったまでだ」
(効果的にな)
「うぐぐ」
何やら物申したい顔になった会計ではあったが、反論材料はなかったようだ。不満そうではあるが。
実際にあのドールはきちんと働いてくれ、ものの見事にアルファのアルファを噛んでくれた。亀の亀を。
亀頭球は射精を長らく行うために発達した孕ましたいアルファの神秘だが、より外れないようにしたまで。すなわち、エロいことによって膨らんだ亀頭球が外れない仕組みとなっている。
最初の設計段階だと、急所を噛みちぎるほどのパワーまみれな製品になってしまったので弱体化させたが、今度は逆に威力を弱めすぎた。社会的に貶すために陰茎を挿入状態のままに外れない作りのはずが、会計の力でも容易にアルファのアルファが粘つきを纏いながらも出てきてしまった。
人によっては亀頭球など諸々のサイズが違うあたりが原因と思われる。
(改良の余地はあるな)
平然とした顔の癖して、頭の中では自身がオメガと交わる際を思い起こしている様相であるところの副会長に、庶務はニコリ、といつもの微笑をしてみせた。
「レイ、サギリ君のことだけど」
「サギリ?」
ぴくり、とピンク色の思考から、副会長の目が冴え渡る。
庶務はますます微笑を深めた。
「危険だから側に近寄らせなかったけど、
多分、まだ近くにいるんじゃない?」
考えるまでもない。
居残り続ける彼らギャラリーを般若のごとき必殺な視線で退け、廊下へと飛び出す。
きょろきょろと見回すが、誰もいない。該当するところにも。
おぼろげながら、なんとなくそこにいた気はする。背丈しか覚えていないが。
あの人影は、確かに婚約者に似ていた。
(……サギリ)
匂い、もしない。まあ香りを嗅いだ覚えもないのであくまでも想像でしかないが。
ただ、オメガやアルファのフェロモンの匂いはしないので、ここから離れてしまったことには想像にがたくない。
「あれ? いなかった?」
「ああ」
おかしいなあ、と顔を出した庶務は首を捻った。
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