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生徒会室にて
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「お、かわい子ちゃんの群れじゃん。
ちょー可愛いなあああ」
「朝から羽虫のごとく騒がしいぞ、会計」
生徒会室のやたらと斜光を取り入れる大窓からは、生徒たちの登校を見下ろすことができた。
こういった登下校はバースが違うにも関わらず、オメガもアルファもベータも、ごちゃ混ぜに登校である。そこまでの経費なんてかけられない、という学園の鋼な意思かもしれないが、学園そのものの傲慢ともいえる自信の現れでもあるし、たとえオメガがヒートになったとしても速やかに移動させることが可能な警備システムを構築しているそうなので、オメガを持つ親たちはこぞってこの学園に我が子であるオメガを投入させてきた。まあ、オメガと言う子供がいる時点で金持ちなのは違いない、なんたってオメガはアルファとオメガの間で生まれやすい。優秀な財産持ちアルファの子なのだから金払いも良かった。
「おおー花園のお尻もモチモチお花ちゃんたち、
ふぅー愛らしいいい、指舐めたい」
「副会長、公衆猥褻犯黙らせろ」
「なんだよ~ええじゃん、減るもんじゃなし」
「仕事が減らん!」
朝から生徒会室に詰められているのは、単に学園祭への書類を整えるためだ。
あと数ヶ月後であるので早々と予算審議など提出せねばならないため、こうして生徒会長によって引っ張られた会計は副会長さえも巻き添えにしたのである。お金の管理であるため、会計が一番頑張らねばならないので、その尻を叩くために用意された要員ともいえる。
「会計、俺はもう教室に戻りたいんだ。
目で犯してないでさっさと終わらせろ、変態」
「ひ、ひでえよ副会長!」
「会計の作成したいい加減な書類の見直しは副会長に頼む」
「ちっ」
(だから嫌だといったんだ)
会長はアルファとしての能力の高さゆえなのか、同じアルファの使い方が上手い。
渋面なのにそれでもついてきて、とばかりに腕を引っ張ってきた会計には殺意しか芽生えない。
朝っぱらから人の家にきて、お願いしますと土下座する勢いで連行されたのである。副会長としては会長の命もあって致し方のないことではあったが、気にかかることもあり、諦めてドナドナと牛より騒ぐ会計についてきたのだ。
(……あのまま、部屋にいたところで解決しないしな)
泣き真似をしながら電卓を叩く会計を横目に、副会長は最後の仕上げまちをしてる時間、ちらりちらりと、外の景色に意識を向ける。
そこには、たくさんの生徒たちが学び舎である学園の出入り口があり、覚えのある顔見知りなアルファとベータ、そして華奢なオメガたちの集団が、それぞれ一定の距離をあけて進んでいた。アルファ、ベータはクラスが一緒である場合が多々あり、混ざったり離れたりもしてるのは特に感慨深いことでもないが、しかし、オメガたちだけは何か、違う色を含んで見える。もちろん、体に覚えのあるオメガだっている。この学園以外にもオメガはいるので、食い散らかすのは別にここばかりではないが。
いやしい思い出に耽っていると、会計の手がいつの間にやら止まっていたものらしい。
隣にいつの間にやら陣取り、副会長たるレイの視線を追っていた。
「んお!
お、おおお、あれって婚約者ちゃんでしょ、レイの!」
花園の中の花園の一団!
などと、会計は別の意味で鼻を膨らませ、朝からついてるなぁ! などと物申し、外の景色を堪能していた。鼻息が荒い。
(……確かに、あのオメガクラスは、
妙に顔も背景も良い優秀な……)
オメガクラスといってもピンキリだ。学年ごとに複数ある。
その中でも一番可愛いと言われている高嶺の花ばかりが集まった年代だと、各方面に喜ばれている確かなオメガクラス。
そこに、副会長レイの婚約者が在籍していた。
「サギリ……」
いつもは友人たちとたわいのない会話をして、ささやかな笑みを浮かべているはずなのに、今日の君は、なんとも浮かない顔をしているように見受けられた。
黒い髪に、薄い茶の瞳のごくごく一般的な。オメガにしてはベータ寄りの外見の小さな子。今は成長してヒョロ長くなったために同じオメガたちの集団にいると妙にのっぽで目立つが、だが、レイからしてみると、昔日の面影を被せてしまい、ヒョコヒョコと一生懸命についてきた足取りも含み、なんとも言えない気持ちになるのだ。
「かーわいいなああ、あんなに可愛い子の間にレイの婚約者、
超挟まれてるじゃん。
うわああ、いいなあ、サンドだ、3Pだ」
「副会長、そろそろけじめをつけさせろ会計の首を」
「御意」
「あ、ちょ!
本気の首絞めやめて!!」
目撃した景色は、確かにサンドウィッチのごとく、二人の最高級ともいえるオメガに挟まれた婚約者がいた。まるで頬に口づけするかのような近さ、が視界に飛び込んできたため、会計のどうでもいい顎の下をギリギリと二の腕でついうっかり強めに締め上げてしまった。暴れる会計をよそに、レイの目は、しっかりと婚約者に釘付けだ。サギリは顔色が悪いらしい。それぐらいはアルファの眼力で認めることができたが、だが、滴るような肉付きのオメガよりも、サギリを撫で回したオメガ特有の華奢な指先に苛立ちを覚える。
(なぜ、触らせる!)
どうして、どうして、俺よりもそのオメガに君の。
初めての。俺だって触れていない、初めての柔らかさを。
「ギブ、ギブギブぶぶぶ」
「副会長、そろそろ解放させてやれ。
ゴキブリよりもしぶといが、たまには酸素を吸わせてやらんとな」
(心が……。
ああ、心臓が、痛い。息苦しい)
ちょー可愛いなあああ」
「朝から羽虫のごとく騒がしいぞ、会計」
生徒会室のやたらと斜光を取り入れる大窓からは、生徒たちの登校を見下ろすことができた。
こういった登下校はバースが違うにも関わらず、オメガもアルファもベータも、ごちゃ混ぜに登校である。そこまでの経費なんてかけられない、という学園の鋼な意思かもしれないが、学園そのものの傲慢ともいえる自信の現れでもあるし、たとえオメガがヒートになったとしても速やかに移動させることが可能な警備システムを構築しているそうなので、オメガを持つ親たちはこぞってこの学園に我が子であるオメガを投入させてきた。まあ、オメガと言う子供がいる時点で金持ちなのは違いない、なんたってオメガはアルファとオメガの間で生まれやすい。優秀な財産持ちアルファの子なのだから金払いも良かった。
「おおー花園のお尻もモチモチお花ちゃんたち、
ふぅー愛らしいいい、指舐めたい」
「副会長、公衆猥褻犯黙らせろ」
「なんだよ~ええじゃん、減るもんじゃなし」
「仕事が減らん!」
朝から生徒会室に詰められているのは、単に学園祭への書類を整えるためだ。
あと数ヶ月後であるので早々と予算審議など提出せねばならないため、こうして生徒会長によって引っ張られた会計は副会長さえも巻き添えにしたのである。お金の管理であるため、会計が一番頑張らねばならないので、その尻を叩くために用意された要員ともいえる。
「会計、俺はもう教室に戻りたいんだ。
目で犯してないでさっさと終わらせろ、変態」
「ひ、ひでえよ副会長!」
「会計の作成したいい加減な書類の見直しは副会長に頼む」
「ちっ」
(だから嫌だといったんだ)
会長はアルファとしての能力の高さゆえなのか、同じアルファの使い方が上手い。
渋面なのにそれでもついてきて、とばかりに腕を引っ張ってきた会計には殺意しか芽生えない。
朝っぱらから人の家にきて、お願いしますと土下座する勢いで連行されたのである。副会長としては会長の命もあって致し方のないことではあったが、気にかかることもあり、諦めてドナドナと牛より騒ぐ会計についてきたのだ。
(……あのまま、部屋にいたところで解決しないしな)
泣き真似をしながら電卓を叩く会計を横目に、副会長は最後の仕上げまちをしてる時間、ちらりちらりと、外の景色に意識を向ける。
そこには、たくさんの生徒たちが学び舎である学園の出入り口があり、覚えのある顔見知りなアルファとベータ、そして華奢なオメガたちの集団が、それぞれ一定の距離をあけて進んでいた。アルファ、ベータはクラスが一緒である場合が多々あり、混ざったり離れたりもしてるのは特に感慨深いことでもないが、しかし、オメガたちだけは何か、違う色を含んで見える。もちろん、体に覚えのあるオメガだっている。この学園以外にもオメガはいるので、食い散らかすのは別にここばかりではないが。
いやしい思い出に耽っていると、会計の手がいつの間にやら止まっていたものらしい。
隣にいつの間にやら陣取り、副会長たるレイの視線を追っていた。
「んお!
お、おおお、あれって婚約者ちゃんでしょ、レイの!」
花園の中の花園の一団!
などと、会計は別の意味で鼻を膨らませ、朝からついてるなぁ! などと物申し、外の景色を堪能していた。鼻息が荒い。
(……確かに、あのオメガクラスは、
妙に顔も背景も良い優秀な……)
オメガクラスといってもピンキリだ。学年ごとに複数ある。
その中でも一番可愛いと言われている高嶺の花ばかりが集まった年代だと、各方面に喜ばれている確かなオメガクラス。
そこに、副会長レイの婚約者が在籍していた。
「サギリ……」
いつもは友人たちとたわいのない会話をして、ささやかな笑みを浮かべているはずなのに、今日の君は、なんとも浮かない顔をしているように見受けられた。
黒い髪に、薄い茶の瞳のごくごく一般的な。オメガにしてはベータ寄りの外見の小さな子。今は成長してヒョロ長くなったために同じオメガたちの集団にいると妙にのっぽで目立つが、だが、レイからしてみると、昔日の面影を被せてしまい、ヒョコヒョコと一生懸命についてきた足取りも含み、なんとも言えない気持ちになるのだ。
「かーわいいなああ、あんなに可愛い子の間にレイの婚約者、
超挟まれてるじゃん。
うわああ、いいなあ、サンドだ、3Pだ」
「副会長、そろそろけじめをつけさせろ会計の首を」
「御意」
「あ、ちょ!
本気の首絞めやめて!!」
目撃した景色は、確かにサンドウィッチのごとく、二人の最高級ともいえるオメガに挟まれた婚約者がいた。まるで頬に口づけするかのような近さ、が視界に飛び込んできたため、会計のどうでもいい顎の下をギリギリと二の腕でついうっかり強めに締め上げてしまった。暴れる会計をよそに、レイの目は、しっかりと婚約者に釘付けだ。サギリは顔色が悪いらしい。それぐらいはアルファの眼力で認めることができたが、だが、滴るような肉付きのオメガよりも、サギリを撫で回したオメガ特有の華奢な指先に苛立ちを覚える。
(なぜ、触らせる!)
どうして、どうして、俺よりもそのオメガに君の。
初めての。俺だって触れていない、初めての柔らかさを。
「ギブ、ギブギブぶぶぶ」
「副会長、そろそろ解放させてやれ。
ゴキブリよりもしぶといが、たまには酸素を吸わせてやらんとな」
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ああ、心臓が、痛い。息苦しい)
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