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学生という身分
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(子供、か)
今も子供だというのに。成人すらしていない学生だ。
アルファである名家の子、レイは皮肉げに口端を上げる。
一学生であるというのに子供が作れるという環境。
妙なものだとレイは思った。彼は、率直に述べると婚約者、なる者に対し、愛おしい、という感情さえ知らずに育った。だからか、身体の成長と共に現れた性欲というものに興味を持ち、婚約者がいる身でありながら、アルファの持つ本能に引きずられた。ニヤつく先輩アルファたちの教えによって紹介された、権力志向に富む見知らぬオメガによって童貞を失った。
それからだ。
彼が、いきずりの相手と関係を持つようになったのは。
成長期によくある猿のような性欲発散に困ることはなかった。
なんせ相手から頼みにやってくる。断るほうが面倒なぐらいだった。このレイのような、後腐れのないアルファは性欲に目覚めたオメガにとって格好の餌食だ。万が一子供でもできれば、という打算がない訳でもない有形無性のオメガたちであったが、そこのあたりは社会的な立場を理解しているレイは人一倍気をつけていたため、今のところ責任をとれ、と詰め寄られる危機に陥る羽目には至っていない。第三者からみれば、どちらも盛りのついた……というやつでしかないが。少なくとも生徒会長や庶務はそう思っていることだろう、副会長と会計を。呆れたとばかりに小言を毎回言われるがすっかり慣れっこだ。神妙な態度をとる副会長と違い、会計なんてヘラヘラして生徒会長からは雷を、庶務からはため息をつかれている。受け流せばいいのに、とは毎度思うが会計は怒られることをどう見ても嬉しがっているのでマゾなのではないかと我が身を振り返らずに横目で見る。
(仕方あるまい、ヤりたいのだから)
すっきり、とした気分は勉学にも役立った。冷静にもなれる。男として、いや、アルファとして正当な欲望だ。オメガの甘いフェロモンは、たちどころにレイの中を手懐けてくれる。まったく、このようなオメガたちの我欲にはきりがない、と、オメガたちの性欲を直でぶつけられ続けたレイは、元々興味もあってか、しなだれかかるフェロモンと好みなオメガを選別し出された餌を溺れるようにして貪った。
(まったく、近頃のオメガときたら)
と、己の所業を棚に上げて考える。
このような順風満帆な生活を送るアルファらしさのあるレイにとって、ひとつだけ心残りがあり。
時たま、もたげるのは彼のこと。
婚約者、サギリのことだ。
今も子供だというのに。成人すらしていない学生だ。
アルファである名家の子、レイは皮肉げに口端を上げる。
一学生であるというのに子供が作れるという環境。
妙なものだとレイは思った。彼は、率直に述べると婚約者、なる者に対し、愛おしい、という感情さえ知らずに育った。だからか、身体の成長と共に現れた性欲というものに興味を持ち、婚約者がいる身でありながら、アルファの持つ本能に引きずられた。ニヤつく先輩アルファたちの教えによって紹介された、権力志向に富む見知らぬオメガによって童貞を失った。
それからだ。
彼が、いきずりの相手と関係を持つようになったのは。
成長期によくある猿のような性欲発散に困ることはなかった。
なんせ相手から頼みにやってくる。断るほうが面倒なぐらいだった。このレイのような、後腐れのないアルファは性欲に目覚めたオメガにとって格好の餌食だ。万が一子供でもできれば、という打算がない訳でもない有形無性のオメガたちであったが、そこのあたりは社会的な立場を理解しているレイは人一倍気をつけていたため、今のところ責任をとれ、と詰め寄られる危機に陥る羽目には至っていない。第三者からみれば、どちらも盛りのついた……というやつでしかないが。少なくとも生徒会長や庶務はそう思っていることだろう、副会長と会計を。呆れたとばかりに小言を毎回言われるがすっかり慣れっこだ。神妙な態度をとる副会長と違い、会計なんてヘラヘラして生徒会長からは雷を、庶務からはため息をつかれている。受け流せばいいのに、とは毎度思うが会計は怒られることをどう見ても嬉しがっているのでマゾなのではないかと我が身を振り返らずに横目で見る。
(仕方あるまい、ヤりたいのだから)
すっきり、とした気分は勉学にも役立った。冷静にもなれる。男として、いや、アルファとして正当な欲望だ。オメガの甘いフェロモンは、たちどころにレイの中を手懐けてくれる。まったく、このようなオメガたちの我欲にはきりがない、と、オメガたちの性欲を直でぶつけられ続けたレイは、元々興味もあってか、しなだれかかるフェロモンと好みなオメガを選別し出された餌を溺れるようにして貪った。
(まったく、近頃のオメガときたら)
と、己の所業を棚に上げて考える。
このような順風満帆な生活を送るアルファらしさのあるレイにとって、ひとつだけ心残りがあり。
時たま、もたげるのは彼のこと。
婚約者、サギリのことだ。
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