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28.5 変化した街
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「あれ、なんか悪寒が……嫌な気配がする」
たまにそんなことを言っている者がいるが、ほとんどの者はなにも気づいていない。
俺は受付で魔鼠の死骸を提出する。
魔鼠の死骸を出す際には、大腿骨を見られないように気をつけた。
「おお、沢山退治したな! 初回にしては見事な成果だ!」
「一匹二千ゴルドだから、十匹で二万ゴルドかな?」
「お。少年、計算が速いな。素晴らしいぞ。計算ができないと、損するからな」
「そうなのか?」
「ああ、数をごまかそうとする奴は山ほどいる」
お金を受け取った後、俺とフレキ、ゴンザはギルドの外へと出る。
『あぁ、懐かしい』
どうやら、ゴンザが死んでから街の風景は大きく変わっていないようだ。
「ゴンザ、家がどっちにあるか、わかるか?」
『わかる。俺の家は、この通りをまっすぐ進んで……』
ゴンザの案内で俺とフレキは歩いて行く。
どうやらゴンザの家は、ゼベシュの外縁部の方にあるらしかった。
どんどんと、街の中心から離れていく。
『もう少しのはずなんだが、この辺も変わったかも……』
ゴンザは不安そうに言う。
変わったと言うことは、時が経ったと言うこと。
時が経っていれば経っているほど、アンナの生存率が低くなる。
『ここ……のはずなんだが……』
ゴンザがそう言ったのは【ディーンの金物屋】という看板のある建物だった。
建物の住人は変わっているらしい。
「建物自体はどうなんだ?」
『多分、同じだと思う』
ゴンザは建物の中をのぞき込む。
「知っている奴はいるか?」
『いない。……アンナは引っ越したのかも知れない』
「親戚は?」
『…………いない』
『親戚もいないとなると……絶望的じゃ』
フレキが気の毒そうにゴンザを見つめながら、そう俺の耳元で呟いた。
ゴンザはまるで肉体があるかのように、力なく膝から崩れ落ち、地面に手をついた。
「聞き込みをするか」
せめてアンナの墓に参らせてやりたい。
アンナは親も親戚も、財産もない幼子だ。きっと個別の墓はないだろう。
だが、どの集団墓地に埋葬されているかは調べてやりたい。
そんなことを考えていると、
「少年、どうした? 何か用かな?」
ディーンの金物屋から男が顔を出す。
二十歳ぐらいの背の高い男だった。
「いや、このあたりに、ゴンザの金物細工の店があるって聞いたのだけど……」
「ゴンザ?」
男は真剣な表情で考える。
「ああ、アンナの親父か。随分と前にいなくなったって聞いているよ」
「アンナを知っているのか?」『アンナを知っているのか?』
俺とゴンザの声が重なった。
たまにそんなことを言っている者がいるが、ほとんどの者はなにも気づいていない。
俺は受付で魔鼠の死骸を提出する。
魔鼠の死骸を出す際には、大腿骨を見られないように気をつけた。
「おお、沢山退治したな! 初回にしては見事な成果だ!」
「一匹二千ゴルドだから、十匹で二万ゴルドかな?」
「お。少年、計算が速いな。素晴らしいぞ。計算ができないと、損するからな」
「そうなのか?」
「ああ、数をごまかそうとする奴は山ほどいる」
お金を受け取った後、俺とフレキ、ゴンザはギルドの外へと出る。
『あぁ、懐かしい』
どうやら、ゴンザが死んでから街の風景は大きく変わっていないようだ。
「ゴンザ、家がどっちにあるか、わかるか?」
『わかる。俺の家は、この通りをまっすぐ進んで……』
ゴンザの案内で俺とフレキは歩いて行く。
どうやらゴンザの家は、ゼベシュの外縁部の方にあるらしかった。
どんどんと、街の中心から離れていく。
『もう少しのはずなんだが、この辺も変わったかも……』
ゴンザは不安そうに言う。
変わったと言うことは、時が経ったと言うこと。
時が経っていれば経っているほど、アンナの生存率が低くなる。
『ここ……のはずなんだが……』
ゴンザがそう言ったのは【ディーンの金物屋】という看板のある建物だった。
建物の住人は変わっているらしい。
「建物自体はどうなんだ?」
『多分、同じだと思う』
ゴンザは建物の中をのぞき込む。
「知っている奴はいるか?」
『いない。……アンナは引っ越したのかも知れない』
「親戚は?」
『…………いない』
『親戚もいないとなると……絶望的じゃ』
フレキが気の毒そうにゴンザを見つめながら、そう俺の耳元で呟いた。
ゴンザはまるで肉体があるかのように、力なく膝から崩れ落ち、地面に手をついた。
「聞き込みをするか」
せめてアンナの墓に参らせてやりたい。
アンナは親も親戚も、財産もない幼子だ。きっと個別の墓はないだろう。
だが、どの集団墓地に埋葬されているかは調べてやりたい。
そんなことを考えていると、
「少年、どうした? 何か用かな?」
ディーンの金物屋から男が顔を出す。
二十歳ぐらいの背の高い男だった。
「いや、このあたりに、ゴンザの金物細工の店があるって聞いたのだけど……」
「ゴンザ?」
男は真剣な表情で考える。
「ああ、アンナの親父か。随分と前にいなくなったって聞いているよ」
「アンナを知っているのか?」『アンナを知っているのか?』
俺とゴンザの声が重なった。
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