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第3話: 「魔法王国のトラブル!もう一つの試練」

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 初めての仕事をなんとか乗り越えた伊織。魔王城に戻り、魔王ダリウスに無事に任務を終えたことを報告した。しかし、彼の休息は短かった。次なる仕事がすぐに降りかかってくることになる。

「伊織、次の仕事だ。今度は魔法王国アストリアに行ってもらう」

 ダリウスは淡々と命令を告げた。伊織は驚きながらも、「またかよ……」と心の中でつぶやいた。

「魔法王国アストリアって、魔法が発達した国ですよね? そこで何を?」

「その通りだ。アストリアでは現在、魔法のエネルギーが不安定になっている。彼らは我々に助けを求めてきた。だから、お前にはその原因を突き止めてもらいたい」

 伊織は思わず頭を抱えた。

「俺が魔法のエネルギーなんて、どうやって……?」

 魔王はニヤリと笑った。

「お前はただの秘書じゃない。俺の命令を受ける以上、お前にはその役割を全うする責任がある。それに、エルも同行させる。彼女の魔法知識は役に立つだろう」

 エルは元気よく飛び跳ねながら伊織の肩に乗った。

「任せて! 私がついてるから大丈夫よ!」

 こうして、伊織とエルは魔法王国アストリアへと向かうことになった。道中、伊織はエルからアストリアについての情報を教えてもらいながら進んだ。

「アストリアは魔法の力が生活の一部となっている国なの。住民たちはみんな魔法を使えるのよ。けれど、最近は魔法のエネルギーが不安定で、魔法が暴走する事件が相次いでるらしいわ」

「暴走する魔法……? それ、ちょっと怖いな」

 エルは頷きながら説明を続けた。

「そうね。でも、私たちがその原因を突き止めれば、きっと解決できるはずよ!」

 やがて、二人はアストリアに到着した。町の様子は一見平穏に見えたが、ところどころで小さな魔法の爆発が起きているのが見えた。住民たちは慌てて対処していたが、不安の表情が見え隠れしている。

 伊織とエルは、アストリアの王宮に向かい、国王との謁見を求めた。国王は壮年の男性で、深い皺が刻まれた顔には疲れがにじんでいた。

「魔王ダリウス様の秘書と聞いている。ここに来てくれて感謝する」

 国王の挨拶を受け、伊織は緊張しながら応じた。

「こちらこそ、お世話になります。魔法のエネルギーが不安定になっているとのことですが、その原因について何か心当たりはありますか?」

 国王は深い息をつき、しばらく考え込んでから答えた。

「実は、最近我が国の地下にある『魔力の源』が不安定になっている。それが原因で魔法のエネルギーが暴走しているのではないかと考えている。しかし、原因はまだ特定できていない」

 エルはすぐに反応した。

「地下の魔力の源が原因なら、そこを調査する必要がありますね! 伊織、行ってみましょう!」

 伊織はエルの言葉に頷きつつ、内心では不安を感じていた。しかし、ここまで来た以上、後戻りはできない。

「わかりました。私たちがその魔力の源を調べてみます」

 国王の案内で、伊織とエルは地下へと続く暗い階段を降りていった。道中、エルは魔法の灯りを使って足元を照らしてくれた。

「ここが魔力の源がある場所よ。何かを感じる?」

 エルが立ち止まり、慎重に周囲を探るように言った。

 伊織は地下の広間に入ると、空気が重く感じられるのを知覚した。中心には巨大なクリスタルがあり、それが怪しく光っている。しかし、光は時折明滅し、不安定な状態にあった。

「これが魔力の源か……?」

 伊織が近づくと、突然クリスタルが激しく揺れ始めた。エルが慌てて魔法を使い、周囲を保護したが、何かが異常だと感じた。

「伊織、これはただの不安定さじゃない! 何かがこのクリスタルに影響を与えてるわ!」

 伊織は状況を理解しようと必死だったが、その時、クリスタルから何かが飛び出してきた。それは暗い影のような形をしたもので、クリスタルに吸い込まれ、消えていった。

「何だ、今のは!?」

 エルがその現象に目を見開いて言った。

「まさか、闇の魔法が絡んでいるのかも……このクリスタルに何者かが闇の魔力を注ぎ込んでいる可能性があるわ!」

 伊織はその言葉に動揺しながらも、エルに尋ねた。

「どうすれば止められるんだ?」

「まずは、クリスタルに残された闇の魔力を浄化しないといけない。でも、それには強力な光の魔法が必要だわ!」

 伊織は思い悩んだが、ここで退くわけにはいかない。

「エル、俺にできることがあれば教えてくれ。なんとかこの魔力の源を安定させる方法を見つけないと」

 エルは少し驚いた表情を見せたが、すぐに力強く頷いた。

「ありがとう、伊織。私もできる限り力を貸すわ!」

 こうして、伊織とエルはアストリアの魔法王国を救うための試練に立ち向かうことになった。果たして、二人は闇の魔力に打ち勝ち、魔法のエネルギーを安定させることができるのか?


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