大嫌いな後輩と結婚することになってしまった

真咲

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 嫌な予感がした。
 イッたばかりの体は弛緩してあまり力が入らないのに、後孔だけはきゅうきゅうとエネマグラを締め付けてしまう。イッて敏感になった前立腺を無機物でしかないそれが蹂躙する。
 ヨアヒムの指は優しかった。
 イッた後すぐ抜いてくれたし、トロトロと幸福な快楽だけを与えてくれた。
 自分が甘やかされていたのだと、漸く気づく。

 思考を巡らせられたのも束の間で、現実逃避する脳を快楽が焼いた。

「さっきイッた! もうイッたのに!」

 慌てて後孔に指を伸ばすが、手が滑りエネマグラを更に押し込むこととなる。

「うっ~~~あ、ああっ!」

 びくびくと体が震え、前から勢いのない白濁が垂れる。二回目の絶頂を迎えた内壁のうねりを利用し、更に中の玩具はしこりを無遠慮に押しつぶす。
 
「うひ、あ、嫌だ、もう、……と、とまってっ…とまれよぅ…うっあっ…ああっ!」

 これ以上イクのは不味い。
 必死に繋ぎ止めていた理性が焼き切れそうだった。貪欲に快感を追いかける体を宥めるため、指でいじるのはやめて深呼吸をする。
 吸って、吐いて、イきそうな波が来たら腰に力を入れて耐える……

 悲しいかな、エネマグラにそれは逆効果だった。
 深い呼吸の度、前立腺が犯され、慌てて腰に力を入れるとまた内壁が締め付けられる。試行錯誤したレオの努力を嘲笑うよう、快感の波はすぐにレオを襲った。

「いやっ、もう、もうムリ~~~ッッ!」

 生理的な涙で頬が濡れた。
 まだヨアヒムの指しか受け入れていないそこは、すっかり前立腺の快楽を覚えてしまう。無理矢理三回目の絶頂を味合わされる。

 最早喘ぎ声を控えるのも難しかった。
 ぐすぐすと鼻を鳴らし、自分を楽にしてくれる一人の名前を呼ぶ。

「ひむ、ヨ……あひ、ヒッアア! ヨ、あ…っム! あああっ!」
「……レオ? 何が……」

 自慢の顔が歪み、誰にも見せられない酷い顔になったレオの目に、来て欲しかった男が映った。彼は仕事をしに執務室に行っているはずだ。レオとヨアヒムの自室、寝室は東棟にあるのに対し、執務室は西棟にある。「仕事とプライベートは分けたい」というヨアヒムのこだわりの配置によれば、執務室とレオの部屋は相当離れているはずだ。
 でも、今のレオにはそんなことどうでもよかった。
 幻覚だっていい、目の前に待ち望んだ男がいる。
 無条件で自分を助けてくれる男が。

「とって! これ、とってよぉ! ひぐ、ううっ」

 体液とローションでベタベタの後孔を見せつけるよう、腕で膝を持って開いた。はしたない格好だとか、そんなことは快楽でぐちゃぐちゃのレオには判断つかない。

 今も疼く中を押し続けるエネマグラを早く取って欲しかった。

 しかし、ヨアヒムの身にもなってほしい。
 彼は普段頭の回転の早い、聡明な男だ。
 が、長年片想いを拗らせ、自分の欲を押し通し婚姻した相手が昼間から後ろに玩具を挿れて乱れている。いつかの夜よりあられもない表情、仕草、その全てがあまりにも刺激的すぎる。
 状況を理解するのに、彼は硬直した。
 処理落ちしたのである。

「う、…なに、…やって、んだよ、はやくぅ!」
「……………あ、ああ、悪い」

 幸い愛しい先輩の声に意識を浮上させ、手を伸ばす。が、誤ってトン、と軽く突いてしまう結果となり、レオのペニスから随分薄まった白濁が溢れる。

「ば、ばかぁっ!」

 大好きな人に足蹴にされつつ、ヨアヒムはなんとか玩具を抜き去った。ひとまずコレの処分は後でするとして、優先なのは何よりも愛する人である。

「レオ、レオ、大丈夫か? 怪我は? 痛いところは?」
「……う、うう、何も……」

 余韻で震えるレオを柔らかなタオルで包み、安心させるため寄り添った。
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