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続・婚約破棄から始まる農業王国作り

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 わたしの夫であり、良き農業パートナーであるレオンが、うんうんと唸っていた。
 ほんのちょっとだけ、胸が痛くなる。
 罪悪感というやつだ。

 ……というのも。
 レオンは最近、農業をしていない。
 わたしが、政治やらなんやらを全てレオンに丸投げしたからだ。

 いやね。
 わたしだって貴族だし、一応政治とかできるんだけどさあ。
 そういうのって、楽しくないじゃん。

 農業に全力を尽くしたいわけだ。それはレオンもそうなんだけど、わたしはレオンに恋して結婚したわけじゃないし、なかなか手伝ってあげようとか思えないんだよね。

『農業ができなくて可哀想』とは思うけど。

 そんなわけだから、ちょっと手伝ってあげちゃってもいいかなー、なんて。罪悪感がすごいからね。

 と、そんなところで言い訳タイムはおしまい。

「レオン、わたしにできることだったら、ほんのちょこっとだけ力をかしてあげてもいいかもしれないわよ」

「よっぽど農業以外に時間を割きたくないんだな……」



 はい。よくわかってらっしゃる。

「それが、ひとつ問題があってな……隣国アルバート王国が、ここ最近、戦の準備らしいことをしているようなんだ。おくりこんでおいた者の報告によると、どうやらこの国に戦争を仕掛けるつもりらしい。しかし我が国は、農業に適した土地とベテランの農民たちのおかげで財力こそあるが、戦力は少ない。戦争がおこればせっかく耕したものもおしまいだしな……」

 なるほど。

「つまり、農業の危機ってことね」

(違う)

「ああ、その通りだ」

(どちらも農業バカのためツッコミ不在)

「なら任せておいて。アルバート王国との戦争を食い止めてみせるわ。目指せ農業世界征服よー!」

 意気込むわたしに、レオンは尋ねる。

「何か策があるのか?」

「もちろん、アルバート王国に乗り込むのよ」

 無断でね。兵士の目をくぐりぬけてね。

「……アイリーン」

 何ですか?

「それは、策とは言わない」

 あれまあ。

「とにかく任せておいてくださいよ」

「無理だ。捕まったらどうするんだ」

 うん。

「死ぬんじゃないですか?」

「いや、さすがに殺しはしないと思うが……何をされるかわからない。心配なんだよ」

 うーん。

「捕まったときは捕まったときです」

「……もう、この案件は忘れてくれ。こちらで解決するから、アイリーンはいつものように農業に励めばいい」


 ……。

「わかりました」

 わたしは、そう言ってレオンから離れる。

 ……これで諦めると思う?
 ほかでもない、農業の危機なんだよ?
 不安で農業にも安心してうちこめなくなっちゃったよ。

 絶対に諦めないんだから……‼
 アルバート王国にのりこんでやる!
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