遠水連天碧

桂葉

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三章

ままならず

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 華やかだった祭りが終わり、廟が片づけられていく様子を淡々と見守ってから、河伯はまだ遅れてやってくる参拝客を迎え、昼を過ぎた頃に廟を出た。
 龍神像から脱皮(?)した河伯の姿は、やはりとてつもなく美しく、これが人に見えたらとんだ騒ぎになるだろうなどと罰当たりな事を思いながら、流文は彼の後をついてまた河原へと向かった。
「何をなさるのです?」
 後ろから問いかけると、河伯は振り返らずに答えた。
「今日は、ここから流域周辺の土壌を清める」
「へえ……」
「人の営みは穢れをも生み出す。それが溜まればやがて邪神を作り出す。それを防ぐ。あとは、土地に肥しをやるようなものだな」
「肥しですか」
 例えだとはわかったが、神の口から聞く「肥し」などというあまりに庶民的な言葉が、すこし面白いような気がした。
「この辺に住まう地の神は昔からおらぬようだから、私が少し手助けを施している」
 それはどうやってするのかと問いかけたかったが、河伯が目を閉じて精神を集中させ始めたので、叶わなかった。まあいい。見ていればわかるはずだ。
 昨日少し見た、あの儀式のような行為。胸の前で右手の人差し指と中指を立て、そこに意識を集中させているらしいほかには何をするでもないが、その身から立ち上る神気を河の流れに乗せて伝えていく、それが確かに周囲の空気さえも浄化していくような感じがした。
 無風なのに、何かがゆったりと流れていく。満ち足りた、優しい何か。それが彼の神気。彼そのものを現すような、その場にいるだけで心が静まり、整うものだ。
 彼が土地に流域にそうして恵みを与えている間、流文はそこに座り、河伯の背とその向こうに広がる河面を見ていた。
 自然の中にある、その姿はいつまででも見ていられる気がして。
 穏やかに凪いだ心は、やがて真っ白になる。
 なにも考えることなく、静謐だけが心を満たすようだった。
 ――――――。
「流文、流文?」
 呼ばれる声に、はっと意識を取り戻した。
 気が付けば、河原に座ったまま居眠りをしていたようだ。立膝に肘を預け、首をうなだれた格好で寝ていたので、少し肩が凝っていた。
 すぐ近くに、河伯の美貌がある。隣にしゃがんで流文の様子を見ていたのだろう。
「すみません、眠っていたのですね」
 そのことに自覚がなかったのが気恥ずかしくて苦笑すると、河伯は呆れたようにふっと小さく口角を上げた。
「かようなところで寝ていては、風邪をひく」
「不老不死でもたまには引きますからね。面目有りません」
 ことごとく半端な存在だと自分を思い、流文は空笑いだ。
 そんな流文に、河伯は一瞬何かもの言いたげな目を見せたが、すぐにそれを伏せてしまった。そしてひとたびの瞬きの後は、ただ澄んだ色の瞳が流文を映す。
「待たせて、すまなかった」
「いいえ。ここの人たちにとっては、命を左右する尊い行いです。ほんとうに、これが神の力ですね。私がしてきた妖怪退治程度の事とは、規模も意味合いも違う……」
「流文」
「はい?」
 改めて名を呼ばれると、少し胸が弾んだ。声がいいせいか、相手の心に届く言葉だからか。
 どうしたのだろうと次の言葉を待つと、また先程の目が流文を捕らえた。
「あまり、己を卑下するな」
「……」
 今度は、胸は痛んだ。隠しているつもりの弱いところに、触れられたせいだ。
 言い当てられた気まずさ。それを咄嗟に繕う余裕がなくて、言葉を詰まらせてしまう。
「そなたは、そなたのできることをしてきたはずだ。人にも神にも己が分というものがあり、それを超えるのはままならぬところがあろう。しかしその中で精いっぱいのことをするならば、その行為は等しく尊きものであるはず」
「……」
「そなたが天仙でありながら天上できぬには、必ず何か理由があるはずだ。それを突き止めたいならば、付き合おう」
「河伯……」
「拗ねては神格が下がるぞ」
 最後はすこし冗談めかして、しかし河伯による諭しの言葉は重く流文の心に響いた。
 彼の目に自分はあまりにも子供じみた姿に見えているのだろう。寡黙な彼が言葉にして窘めずにいられないほどに。
 情けない。そうばかり思っては、いけないようだ。神格の差のせいで当たり前になってしまっていたけれども。
「あなたは何故、私にそのように親切なのです?」
「神としてありながら望まれぬほど空しいものはない。私にできることならば、したいだけだ。ただ……」
「何でしょう」
「そなたにはどこか、懐かしさを感じないではない。そのせいもあるような気がする」
 いっそ凄みのあるような美しいかんばせで見つめられるが、今はそれにより気後れする余裕はない。覗き込めばあまりも深くまで澄んだ彼の瞳は、一度捕らえられたらこちらから逃れることのできない力があるような気がして。
「懐かしさ、ですか」
 互いに昨日が初対面であることは明らかで、それをわざわざ言葉にするのはつまらない。だったら何か? それが重要だが、生憎言い出した河伯にもまた思いつくところはないようだ。
「縁が、あるのやもしれんな」
 ふと、河伯が微かに笑んだ。また、流文の胸が鳴った。
「そうであるならば……、」
「うん?」
「もしそうであるならば、あなたとお会いしたことに、意味があるのでしょうか」
「だと、面白いな」
 一度鳴った胸は鼓動を早くし、流文の体を熱くした。仙として生きているうちに、もうとっくに忘れていた、生々しい感覚だった。
 惹かれる。そのことに胸が熱くなる感覚。何かに熱中するなど、狂ったように修行していた頃以来だ。
 ただ遠く及ばない存在だと眩しく眺めていた河伯が、急に目線を合わせてくれたからだろうか。手を伸ばしたいと、強く思った。
 この人の思いの欠片でも構わないから触れてみたいと、思ってしまった。
 これが何なのかは、わからない。けれども相応しくないものならば、どこかで天罰が下ることだろう。それまでは、この強い想いに身をゆだねたい。そう思う心は、今はおこがましいとは感じることがなかった。
 本当に縁があるのならば、この人とならば、天上も果たせるのかもしれない。


「明日の朝、天上する」
再び夜を迎えた廟の中で、河伯が唐突に言った。今日になるとさすがに日が暮れた後の時間になってまで参りに来る者はおらず、二人きりでいるのがずいぶんと静かでもの寂しいほどだ。声もよく響くので、河伯の物静かな声はいつもよりもはっきりと聞き取れた。
「へ?」
 間抜けな声をあげた流文は、ここ二日で自分がずいぶんと若い頃のように戻ったのではないかと思っていた。
 これまで百年生きてきて、周囲はいつのまにか皆自分よりも年若い者ばかりになった。容姿こそ若者のふりをしているようなものだが、中身は百の爺。そう思っていたから、見てくれのわりにどうしても年寄り臭いことを言い、そのように行動してきたのだが、今目の前にいるのは、自分の年齢など遥かに超えた存在である。河伯もまた、流文を自身よりは若者という前提で扱う。そのため、それに合わせてしまうという、精神年齢逆行現象が起こっているようなのだ。これで、肉体の年齢と中身が釣り合うくらいではないだろうか。流文が人で言う二十歳前後なら、河伯はそれより五つ以上歳上の青年のように見える。こちらも釣り合いはよさそうだ。
「どうしてです?」
 唯一だった長椅子は河伯に譲ったので、流文はくたびれた蓆の上に座っていた。ここからだと、河伯の顔は見上げる位置にある。
「必要なことは、昼のうちに終えた」
「でも、三日ここに留まるって仰ってませんでした? まだ今日が二日目ですよ」
「だから、今日のうちに済ませた。君を待たせている時間が長かったろう」
「もしかして……」
「まあ、そういうことだ」
 つまり、急いでくれたのだろう。他でもない流文のために。
 流文が気に留めなければ、この気遣いは知らされることもなかったのだろう。恩着せがましくないように計らってくれたことを知り、また河伯の優しさの慎ましさを感じることとなった。
「気になるならば、早く解決すればよい。それだけだ」
「すみません、なんだか勝手ばかりしているようですね」
「君、それもよしなさい」
「何でしょうか」
「ここは謝るべきではない。礼なら受け取ろう」
 言われて気が付くことばかり。ここでもまた卑屈になっていたようだ。
 律儀な性格。そう言っては失礼だろうか。善悪のありかたには拘る性格のようだ。清廉なのは彼の特性のようで、やはり俗世に慣れきった自分とは違う。それでも煩わしいとは感じられないのは、こういった河伯の気性に触れるたび、こちらが浄化される気がするからだ。
 このまま、この神の傍にいれば、自分もまた天上に相応しい存在になれるのではないかと、そんなふうにさえ思えてくる。
「私のために、ありがとうございます」
「それでいい」
 また見せられたささやかな笑みに、じわりと心が温まった。
 こういった、誰か特定の人物(神だが)と丁寧に接するのは、実はずいぶんと久しぶりのことだ。しかも、自分のほうが下という立場で、というのはその感覚を忘れてしまっていたほど。
 人に乞われて困り事を解決すれば、感謝はされる。その時々に知り合った者たちとの交流もたくさんあった。しかし、人間と仙とでは異種間交流でしかなく、しかも願うものと叶えるものという一方的な関係性で固定される。せいぜい協力者というくらいの親密さしか築かれることはなく、個人的な思いを交わしたり持ち寄ったりというものではなかった。
 河伯とも特別に親密な関係になったとは言えないが、しかし、少なくとも単純な利害関係とも違う。流文の天上は、決して河伯に頼み込んでまで果たしたいというものではなかったし、彼も流文の願いを叶えることにはなるが、厚意で申し出てくれたのだから、やはり利害ではないと思う。
 少し心が通う縁となった、くらいのものだろうか。だから、二人の間に歴然とした神格の差はあれど、「神」といういわば同族意識を介して、なにやら個と個のやり取りが始まったようなのだ。あまり遜るよりは、普通に接した方が河伯も気分がよさそうだから、それに乗じてしまっている。多少の厚かましさには目をつむることにしよう。
「明日は、よろしくお願いします。もしも無事に天上が果たせたら、あなたと顔見知りになれたことを自慢できますね」
「そんな大層なものではないぞ」
「御謙遜を。天界の事も、教えていただけますか」
「お安い御用だ。おそらくは君も天界のどこかに住まうのだろうから、いつでも訪ねて来ればいい」
「お住まいに、ということですよね。良いのですか?」
「期待されるようなもてなしはできぬがな」
「ぜひ!」
 ここにきて初めて、流文は自分もまたそのような神となることを想像することができた。
 その晩は、遅くまで寝ずに、河伯から天界での暮らしについて話を聞かせてもらうことになった。


◇◇◇


 翌朝。まだ日が昇って間もない時刻に、ふたりは龍神殿を後にした。
 朝霧に煙る河辺に向かい合って立ち、河伯の顔を見上げる流文の表情には、いくらかの緊張が張り付いていた。
「どうやって天上するのですか。私はどうすれば」
 待ちきれず問いかけた流文を、河伯は苦笑で制した。今からその説明をする、と目が語っている。
「通常、初めての天上は、天帝の意志によって予告もなく強制的に成される。天宮に召喚されるという形だ。君の時もそうではなかったか」
「ええ、ほとんどそこがどこかも理解できないうちにまたこちらに戻りましたが、宮殿のような風景を見た気がしています」
「なるほど。一度天上すれば、次からは自分の意志で地上との行き来ができるようになる。私も、春龍節で呼ばれたとはいえ、行くかどうかはこちらの自由で、まあ、こうして降りてきた。帰りもやはり自分の思うままだが、戻る場所は天宮ではなく自邸になる。そこに意識を残したままでここに来ているようなものだから、まずは本拠になる場所へ帰ることになる」
「はい」
「君のことも、まずは私の邸に連れて行く。その後天宮へ向かうのでよいか」
「もちろん、お任せします。……実際に成功するかどうかも、分かりませんしね」
「案ずるな。私の意志で、人や仙を天上させることは可能だ。ただ、天に留まるためには、相応の資格を持つかあるいは地上での生を諦める必要がある。君に関して言えば、一度天宮に召喚されかけたということだし、あちらに行くことと引き換えに君が死ぬということにはならぬと思う。天仙として天上するのと、死して天に昇るのとでは肉体の扱いが違うから、万が一君の体から魂だけが抜けるようであれば、一度中止する」
「はい」
 言葉だけでなく、目を見て、覚悟を問われた。躊躇いはなかった。少なくとも、河伯に任せていれば、さほど困った事態にはならないだろうという確信があった。
「では、行くぞ」
 手を差し出され、それに自分が重ねればよいのだとわかる。
 大きな、肌の滑らかな河伯の手に自分の掌をのせると、返すように少し力を込めて握られた。
「目を閉じて、この手に意識を集めなさい。他のことは考えてはならない。導かれる力に身をゆだね、私に着いてきなさい」
「はい」
 河伯の言葉が終わらぬうちに、自分の体がふっと重みを失った。
 ああ、覚えている感覚と同じだ。急に光に包まれ、体が軽くなり。何か強い力で一気に引き上げられる―――!
 体から魂が引きはがされるような感覚はなかった。自分がまるごと連れていかれた。そう感じたのも一瞬に満たない時間だった。
 河伯に手を引かれ、どこかに吸い込まれるような勢いが急にふっと力を失くし、そこに落とされたような感じがした、その時に、何か別の強い圧でそこに降り立つのを阻まれた。
 消える! 自分がここから消えると咄嗟に思った。前もそんなだったような気がするが、すべてが一瞬のうちに起こった思いがけないことで、定かに覚えているわけではない。
「河伯!」
 手が離れそうになり、名を呼んだ。
 河伯も戸惑いの表情で、弾き飛ばされようとしている流文を見た。
 ぐいと、繋いでいた手が力強く引かれた。勢いよく、河伯の胸に引き寄せられる。
 腰を強く抱かれた。顔をあげて河伯を見たその次の瞬間に、視界が塞がれた。あっと思った時には、口も塞がれていた。
 重なった、ひんやりと柔らかいもの。そこから口に何かを注ぎ込まれたとたん、謎の圧力を感じなくなり、どさりと倒れこむように流文は河伯の胸に飛び込んだ。引きはがされようとしていた力の反動で、そのまま二人は折り重なるようにしてその場に倒れこんだらしい。
「つ……」
 見事流文の下敷きになった河伯が小さく呻いたので、咄嗟に身を起こし立ち上がろうとしたが、強く抱き込まれていたためにそれが叶わない。
 河伯は二人分の重さで背だか頭だかを打ち付けたようだ。ここはどこかの部屋の中で、下は床。地面でなくてよかった。
「大丈夫ですか」
「ああ。大事ない。君は無事か」
「ええ。今はあなたが苦しいのではないかと」
「ああ。そうだな。案外君は重い」
「でしたら、手を放してくだされば」
「……そうだったな」
 体をしっかりと拘束していた河伯の腕が離れ、やっと離れることができた。
 追ってゆっくりと上半身を起こした河伯は、やれやれと乱れた髪を背中に払い除けて、一つ息をつく。
「どうやら成功したようだ。さっきのあれか、君が天上できずにいた原因は」
「そのようです。今も、ありましたね。あなたのおかげで振り掃うことができたようですが」
「かなり強い抵抗だった。咄嗟に君に神気を送ったのがよかったらしい」
「……」
「行為としては、あまり体裁の良いものではなかったな。手っ取り早い方法だったせいだが、気を悪くしないでくれ」
「いえ、……どういう意味があることだったかは、わかりましたから」
 言いながら、河伯と目を合わせられない。先ほどのは、いわゆる口づけだった。
 神気を伝える方法としては他にもいくつかあるのだろうが、今回の場合はあれが即効性があり確実だったということだろう。
「おかげで、ここにとどまっていられそうです」
 あれのせいで、天上に成功したのは明らかだ。ここが、河伯の言っていた、彼の自邸であるようだ。初めて見る広大な屋敷だが、この空間を覆う気が、河伯本人から感じるものと同じ性質のものだ。
「そうだな。ここは私の領域の中だから問題ないだろう。落ち着いたら天宮へ向かうが、その時はもう一度、……いいだろうか」
「……はい」
 まあ、そうなることの予想はついていたが、改めて同意を求められると、多少照れる。
「一時しのぎに過ぎぬだろうがな」
「ここから出るたび、あれを?」
「他に良い方法があれば、そうしたいところだが」
 実を言うと、齢百にして初めての口づけだった。相手は男神。我が人生は一体どうなってるんだか。
 しかも、あのような状況でなければうっとりと夢心地にでもなりそうなほど、行為は心地よかった。自分の中が、何か穏やかなもので塗り替えられていくようで、一瞬我を忘れそうになったなどとは、さすがに口が裂けても言えないわけだが。
 また、あれをされるということに、戸惑いの他に少しの期待をしてしまっている、そんな不謹慎な自分を少し恥じた。
「確かには分からないが、君には何か呪のようなものがかかっていて、本来天上できるにもかかわらず、地上に追い返されている気がする。天界に拒まれているのか、あるいは地上に縛られているか、どちらかだろう」
「はい」
 淡々と状況を理解しそれを口にする河伯は、流文に比べればずいぶんと冷静だ。そのことに、ともすれば落ち着きを保てなくなりそうな流文はかなり助けられた。
「天帝は世の万事を知る。呪を解くこともできよう」
「天帝のような方に、呪のような穢れが近づいて良いのでしょうか」
「厄払いの力が誰よりも強いのが、天帝だ。君は呪をかけられた覚えがないのだろう? 前世に関わることやもしれん。ならば、私では力不足だ」
「そうですね……」
「本来、初の天上ですぐに天帝と会うことになる。それが今だというだけだ。怖がる必要はない。現天帝はまだお若いが、力は十分にお持ちだ」
「お若いのですか」
「ああ。八百年ほど前に代替わりがあった。今の天帝は、……そうだな、見た目は君よりもまだお若い。柔軟で聡明な方だ」
 八百年前に着位して、まだ若い。さすが、時間の単位が流文の持つ感覚とはかなりずれる。
「そうなのですか。天帝も代替わりがある?」
「ああ。私が天上した当時の、天帝はご老体だった。力が弱まる前に、ご子息に譲位なさった」
聞けばおもしろいものだ。天界にもまた、人の世とよく似た帝政があるだけでなく、その営みもまた似通っているようだ。違うのは、人は私利私欲を目的に帝位を求めるのが常だが、神は天上天下世の平穏と調和のためにそこにあるという点だろうか。
「ところで、そろそろ立ち上がろうか」
「あ、そうですね」
 気が付けば、まだ床に座り込んだまま話をしてしまっていた。倒れこんだ勢いで、足は投げ出したままで衣も乱れ放題。河伯に至っては、上衣が肩から半分滑り落ちたままの姿だ。しかも広がった上衣の裾の上に流文が座っているせいで、動けない状態であったらしい。
 立ち上がり、衣を整えたり姿勢を正したりは互いに目を合わせずにできたのだが、改めて向き合うと、つい流文はうつむいてしまう。河伯がそれをどう思ったかは、軽く聞こえたため息で察することができてしまった。
 心を読まれていても文句は言えない相手だ。少しくらい見破られていても、仕方がないことだろう。


◇◇◇


 そこは、あっけに取られるほどに広大な広間だった。
 間取りも拾いが柱も太く天井も高いので、遠く見ればそれなりの広さくらいに感じるが、中に入ってみると全てが大きいということに気がつく。
 河伯に連れられ、おっかなびっくりの体で天宮へと入った流文は、今もやはり河伯の隣にちんまりと佇み、この信じがたいほどの絢爛な場所に、目をちかちかさせていた。
「ここは謁見の間だ」
 役人に清江が話をつけ、天帝と対面が叶うことになった。さすがに帝となればすぐに手が空くわけではないので、ここでしばらくお待ちする。
 こんな場所でも全く臆さない河伯はさすがといったところで、ここまでにすれ違った者たちから丁寧な礼をされていることからも、立場の程が見て取れた。
 それに比べて……などとぼやけばまた河伯に窘められそうで言えないが、肩をすくませるくらいは当然だと思う。なにせ、神の中でも絶対に地上にはお出ましにならない唯一孤高の存在に謁見が叶うのだ。気を抜くと足が震えそうで、どうしても全身に力が入ってしまう。
 やがて、シャラとした涼やかな音がし、香しい風がゆるやかに吹き抜けた。
「天帝のお出ましである」
 役人の声が広間に響く。拝礼した河伯にあわせ、流文もその場にひれ伏した。
 さらさらと水がさざめくような音は、誰の衣擦れの音だったか。数人の気配が広間に入り、正面へとたどり着いてゆったりと止まった。
「天帝に拝礼」
 言ったのは、役人の声だったのだろう。
「顔を上げなさい」
 追って聞こえたのは、歳若い青年のような張りがありながら、深い響きも伴う、不思議な声だった。
 恐る恐る顔を上げるとそこには、両脇に控える女官の背丈よりも足りぬほどに小柄な、しかし存在感はこの場の誰よりも圧倒的な、天を統べる方の姿があった。
 そうする必要はなかったが、流文はもう一度頭を下げた。
「水神清江、天帝に謁見致す」
 決して張り上げたりしないがよく通る声で、河伯が申し出た。
 おや、今名乗ったのは河伯の名ではなかったなとは気が付いたが、今は黙っておく。
 河伯の挨拶を聞き、天帝はにこやかな笑みでそれに返した。
「久しいね。元気だったようで何よりだ。して、何用なのかな。そなたから出向いてくるなど、天界に雪が降る前触れかと思うよ」
 そんな軽い冗談を言う天帝に、河伯は愛想笑いも見せずに話を進めた。
「これなるは、天仙の資格を持ちながら障りがあり天上が叶わぬ者です。地上にてその話を聞き、私がこちらへ招きました。なにとぞ天帝のお知恵を賜りたく」
「うん、清江、堅苦しいのは好かぬ。話はわかったのでもう少し楽にしてくれまいか?」
「御意に」
「堅いよ」
「ですが天帝」
 どうやら、この二人はいつもこういうやり取りをしているようだ。礼節を崩したくない河伯と、寛いだ雰囲気を好む天帝。立場は天帝が上で、見た目や年齢は河伯が上。しかも天帝から見れば河伯は自身の父の代からの臣下である。こうなるのも無理のないことのように思えた。これもまた、天帝の人柄のなせるところだろう。ふたりの和やかなやり取りのおかげで、流文の必要以上にガチガチに固まっていた緊張が、若干だけほどけてくれた気がした。
「まあまあ。その子だね。覚えているよ。召し上げが失敗したのは初めてだったからね。なにか地上に強力な因縁があるのかと思って、そのままにしていた。許せ」
 急に天帝がこちらに言葉をかけたので、流文は慌てて答えた。
「滅相もございません」
「うん。だがこたび清江に伴われて来たのならば、因縁は断ち切れたのではないかと思うのだが、そう単純な話でもないのかな」
 にっこりと笑みを湛えたまま、天帝はそう言ってくださるのだが、流文にはどう返していいものかがわからない。ここで、どうかご助力をと願っても失礼に当たらないのかどうかも、見当がつかないのだ。
「そのあたりを、明らかにしてやってはいただけませぬか」
「そうだね。こちらに本人が来られたなら、やりようもある。少し探ってみようか」
代わりに河伯が言葉を受けてくれ、天帝が頷くと、流文に向かって手をかざす。
清江よりも一回り小さい天帝の手から光が差し、しばしの間流文の額が熱くなった。
「……なるほどね」
 手を離した天帝の声は、いくらかだが神妙なものになった。
「いかがでしょうか」
「禁呪がかかっているね、君。しかも天界立ち入り禁止だよ。なにか身に覚えは?」
 軽く言われたが、内容はとんでもない。
「ございません! 本当になにも」
 流文は、縋る思いで声をあげた。生まれてこの方、人を傷つけたこともなければ殺めたことももちろんない。身寄りを失くした時も、運命を恨んだことはあるが、人を恨むこともできず、食うに困れば自然のものを口にし、そんな日々に師匠に拾われてからは、馬鹿みたいに修行ばかりしてきた。仙となってからも、基本は修行だ。世のため人のために妖魔を狩ったり鬼を払ったりしてここまできた。だから天仙になれたはずではないのか。
 そんなことを、流文は切々と言葉にし、天帝に訴えた。
 別に、どうしても天上したいとは言わない。ただ、この自分にいったい何の落ち度があってそれを認められないのかを知りたいだけだと。それに納得できれば、もう、地仙として慎ましくやっていくつもりなのだと。
 流文が息を弾ませるほどの勢いで言ったのを、天帝はすっと顔を引き締め、黙って聞いていた。隣を見たわけではないが、たぶん河伯もそうだったのだろう。知り合ってから、これほど強く声を上げる流文は、初めてのはずだ。
「どうやら天界側からの呪だから、こちらでなんとかしてやりたいが、これが何のために掛けられたものかがわからないと、解くのは危険かな」
 変わらず天帝の口調は軽いが、しかしその表情にはもう、笑みは浮かんでいない。それに伴うように、やっと伺った河伯の表情はと言えば、硬いものだった。
「危険とは、いかなる?」
「この子の金丹が壊れてはならない」
「そんな強力な呪なのですか?」
「実に言い難いんだけど、我が父、先の天帝がかけたやつに思えるんだな。この子は何して上皇を怒らせたのかな」
「まさか! この者には本当に心当たりがないのでしょう。もしや前世でしょうか」
「可能性はある。少し時間をくれ。それにはもっと情報が欲しいね。もう一度頭貸して」
 今度は上皇と来た。こうなるとさすがに、流文の口出しできる問題ではなくなった。
「……」
 再び額を差し出し、何かを読み取られる間、流文はもう頭が真っ白だった。
「なるほど、君の魂は百歳。その更に前に何かあったのだろうな。ちょっと記録を辿ってみよう。官に調べさせるから、わかるまで君はそのお兄さんの世話になりなさい」
 もう、御随意になさってくださいという思いで天帝の言葉を聞いていると、ひょっこりとまた親しみのある言葉が挟まった。
「お兄さん?」
 え、それ誰?
 助けを求めて左を向くと、眉間に皺を寄せた河伯がいた。
「私のことだ。天帝は、こういうところがおありになる」
「河伯が、お兄さん……」
緊張も吹っ飛んで、流文は笑ってしまった。だってだ。この河伯も、天帝にかかれば「お兄さん」。実にほほえましいではないか。こういう扱いにも慣れているような河伯だが、流文の前で言われては、さすがに座りも悪いようだ。見せた渋顔がまた、拗ねたようで妙にかわいい。
「いいよね、清江?」
 天帝はここで、晴れやかな笑み。対する河伯は……、言うまでもない。
「……、御意に」
 ひときわ重い声が応え、天帝はその場を解散させた。


 結局、今日だけで解決する問題ではなかったということだ。自分ごときの困りごとなど取るに足りぬもので、一瞬にしてちょちょいのちょいとどうにかなるのではと思っていたが、存外に話は複雑なようだ。今は亡き上皇にまで遡ってしまい、現天帝でも多少手間暇がかかってしまうらしい。それでも、天帝が力を貸してくれることになったのは恐れ多くもありがたい。当然、河伯からの頼みだったから、なのだろう。
 天宮の門を出ると、前には軽く何百人が整列して儀礼や催事を行えるくらいの広場がある。そこまで河伯の後をついて歩いていたのだが、彼が足を止めたので流文も立ち止まった。
 天界の空は、常に晴れ。穏やかな光が常に注ぎ、まさしく常春だ。それが天帝の力の象徴でもあるそうで、揺らぐと雲行きが怪しくなるので、天界の者にはすぐにわかるらしい。
 どこをとっても、これまで流文が見てきた世界とは違う。どちらがいいかと言えば、正直、まだ不思議過ぎて親しみの持てない天界よりは、百年過ごしてきた地上のほうが馴染みがある。別に、天上に住まいたいと願っているわけではないのだろうと、あまりにも俗に染まったわが身を思う流文である。
「気を張って疲れたか?」
 ゆったりとした所作で振り返る河伯の面持ちは、いたわりの色を見せた。風が攫い頬を隠した髪をはらう長い指が美しい。
「まあ、そりゃ、そうですよ」
 あははと、流文は意味のない空笑いを返しすしかできなかった。
「しばらくは、ここに来ることもないだろう。ゆっくり、沙汰を待てばいい」
「あなたのところに、転がり込んでもいいんでしょうか」
 もちろん、こんな流れになるつもりなどなかったが、この件を買って出た河伯には、余計な面倒をかけてしまうことになった。河伯は、ふっと息をついて苦笑を見せる。
「天命に逆らう勇気があるならそうするといい」
 さほど人と関りを持つのが好きではなさそうな彼が、困った事になったと思っていないはずはないだろう。しかし、流文の世話を頼まれたのは河伯だ。
「ふふ。あなたもですね」
 素直に割り切る言い方をせず軽い皮肉を言った河伯に気が付き、流文は笑った。
 どうも彼は、こういう冗談めかした物言いが好きなのだ。肩の力の抜けた雰囲気のある天帝はもちろんだが、堅物そうな河伯も、やや揶揄いの意味を込めた言い方をしたがる。そういう点では、二人はよく似ていると感じた。
「なにが、私も、なんだ?」
「天帝と、似ていらっしゃるなあと」
「そうか?」
「ええ。もちろん、とても高いところにおられる方々ですが。どこか親しみがあります」
「そうだろうか」
 人に生まれて天仙になった者ならば、人間臭いところがあっても不思議ではないが、この二人はそうではないはず。神気の強さやいでたちの重々しさの割にはあまりにも「ふつう」なのが、似つかわしくなくて、面白い。
 そんなことを言ってみると、河伯は複雑そうな顔をして、「そうか」とだけ言った。
「そういえば、もうひとつ気が付いたことがあるのですが、天帝に、別の名で呼ばれていましたね。あれは?」
 これもまた、意外に思ったところだ。龍神、河伯ときて、この人はいくつ名を持つのだろう。
「神にも名がある。通り名ではなく、先ほどのは、所謂名前だ」
「チンジャン、といいましたか?」
「そうだ。清い江で、清江。これが私の名だ。天帝と、他は限られた者しか知らぬ」
「そうなんですね……」
 なるほど、よく考えてみれば、人だって字や号を持ち、相手や場面によって使い分けている。身分の高い者ほど親しき仲にしか名を呼ばせないものだ。
 隠されていたわけではなくとも、知りえてしまったら呼びたくなった。言ってみれば号である「河伯」ではなく、その名で呼びたいというのは、やはり僭越に過ぎるだろうか。
「好きに呼びなさい」
「あ……」
また読まれた。心を。しかしそれはたぶん、河伯が読心術を発動したのではなく、流文がわかりやすすぎるのだろう。
「せっかく先の天帝から賜ったのがほとんど誰にも呼ばれぬのでは、この名が不憫だからな」
「あはは。不憫なんて。でも、あなたが許して下さるなら、呼ばせてください」
「いいだろう」
「清江、ありがとうございます」
「そういえば、君の名も聞いていない。しばらくここに居るなら知っておかねばな」
「あ、失礼しました。向流文と申します。文が流れるという、なかなかに縁起でもない名前です。あなたのおかげで天帝にお目通りが叶いました。まだしばらく、ご迷惑でしょうがお世話になります!」
 勢いよく下げた頭の上で、クスリと笑われた気配がしたが、それくらいでめげる流文ではない。流浪の旅の途中だった自分が天界に身を置き、神と接し、あまつさえ同じ屋根の下で暮らすことになるなんて、これはもう、図太い精神で楽しむしかない巡り合わせだと思うのだ。
 幸い、河伯も心から流文を迷惑がっているのではないらしいし、なにせ天命なのだから、従うほかに道はないだろう。堂々としていればいい。
「わかったわかった」
 さて帰るかと、河伯……もとい、清江が言う。そして、少しだけ俯き、視線を外す。これで、何を言われるのかは見当がついた。
「飛ぶ前に、いいか?」
「……あ、はい。でも、こんなところでですか」
「他に誰もおらぬ。こういうのはな、照れるからいけない」
 言うが早いか、清江はさらりと流文の顎をすくい、軽く唇を重ねた。
 次の瞬間、すっと体が浮いて、瞬きの後にはまた清江の邸だった。この移動術にはまだ慣れず、実に不思議だ。
 部屋の中に降り立ち、ふっと息をついてから思った。
「あれ。ここに戻るだけならば、神気は必要でしたか?」
「……あ」
 たとえ天宮でそれが費えようとしていたとしても、ここに来るのが一瞬ならば、補給の必要はなかったのではということだ。
 言葉を途切れさせた清江も、流文に言われて気が付いたようだ。無駄に口づけをしたことに。
「まだ、勝手がわからないんだ」
 さすがに恥ずかしくなったようで、清江はふいっとそっぽを向いてしまった。
「案ずるな。あれしきで妙な気は起こさん。天界で色事は禁じられているしな」
「そういう意味では!」
 じゃあ、なんなのか。
 しかし、目的以外の意味がないとしても、やはりああいった行為は、そういう意味で親密な相手としかしないものである。少なくとも流文にとってはこれも慣れた行為ではなくて、しかも相手が相手だけになんとも複雑な思いがある。
「あれが困るなら、早く自力で天上できるようになりなさい」
 流文の感じている気恥ずかしさを、清江のほうも感じないわけにはいられないらしく、彼は目を合わさないまま、流文の頭をポンと触った。
「子ども扱いはよしてください。これでも百ですよ!」
「ひよっこだな。こちらは二千だ」
「そうでした」
 拙いことを言って笑われるのが、なんだかくすぐったい。
これからしばらく、清江の元での暮らしが始まることが、嬉しく思えた。やはり、一人よりも二人のほうがいい。たとえ少しの間でも、心を許せる場所に恵まれたこの巡り合わせに、流文は感謝したいと思った。
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