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4話 『王の凱旋』~King's triumphal return~

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--目を開けるとそこは薄暗い牢獄の中、エンミティの姿も確認出来る。どうやらダンテスの深層意識から無事に帰還したようだ。

両手を拘束していた手錠はいつの間にか消え、痛々しい傷痕だけが残っていた。
あの時ダンテスが言っていたという意味は、手錠と掛けた激励のつもりだったのだろうか?等と邂逅の余韻に浸る間もなく、エンミティが語りかけてくる。

「--その顔つきから察するに、うまく事が運んだようだな」

相変わらず喜怒哀楽の判断が難しい声のトーンだったが、当初の冷たさをあまり感じない所を見ると、少しはアラタを認めているような気もする。

「ああ……俺の適合者は『巌窟王』運命に抗うだ」

少々痛いセリフではあったが、その表情はどこか誇らしげで自信に満ち溢れていた。

「ところでダンテスが何やら動きがありそうだとか何とか言ってたが……」

振り返り遠くを見つめながらエンミティが呟く、迫り来る魔の足音に勘づいた様子だ。

「--来るぞ……見つかると厄介な事になる……早急に転移するぞ」

覚醒して間もないアラタを気遣ってか、なるべくなら戦闘は避け、一刻も早く転移したいのが本音なのだが、当のアラタも激しい頭痛を堪えながら瞑想イミテーションを始めている。

「心配は無用だ!戦い方はダンテスが教えてくれる--」

アラタは瞳を閉じて大きく深呼吸を開始した、すると体を円錐形の光が覆い始める。
--来てくれ!巌窟王ダンテス
ダンテスの人格と同期ペアリングさせる為の合図である。

「--その姿は一体……人格同期ではないのか?」

薄れゆく光の中から姿を現したダンテス(アラタ)コスチュームも様変わりし、軽量化された黒いプレートアーマーを装着し深紅のマントに身を包んでいた。

--ゆっくりと目を開ける。

「……久しいね古き友エンミティ、元気そうで何よりだよ」

本来、求道者エクスプローラは人格同期によって能力を行使するものなのだが、これは同調シンクロを最大限まで高める事で発動した異例の能力だった。
但し時間と使用制限が課せられているという。

「……驚いたかい?これは僕達のオリジナル、そうだな~と呼んでくれるかい」

(不思議な感覚だな、ダンテスの背中にくっついてるような……)

--コンッ……コンッ……と床を蹴る音が響く。ダンテスは姿を隠すようエンミティに告げる。

--静寂を切り裂くかのように異形の者は姿を現す、人の形を成してはいるが瞳は燃えるように紅く、時折全身の血管が隆起し脈打つのが確認出来る。

求道者エクスプローラか?これは良い土産が出来た、生きてここから出られる等と思うなよ」

(こ……こいつ、あの時の警官か?何か様子がおかしくないか?)

「……求道者エクスプローラと悪魔の戦いをしっかりと目に焼きつけるんだよ」

--暗雲立ち込める夜空に一閃の雷光が走り、鋭い眼光を映し出す。
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