龍藍の瞳縛

果汁さん

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結晶

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 視界に飛び込んできた隕石。その域は死を悟らせる。誰かが『叫べ』と呼んだ。
 その声は段々、高く俺の耳を刺激する。
「叫べ。じゃないと死ぬぞ・・」
 誰だ。轟音で聞こえない。
 俺の人生は行商人だ。戦うセンスはない。
「・・唱えろ『進化』と唱えー!!」
 『進化』俺の結晶・・・結晶ってなんだ。
 身体が黒く染まった。焦げている。溶岩の塊みたいな肌だ。
 辺り一帯は火の海で現実を叩きつけられた。
 夜の目覚めで俺は息を引き取った。
「行商人は安全でゆとりがあって『進化』を繰り出す訳でもない。結晶はその人の力を引き出す代わり命を引き換えにする。特級品ともなれば絶大なパワーが保証される」
 斧のような頑丈な肉体は知恵があっても逆らえない。目の前の光景にあるのはただの悪夢だ。エルドラ様『地神』は誰もが魅了する小道具でもない。
 天才は過程に恵まれる。情報が足りなければ冷静は疑われる。
 『地神』は善人なら加護を悪人なら復讐。
 手に触れた者は望みを叶え『進化』を有する。争いは何処の世界も有ってはならない。
 
 王国同士の嗜みは痣を作り出す事で実る実技応戦。
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