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赤日
倒景
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彼はその先にもう一つ記していた事があった。
「もっと平和に解決したかった。こんな結果は誰も望まないだろう。だけど悲しみから来た怒りと伴った痛みはやはり誤魔化せなかった。自分の力ではこの憎悪と憤怒と意志を止める事は出来なかった。だから周りを巻き込まない為に出来る限り周りの人間を離す事しかできなかった。これではただ本能のまま動く獣だ。だから2つ目に頼もうとした。けどそれも失敗に終わった。表面だけ周りに取り繕っていた彼は怒り狂って憤怒を後悔で加速させた。次は絶対に失敗しないと。そして邪魔者を叩き潰すと。もう手遅れだった。誰も止められない。あの場所に戻っても落ち着くことはなく意志と覚悟と計画のまま突き進むと定まった。精神と言う急所を最大限使ってしまった。自分の失敗を責め立てて後戻りできなくし、他人にはトラウマと傷を残した。最悪の結末だ。誰も回復に向かえない未来が定まった。3つ目の夢も無くなってしまった。傷と火種だけがそこに残ってしまった。」
彼が語った全てが彼のメモに記されていた。たった一つの希望を奪われた彼は元々善良な人間だった、周りの人にあいさつを欠かさず、医者の夢を抱え、人を救うことを大事に考えていた彼はたった一つ希望を奪われただけでそれにかかる全てを憎み、連鎖的に彼の夢も人格も全て壊していったのだ。彼が壊れてからは速かった。一つ目の傷はその場所が新たな希望だと教えた親によって深く創られた。そして二つ目は彼が人助けをした時に煙たがったその地の腐れた人間によって創られた。そして三つ目は過剰な課題を課し、彼を痛めつけた教師によって創られた。彼はそれによって人の言葉と自分の善意と努力を絶対に信用しなくなった。たった三つの傷なら簡単に治るはずだった。だがその傷を抉ったのは紛れも無くそれらだった。彼はもう何にも動かせない嘘と怒りで守った盤石の傷心を作って初めて、「かつての幸福」に気付いた。もとに戻ることはできなかった。彼が嘘で出来上がった石となったのは既に手遅れの印だった。
「もっと平和に解決したかった。こんな結果は誰も望まないだろう。だけど悲しみから来た怒りと伴った痛みはやはり誤魔化せなかった。自分の力ではこの憎悪と憤怒と意志を止める事は出来なかった。だから周りを巻き込まない為に出来る限り周りの人間を離す事しかできなかった。これではただ本能のまま動く獣だ。だから2つ目に頼もうとした。けどそれも失敗に終わった。表面だけ周りに取り繕っていた彼は怒り狂って憤怒を後悔で加速させた。次は絶対に失敗しないと。そして邪魔者を叩き潰すと。もう手遅れだった。誰も止められない。あの場所に戻っても落ち着くことはなく意志と覚悟と計画のまま突き進むと定まった。精神と言う急所を最大限使ってしまった。自分の失敗を責め立てて後戻りできなくし、他人にはトラウマと傷を残した。最悪の結末だ。誰も回復に向かえない未来が定まった。3つ目の夢も無くなってしまった。傷と火種だけがそこに残ってしまった。」
彼が語った全てが彼のメモに記されていた。たった一つの希望を奪われた彼は元々善良な人間だった、周りの人にあいさつを欠かさず、医者の夢を抱え、人を救うことを大事に考えていた彼はたった一つ希望を奪われただけでそれにかかる全てを憎み、連鎖的に彼の夢も人格も全て壊していったのだ。彼が壊れてからは速かった。一つ目の傷はその場所が新たな希望だと教えた親によって深く創られた。そして二つ目は彼が人助けをした時に煙たがったその地の腐れた人間によって創られた。そして三つ目は過剰な課題を課し、彼を痛めつけた教師によって創られた。彼はそれによって人の言葉と自分の善意と努力を絶対に信用しなくなった。たった三つの傷なら簡単に治るはずだった。だがその傷を抉ったのは紛れも無くそれらだった。彼はもう何にも動かせない嘘と怒りで守った盤石の傷心を作って初めて、「かつての幸福」に気付いた。もとに戻ることはできなかった。彼が嘘で出来上がった石となったのは既に手遅れの印だった。
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