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第2章「転生後5歳編」
第8話「救命無双」
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セーヴがデュラハンの所に飛ぶと、3名が気絶。
3名が意識はあるが、痛みか何かで見悶えている。
そして1名が、おそらく状態異常のようなものを使いながらじりじり後ろに下がり、それを大量のデュラハンが頭を押さえて抵抗しながらゆっくりと近づいている所だった。
***
【セーヴの突入より少し前】
「いよいよだな!」
一番はりきっているのはエンヴィオ・フィデーラ、8歳。
ボット族フェンリル型、男。
耳としっぽが生えていて、それ以外は人間と同様だ。
右手には肩までの大型のクローを装備、左手には前腕までのクローを装備して、防具は胸当のみ。
ボット族は文明が進んでいるため、全ての装備が機械でできている。
髪はツンツン頭で白銀。
「この人数であれば、さすがの英雄級であるデュラハンも1体ならば問題ないであろう。」
そう言うのは、タチトゥルノ・ベクエス、10歳、通称トゥルノ。
ボット族竜型、男。水色の鱗で体の内側は白色。
しっぽがあり、顔も竜に近い。十字型のスピアと灰色の重鎧を装備している。
「やばかったらすぐに逃げるんだからね!忘れないでよ!」
活発そうな女はエレガンテコ・フィデーラ9歳。
エンヴィオの姉で同じくフェンリル型。
腰にレイピアを装備している。防具は軽鎧。
髪の毛はハーフアップで後ろでポニーテールのようにまとめてある。
前髪の分け目は真ん中ではなく、少し右のあたりだ。色は白銀。
「うぅ・・・。恐いよぅ。」
怯えているのはアモアモ・トランクヴィーラ、6歳。ボット族人型、女。
武器はハンドガンのみで、戦闘用のスーツに防弾チョッキのようなものをその上から着ている。
傍にはテイムしたペットの黄金羊ソフランがそばにいる。
両親が仲間と捕らえてきて弱った所をテイムしたモンスターだ。
野生の黄金羊より一回り大きい。短いポニーテールで金髪。
「あまり無茶しないでくださいよ。僕とアモアモは心配で仕方なく来ただけなんですから。」
アモアモを気遣うこの子は、ストエートイ・フェボーラ、10歳、通称ストエ。
ボット族人型、男。防具はアモアモと同じ。武器は機械式の弓。
緑色のストレートヘアー、髪質もどこもハネておらず、落ち着いている。
「トゥルノ兄貴がいるんだから大丈夫ニャ。びびりすぎニャ。」
余裕をこいているのはピエドパード・カトテアーセ、7歳、ボット族猫型、男。
軽鎧の防具。両手両足に同じサイズのクロー(機械式)を装備。
猫の顔でしっぽも生えている。毛色は黄色で黒の模様が所々入っている。
「頑張ろうね。」
落ち着いているが華やかなこの子はメディカメント・チコイ、5歳、通称メディカ。
ボット族鬼型淫魔種。鬼型は派生が多く、吸血種や力が強い純粋種などもいる。
ツインテールでグレーの髪。髪の留め具は青の宝石が入れてあり金の装飾が施されている。
アモアモと防具も武器も同じである。
大人しく聞き分けが良く、仲間の中で一番評判がいい。
ピエドの耳がピクンと動く。
「感知に引っかかったにゃ。R1は範囲が狭いから相当近いにゃ。あ、いたにゃ。」
ピエドが指さすとそこには解放されたコロシアムのような場所があり、周囲に数か所地下への階段がある。
デュラハンは1体のみだった。
「行きますよ。」
ストエは弓を構えた。かなり太い矢で、弓は上下の端から熱を排気している。
矢も形状が展開され光を放っている。
「撃つと同時に飛び込むである。」
トゥルノは翼を広げ姿勢を低くした。風魔法の一種、疾走R5である。
風魔法を持っていれば疾走を含めた風に関する魔法を全て使えるがトゥルノは疾走のみ使うことができる。
「OK。行くわよ。」
エレガンテコがそう言うと、エンヴィオ、ピエドは突撃の構えをとり、アモアモはハンドガンを手に黄金羊の背に乗った。
メディカは全体を見渡せる最後方で魅了眼R8の準備だ。
ストエの弓が爆音とともに土埃を上げる。ストエとメディカ以外は突入した。
デュラハンは腕を交差し、多少のヒビは入っているが耐えている。
疾走で突撃するトゥルノの一撃が土煙の中から飛び出す。
デュラハンはすかさず抜剣で反応し、受け止める。周囲の土煙が衝撃で消え失せる。
「なっ!」
トゥルノは驚きを隠せない。
明らかに先手を取ったにも関わらず、受け身から抜剣までされてかつ容易に受け止められた。
トゥルノの後ろから3人が襲い掛かる。と同時に、メディカの魅了が入る。
デュラハンの体が、がくっと重くなるが抵抗している。
しかしその状態でも、3人と1匹の連撃を剣1本で捌き切るデュラハン。
魅了を食らいながらなのでさすがに余裕はなさそうだがやはり英雄級。桁違いの強さだ。
「撤退しましょう!こいつはやはり異常です!」
ストエが叫ぶ。全員が感情抑制機構を使い冷静に判断する。
「ちっくしょう・・・。」
エンヴィオも諦めて退避しようとしたその時。階段から高速で大量に何かが出てきた。
『!!??』
7人全員が目を疑った。
総力をあげて1体すら倒せないデュラハン。
それが約100体ほど一瞬のうちに出てきたのだ。
一番奥には上位種と思われるデュラハンがいた。禍々しい大剣を所持している。
あいつはボスクラスだ。あいつに殺されれば、生き返ることはできない。
仮に普通のデュラハンに殺されても一人当たり大量のポイントが必要になる。
蘇生してもらえるとは限らない。
「全力で逃げろーーーーーーーーーーーー!!!!!」
エンヴィオが思わず叫んだ。全員の体が瞬時に反射で動く。が遅かった。
一人に対し3体のデュラハンが一瞬で追いつき押さえつけた。
無事なのは魅了眼を使っているメディカのみ。
それも完全に抑えているとは言えない。
じりじりと近づいてくるし、今にも後ろから襲われてもおかしくはないのだ。
最初に戦ったデュラハンは剣を鞘にしまうと肩に手を当て、頭部を回しながら体操のような仕草をした。
とはいっても、デュラハンの頭部と胴体は煙で繋がっているのでコリようがないのだが。
最初に戦ったデュラハンは恨みを腹さんとばかりに、メディカ以外をサンドバックにし始めた。
表情はわからないが、何だが楽しんでいるように見える。
他のデュラハンも遊びに加わり始めた。
エンヴィオは大きな右手のクローでデュラハンの頭部を掴み潰そうとしたが、他のデュラハンにすかさずボディブローを入れられた。
肩から先が容易に契られ、地面に捨てられた。
「ぐああああああああああああ!!!!!!!」
エンヴィオの絶叫が周囲に響く。
ピエドは耳としっぽを切られ、トゥルノもしっぽを切られた後、高速で二人とも殴られている。
死なないように手加減されているとはいえ、外から見ればもはや生きているのかどうかわからない。
その後、エレガンテコとアモアモは服を引き千切られた。
デュラハンに生物を犯す機能はないが、こうすることで相手が嫌がったり恐怖することを知っているのだ。
「嫌ぁあああああぁぁあぁぁ!!!!止めてよ!!!!止めてええええええ!!!!」
アモアモは泣き叫ぶ。
エレガンテコは耐えつつ、じっとデュラハンを睨みつけている。
二人とも何度か殴られた後が見える。
ストエは頭を持ち上げられ、その光景を見せられていた。足首は折られている。
どうしてこんなことに、アモアモもエレガンテコも遠目とはいえ、あんな姿を僕に見られたくはなかっただろうに。
こうなることならアモアモをデートに誘って告白でもすればよかった。
そう思っていると急に体が地面に捨てられた。
そうかこのまま刺されて殺されるのだろうとストエは覚悟した。
しかしいつまでもその時は来ない。
おかしいと思い眼を開けて周囲を見渡した。
気配がない、後ろにはデュラハンの腕だったものだけが転がっていた。
「これは、何が起きたんだ。」
デュラハン達が魅了眼に耐えつつかなりの距離までメディカに近づいた。
しかし近づくほど効力が増すので、完全には近づけないでいた。
すると、デュラハンの大剣を持った長が近づいてきた。
数m離れた所で居合のような構えをとった。
あぁこのまま両断されて私は死ぬんだ。そう思った。
長のデュラハンは瞬時に踏み込み、剣を振り抜いた。
踏み込みの衝撃で地面が割れて煙が少し舞い上がった。
しかしその剣の先にはメディカはいなかった。
死体も転がっていない。
そこには彼が現れていた。
***
【セーヴ突入時】
俺は弓矢の少年をまず助けた。
他のメンバーと比べて孤立していたのでばれにくかったし、頭部を掴まれていたので人質にされても面倒だと思ったからだ。
彼を掴んでいるデュラハンの後ろに転移し、3人のデュラハンを瞬時に圧縮し消滅させた。
次に追い詰められているツインテールの子を助けに向かった。
今まさに斬られようとしていたからだ。
ツインテールの子のすぐ傍に転移し周囲の時間を遅らせた。
俺はその子を抱きかかえて、剣の射程外に出た後、大剣のデュラハンがいる空間に重力を加えた。
敵は一瞬で押しつぶされズドンという鈍い大きな音とともに、地面に薄い円柱形の後を残し、消え去った。
意識のある4人が目を見開き何が起こったかわからないという顔になった。
ひとつわかるのは目の前の黒いグローブとブーツを履いた少年が何かしたのかもという認識だった。
「救命士、セーヴ・アップワーズです。助けに来ました。君の名前は?」
セーヴは抱きかかえたメディカを見ることなく、敵がいるであろう方向、次に助けるべき方向を確認している。
「メディカ。メディカメント・チコイ。」
「じゃあメディカさん。仲間の現状を簡単に教えてもらえる?あの倒れてる3人はまだ生きてると思う?」
「まだ生きてる、と、思います。たぶん。さっきやられたばかりだし、簡単には死なないように手加減されてた。」
メディカは混乱した頭で、何とか答えた。
答えることができたと思う。
「わかりました。」
セーヴがそう言うと、メディカの視界の目の前に急にエレガンテコ、アモアモ、そして二人を取り囲んでいるデュラハン達が映った。
思わず周囲の全員の体が驚きで跳ねる。
「どけ。」
セーヴがそう言い放つとセーヴの位置を中心にデュラハンだけが周囲に吹き飛んだ。
そして吹き飛んだ先で同じように重力に潰されて絶命した。
3人とも放心状態だ。
「ごめんね。治療スキルは持ってないんだ。少しだけ待ってて。」
メディカはいつの間にか地面に降ろされていた。
まるでワープしたように。
3人の目は完全に一人の少年に魅入られていた。
セーヴは3人の誰も見ておらず、引き続き次どうするかを考えている顔だ。
少年が消えたと思ったら、代わりにストエが地面に転がっていた。
『え!』
「ほえ?」
ストエからしても急に景色が変わり、意味不明な状況となった。
ほえ、以外の言葉が出てこない。
気付くと少年は倒れている男3人の所にいた。
地面に座り込んでる4人はおかしな光景を目にした。
「あの子の周辺のデュラハンなんで動かないの。」
「止まってる。」
「・・・・・。」
エレガンテコとアモアモは驚きを隠せず、メディカは目を見開いてはいるが黙ってただ状況を見ている。
少年から離れたところにいるデュラハンは普通に動いている。
少年は倒れている近くのデュラハンを同じように斥力で引き剥がし、その後押し潰した。
少年は離れていた場所にいたデュラハンの近くにいつの間にかいた。
いたと思ったら周囲のデュラハンはどんどん小さくなって塵になった。
「あれ!エンヴィオ君たちが消えてる!」
アモアモが異変に気付いた。
「どこかに転送した!?触れてもないのに!?」
エレガンテコも推測しつつその異常性に気付いた。
「二人ともセーヴ様のステータスを見て。」
メディカがやっと口を開いた。
『様!?』
二人とも驚きで素っ頓狂が声がでた。
メディカは華やかだがいつもクールな女の子だ。
いつもの彼女ならセーヴのことをあの男の子などと表現するが、今の発情したような彼女の姿はまるで、そう、淫魔のようだった。
「み、見れるの?」
エレガンテコは思わず聞いた。
「たぶんだけど、そもそも隠す意識が低いんだと思う。鑑定系スキル持ってない普通の視認表示でも名前以外に結構見えてる。」
セーヴはパトリーノにステータスを見られてから、自分には鑑定系スキルを防ぐ手段がないので、隠そうとする意志は意味がないと思い込んでいた。
よって周囲に対して常に開示しているような状態になっている。
エレガンテコとアモアモもセーヴのステータスを見た。
【セーヴ・アップワーズ】
●存在階級 幻想級
●ボット族人型 5歳
●所有スキル 空間能力
●状態 女神の祝福と呪い
●身体値 13670
●保有GP 7925万GPover
「げ、幻想きゅううううううう!!!!」
「そ、それにスキル名の後ろにランク表示がないよ!エレガンテコちゃん!」
「女神の祝福の呪いっていうのも意味不明だしステータス表示バグりすぎでしょ・・・。」
「5歳の保有GPじゃないよ、恐い、怖すぎるよ。恐怖だよ。」
「でも身体能力値は私達の中だとアモアモより高いだけ。」
最後にメディカは不思議そうに言った。
女達が話している間も蟻を潰していくようにセーヴはデュラハンを倒し続け。
そして終わった。と同時に、4人の目の前に立っていた。
全員がまたビクッと驚きで震えた。
「セーヴ様大好き。」
唐突にメディカは愛の告白をした。
セーヴは驚きでビクッと震えた。
3名が意識はあるが、痛みか何かで見悶えている。
そして1名が、おそらく状態異常のようなものを使いながらじりじり後ろに下がり、それを大量のデュラハンが頭を押さえて抵抗しながらゆっくりと近づいている所だった。
***
【セーヴの突入より少し前】
「いよいよだな!」
一番はりきっているのはエンヴィオ・フィデーラ、8歳。
ボット族フェンリル型、男。
耳としっぽが生えていて、それ以外は人間と同様だ。
右手には肩までの大型のクローを装備、左手には前腕までのクローを装備して、防具は胸当のみ。
ボット族は文明が進んでいるため、全ての装備が機械でできている。
髪はツンツン頭で白銀。
「この人数であれば、さすがの英雄級であるデュラハンも1体ならば問題ないであろう。」
そう言うのは、タチトゥルノ・ベクエス、10歳、通称トゥルノ。
ボット族竜型、男。水色の鱗で体の内側は白色。
しっぽがあり、顔も竜に近い。十字型のスピアと灰色の重鎧を装備している。
「やばかったらすぐに逃げるんだからね!忘れないでよ!」
活発そうな女はエレガンテコ・フィデーラ9歳。
エンヴィオの姉で同じくフェンリル型。
腰にレイピアを装備している。防具は軽鎧。
髪の毛はハーフアップで後ろでポニーテールのようにまとめてある。
前髪の分け目は真ん中ではなく、少し右のあたりだ。色は白銀。
「うぅ・・・。恐いよぅ。」
怯えているのはアモアモ・トランクヴィーラ、6歳。ボット族人型、女。
武器はハンドガンのみで、戦闘用のスーツに防弾チョッキのようなものをその上から着ている。
傍にはテイムしたペットの黄金羊ソフランがそばにいる。
両親が仲間と捕らえてきて弱った所をテイムしたモンスターだ。
野生の黄金羊より一回り大きい。短いポニーテールで金髪。
「あまり無茶しないでくださいよ。僕とアモアモは心配で仕方なく来ただけなんですから。」
アモアモを気遣うこの子は、ストエートイ・フェボーラ、10歳、通称ストエ。
ボット族人型、男。防具はアモアモと同じ。武器は機械式の弓。
緑色のストレートヘアー、髪質もどこもハネておらず、落ち着いている。
「トゥルノ兄貴がいるんだから大丈夫ニャ。びびりすぎニャ。」
余裕をこいているのはピエドパード・カトテアーセ、7歳、ボット族猫型、男。
軽鎧の防具。両手両足に同じサイズのクロー(機械式)を装備。
猫の顔でしっぽも生えている。毛色は黄色で黒の模様が所々入っている。
「頑張ろうね。」
落ち着いているが華やかなこの子はメディカメント・チコイ、5歳、通称メディカ。
ボット族鬼型淫魔種。鬼型は派生が多く、吸血種や力が強い純粋種などもいる。
ツインテールでグレーの髪。髪の留め具は青の宝石が入れてあり金の装飾が施されている。
アモアモと防具も武器も同じである。
大人しく聞き分けが良く、仲間の中で一番評判がいい。
ピエドの耳がピクンと動く。
「感知に引っかかったにゃ。R1は範囲が狭いから相当近いにゃ。あ、いたにゃ。」
ピエドが指さすとそこには解放されたコロシアムのような場所があり、周囲に数か所地下への階段がある。
デュラハンは1体のみだった。
「行きますよ。」
ストエは弓を構えた。かなり太い矢で、弓は上下の端から熱を排気している。
矢も形状が展開され光を放っている。
「撃つと同時に飛び込むである。」
トゥルノは翼を広げ姿勢を低くした。風魔法の一種、疾走R5である。
風魔法を持っていれば疾走を含めた風に関する魔法を全て使えるがトゥルノは疾走のみ使うことができる。
「OK。行くわよ。」
エレガンテコがそう言うと、エンヴィオ、ピエドは突撃の構えをとり、アモアモはハンドガンを手に黄金羊の背に乗った。
メディカは全体を見渡せる最後方で魅了眼R8の準備だ。
ストエの弓が爆音とともに土埃を上げる。ストエとメディカ以外は突入した。
デュラハンは腕を交差し、多少のヒビは入っているが耐えている。
疾走で突撃するトゥルノの一撃が土煙の中から飛び出す。
デュラハンはすかさず抜剣で反応し、受け止める。周囲の土煙が衝撃で消え失せる。
「なっ!」
トゥルノは驚きを隠せない。
明らかに先手を取ったにも関わらず、受け身から抜剣までされてかつ容易に受け止められた。
トゥルノの後ろから3人が襲い掛かる。と同時に、メディカの魅了が入る。
デュラハンの体が、がくっと重くなるが抵抗している。
しかしその状態でも、3人と1匹の連撃を剣1本で捌き切るデュラハン。
魅了を食らいながらなのでさすがに余裕はなさそうだがやはり英雄級。桁違いの強さだ。
「撤退しましょう!こいつはやはり異常です!」
ストエが叫ぶ。全員が感情抑制機構を使い冷静に判断する。
「ちっくしょう・・・。」
エンヴィオも諦めて退避しようとしたその時。階段から高速で大量に何かが出てきた。
『!!??』
7人全員が目を疑った。
総力をあげて1体すら倒せないデュラハン。
それが約100体ほど一瞬のうちに出てきたのだ。
一番奥には上位種と思われるデュラハンがいた。禍々しい大剣を所持している。
あいつはボスクラスだ。あいつに殺されれば、生き返ることはできない。
仮に普通のデュラハンに殺されても一人当たり大量のポイントが必要になる。
蘇生してもらえるとは限らない。
「全力で逃げろーーーーーーーーーーーー!!!!!」
エンヴィオが思わず叫んだ。全員の体が瞬時に反射で動く。が遅かった。
一人に対し3体のデュラハンが一瞬で追いつき押さえつけた。
無事なのは魅了眼を使っているメディカのみ。
それも完全に抑えているとは言えない。
じりじりと近づいてくるし、今にも後ろから襲われてもおかしくはないのだ。
最初に戦ったデュラハンは剣を鞘にしまうと肩に手を当て、頭部を回しながら体操のような仕草をした。
とはいっても、デュラハンの頭部と胴体は煙で繋がっているのでコリようがないのだが。
最初に戦ったデュラハンは恨みを腹さんとばかりに、メディカ以外をサンドバックにし始めた。
表情はわからないが、何だが楽しんでいるように見える。
他のデュラハンも遊びに加わり始めた。
エンヴィオは大きな右手のクローでデュラハンの頭部を掴み潰そうとしたが、他のデュラハンにすかさずボディブローを入れられた。
肩から先が容易に契られ、地面に捨てられた。
「ぐああああああああああああ!!!!!!!」
エンヴィオの絶叫が周囲に響く。
ピエドは耳としっぽを切られ、トゥルノもしっぽを切られた後、高速で二人とも殴られている。
死なないように手加減されているとはいえ、外から見ればもはや生きているのかどうかわからない。
その後、エレガンテコとアモアモは服を引き千切られた。
デュラハンに生物を犯す機能はないが、こうすることで相手が嫌がったり恐怖することを知っているのだ。
「嫌ぁあああああぁぁあぁぁ!!!!止めてよ!!!!止めてええええええ!!!!」
アモアモは泣き叫ぶ。
エレガンテコは耐えつつ、じっとデュラハンを睨みつけている。
二人とも何度か殴られた後が見える。
ストエは頭を持ち上げられ、その光景を見せられていた。足首は折られている。
どうしてこんなことに、アモアモもエレガンテコも遠目とはいえ、あんな姿を僕に見られたくはなかっただろうに。
こうなることならアモアモをデートに誘って告白でもすればよかった。
そう思っていると急に体が地面に捨てられた。
そうかこのまま刺されて殺されるのだろうとストエは覚悟した。
しかしいつまでもその時は来ない。
おかしいと思い眼を開けて周囲を見渡した。
気配がない、後ろにはデュラハンの腕だったものだけが転がっていた。
「これは、何が起きたんだ。」
デュラハン達が魅了眼に耐えつつかなりの距離までメディカに近づいた。
しかし近づくほど効力が増すので、完全には近づけないでいた。
すると、デュラハンの大剣を持った長が近づいてきた。
数m離れた所で居合のような構えをとった。
あぁこのまま両断されて私は死ぬんだ。そう思った。
長のデュラハンは瞬時に踏み込み、剣を振り抜いた。
踏み込みの衝撃で地面が割れて煙が少し舞い上がった。
しかしその剣の先にはメディカはいなかった。
死体も転がっていない。
そこには彼が現れていた。
***
【セーヴ突入時】
俺は弓矢の少年をまず助けた。
他のメンバーと比べて孤立していたのでばれにくかったし、頭部を掴まれていたので人質にされても面倒だと思ったからだ。
彼を掴んでいるデュラハンの後ろに転移し、3人のデュラハンを瞬時に圧縮し消滅させた。
次に追い詰められているツインテールの子を助けに向かった。
今まさに斬られようとしていたからだ。
ツインテールの子のすぐ傍に転移し周囲の時間を遅らせた。
俺はその子を抱きかかえて、剣の射程外に出た後、大剣のデュラハンがいる空間に重力を加えた。
敵は一瞬で押しつぶされズドンという鈍い大きな音とともに、地面に薄い円柱形の後を残し、消え去った。
意識のある4人が目を見開き何が起こったかわからないという顔になった。
ひとつわかるのは目の前の黒いグローブとブーツを履いた少年が何かしたのかもという認識だった。
「救命士、セーヴ・アップワーズです。助けに来ました。君の名前は?」
セーヴは抱きかかえたメディカを見ることなく、敵がいるであろう方向、次に助けるべき方向を確認している。
「メディカ。メディカメント・チコイ。」
「じゃあメディカさん。仲間の現状を簡単に教えてもらえる?あの倒れてる3人はまだ生きてると思う?」
「まだ生きてる、と、思います。たぶん。さっきやられたばかりだし、簡単には死なないように手加減されてた。」
メディカは混乱した頭で、何とか答えた。
答えることができたと思う。
「わかりました。」
セーヴがそう言うと、メディカの視界の目の前に急にエレガンテコ、アモアモ、そして二人を取り囲んでいるデュラハン達が映った。
思わず周囲の全員の体が驚きで跳ねる。
「どけ。」
セーヴがそう言い放つとセーヴの位置を中心にデュラハンだけが周囲に吹き飛んだ。
そして吹き飛んだ先で同じように重力に潰されて絶命した。
3人とも放心状態だ。
「ごめんね。治療スキルは持ってないんだ。少しだけ待ってて。」
メディカはいつの間にか地面に降ろされていた。
まるでワープしたように。
3人の目は完全に一人の少年に魅入られていた。
セーヴは3人の誰も見ておらず、引き続き次どうするかを考えている顔だ。
少年が消えたと思ったら、代わりにストエが地面に転がっていた。
『え!』
「ほえ?」
ストエからしても急に景色が変わり、意味不明な状況となった。
ほえ、以外の言葉が出てこない。
気付くと少年は倒れている男3人の所にいた。
地面に座り込んでる4人はおかしな光景を目にした。
「あの子の周辺のデュラハンなんで動かないの。」
「止まってる。」
「・・・・・。」
エレガンテコとアモアモは驚きを隠せず、メディカは目を見開いてはいるが黙ってただ状況を見ている。
少年から離れたところにいるデュラハンは普通に動いている。
少年は倒れている近くのデュラハンを同じように斥力で引き剥がし、その後押し潰した。
少年は離れていた場所にいたデュラハンの近くにいつの間にかいた。
いたと思ったら周囲のデュラハンはどんどん小さくなって塵になった。
「あれ!エンヴィオ君たちが消えてる!」
アモアモが異変に気付いた。
「どこかに転送した!?触れてもないのに!?」
エレガンテコも推測しつつその異常性に気付いた。
「二人ともセーヴ様のステータスを見て。」
メディカがやっと口を開いた。
『様!?』
二人とも驚きで素っ頓狂が声がでた。
メディカは華やかだがいつもクールな女の子だ。
いつもの彼女ならセーヴのことをあの男の子などと表現するが、今の発情したような彼女の姿はまるで、そう、淫魔のようだった。
「み、見れるの?」
エレガンテコは思わず聞いた。
「たぶんだけど、そもそも隠す意識が低いんだと思う。鑑定系スキル持ってない普通の視認表示でも名前以外に結構見えてる。」
セーヴはパトリーノにステータスを見られてから、自分には鑑定系スキルを防ぐ手段がないので、隠そうとする意志は意味がないと思い込んでいた。
よって周囲に対して常に開示しているような状態になっている。
エレガンテコとアモアモもセーヴのステータスを見た。
【セーヴ・アップワーズ】
●存在階級 幻想級
●ボット族人型 5歳
●所有スキル 空間能力
●状態 女神の祝福と呪い
●身体値 13670
●保有GP 7925万GPover
「げ、幻想きゅううううううう!!!!」
「そ、それにスキル名の後ろにランク表示がないよ!エレガンテコちゃん!」
「女神の祝福の呪いっていうのも意味不明だしステータス表示バグりすぎでしょ・・・。」
「5歳の保有GPじゃないよ、恐い、怖すぎるよ。恐怖だよ。」
「でも身体能力値は私達の中だとアモアモより高いだけ。」
最後にメディカは不思議そうに言った。
女達が話している間も蟻を潰していくようにセーヴはデュラハンを倒し続け。
そして終わった。と同時に、4人の目の前に立っていた。
全員がまたビクッと驚きで震えた。
「セーヴ様大好き。」
唐突にメディカは愛の告白をした。
セーヴは驚きでビクッと震えた。
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青春
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