潤 閉ざされた楽園

リリーブルー

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第十章 Leck mich im Arsch

朝食 1

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 ダイニングルームの奥のキッチンに大洗氏がいてフルーツを用意していた。
「お、可愛い子たちが来た」
大洗氏は、僕と潤を見て相好を崩した。
「水兵さんみたいだな」
おじさまは僕と潤の頭を撫でた。
 ああ早く続きがしたいなあ、と僕は、お尻が疼いた。
 僕と潤は、深く胸の開いた、セーラーカラーのプルオーバーを着ていた。潤のは、白で襟に紺のラインが入っていた。僕のは、浅葱色で襟のラインはなく、胸の開きは、ボタンで留められた。
 おじ様が、こっそり、僕のセーラー服のお腹から手を入れて、乳首を弄った。
「んっ」
僕は、声が出てしまった。
 気付いた譲が、こっちを見て言った。
「おっさん、いい加減にしろや」
「パイをいじって嫌がられたパパはパパイヤを食べよう」
オヤジギャグを言っている叔父様の指先から、潤がパパイヤの切れを小鳥のように咥えて食べた。
「あっ、潤にとられた」
おじ様が、戯けて声をあげた。
「もっと」
潤は叔父様に甘えて言った。
「向こうで食べろよ」
譲は、潤に、フルーツが盛られた皿を押しつけた。お皿はクリスタルで、きらきらするカットがほどこされている。
「親父、ヨウ君とスカトロプレイとかすんなよ」
譲が釘をさした。
「そうだな。潤とだけにしよう」
おじ様は思慮深そうに全然思慮深くない発言をした。
「するのかよ! さっさと妻のところに行けや」
譲につっこまれた。

 僕と潤は、グラスと皿を持って、朝日の差し込むダイニングルームに行った。
 潤は、テーブルにグラスと皿を置いてから、テラスに臨む掃き出し窓を開けて風を入れた。
「ね? いい香りでしょ?」
潤は女の子みたいに首を傾げて僕を振り向いた。
 僕は、潤のそばに寄った。
 庭にピンク色の薔薇が咲き乱れている。
「ほら、ここからは、茂みで噴水が見えないでしょ? ダイニングやリビングからは見えないんだ」
潤が、『噴水は家から見えない』と言っていたのは、嘘ではなかった。
「そういう意味か。でも二階からは丸見えだったんだよね」
僕は言った。
「それを言ったら、そうだけど」
潤は困ったような顔をした。

「朝ごはん食べたら庭に出よう?」
と潤が提案してきた。
「え、庭でするの? 明るいのに?」
「しないよ。もう、瑤ったら、すっかり、することばかり考えるようになっちゃって」
潤は僕の鼻を突ついた。

 潤と僕が、そのまま、窓辺でキスをしていると、譲が
「おーい、サカってる子どもたち、飯食わないとデカくならないぜ」
と呼んだ。
 譲が美味しそうな食べ物をいっぱい載せたワゴンをテーブルの側につけた。シリアルやチーズ、生ハムやベーコン、卵や豆乳や牛乳、ドライフルーツやナッツ。新鮮な生野菜とフルーツ。朝食に必要なものは何でもある。
 おじ様は、先に食べたと言って、出かける支度をしに二階へ戻ったので、僕と潤兄弟で食卓を囲んだ。
「潤、食事の時くらい、拘束具外せよ」
譲兄が、黒革の首輪と手枷足枷をした弟の潤に注意した。
「テーブルに拘束したり、椅子に拘束したりできるよ?」
「潤に食べさせるの面倒だから、そんなの嫌だね」
譲はプロテイン入りだという特製飲料を飲んでいた。
「でも楽しかったよ?」
「ああ、俺の友達が来た時、テーブルに潤をのせて、男体盛りにしたよな」
「なんたいもり?」
「うん、俺、すっごい興奮しちゃった」
「ああ、俺の友達が喜んでたよ。『また開催してくれ』って」
「思い出すだけで感じちゃうよぉ」
潤が、シリアルとドライフルーツの入った白い皿に豆乳をかけながら言った。
 譲が、潤と僕のグラスにミネラルウォーターを注ぎに来ながら、さりげなく、潤の深く開いたセーラーカラーの胸元に、上から手を入れた。
「あっ、ああん」
「後で親父といっしょにトイレ入るんだろ?」
「食事中に言わないでよ」
「俺は瑤君と入るから」
「えっ、何々?」
と僕が二人に聞くと
「なんでもない」
と譲は言った。
「瑤は、お尻使わないから、しなくていいのに」
と潤が言えば、
「いや、入れたがってると思うよ」
などと譲が答えている。何やら僕のお尻の話をしているようだった。
「いずれは、俺だってそうしたいけど」
潤が、僕のお尻の育成について抱負を語ったようだ。潤は、僕を、ゆっくり育てるつもりらしい。
「また、遊びに来るわけにもいかないだろう?」
対して、譲の方は、僕のお尻を、早急に今日にも開発したいようだった。
「どうして?」
潤が兄に尋ねる。
「潤が来ると家がカオスになるから」
「俺が帰って来ない方がいいってこと?」
潤が不安そうに尋ねた。
「しばらく、その方がいいかもなあ、おふくろの体調を考えると」
譲が思案した。
「俺が帰って来ないと悲しまれるし」
潤は異を唱えた。
「いや、さすがに親父も母さんをほっとかないだろう」
譲は、父親に対して希望的観測をしているようだった。
「譲は、僕がいないと寂しいでしょ?  できなくて」
潤は、不安気に尋ねた。
「ああ。でも、試合や試験もあるし、トレーニングや勉強もしないとまずいからな。お前の尻に突っ込んでばっかりいるわけにもいかない」
そういえば、潤が『譲は、要領がいい』と言っていた。こんなめちゃくちゃな私生活でも、学業と趣味、頭脳と身体のトレーニング、とバランスがとれた生活をしているようだった。友達や後輩という話もでてくるから、友人も多いようだった。
「兄さん、就職するの?」
潤がそんな譲に聞いた。
「一応、そのつもり。文系で進学しても労多くして、で、日本じゃ、あまり評価されないからな。それに、まだ潤が大学いかないとならないから。三人学生ってのは、きついだろうし」
譲が答えた。
「兄さんが、仕事するようになったら、もう、あんまりかまってもらえないよね?」
潤が、心配そうに尋ねた。
「潤だって、来年受験だし、大学生になれば、新しい友達ができるから、たぶん潤の方が、俺のことなんてかまわなくなるぜ?」
譲も、ちょっぴり、感傷的になっている様子で答えた。
「寂しいなあ」
潤は、とても不安そうで落ち着かなげだった。
「瑤君がいるだろう?」
譲がベーコンの塊に喰いつきながら言った。
「瑤だって、高校出たら同じ大学に行くか、わからないもん。たぶん離れ離れになっちゃうよ」
潤は心細そうだった。
「潤のことだから、すぐ見つかるだろ、相手なんか」
僕は、ああそうだな。潤との関係も永遠じゃないんだよなと思って、今のひと時が、とても貴重に思えた。今のうちに、潤の美しさを目に焼き付けておこうと思った。
 目だけじゃない、五感すべてで潤のことを覚えておこうと思った。
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