潤 閉ざされた楽園

リリーブルー

文字の大きさ
上 下
64 / 366
第九章 再び潤の部屋にて

潤の常識

しおりを挟む
「いや、いくらリラックスっていっても、ヌーディストビーチや裸族じゃないんだから、人間なら服は着るもんだぜ。原始人だって腰布くらいするからな」
譲が従弟の潤に忠告した。
「蛇足ながら、この家にいる人全員、潤を狙っていると思います」
僕も、つっこんでおきたくて進言した。
「うーん……わかったよ」
潤は渋々承知した。
「夏じゃないんだから、着ないと風邪ひくぞ」
大洗氏も言った。
「夏にならないかな」
潤が、クローゼットの中身を物色しながら言った。
「南の島にでも移住しろよ」
譲が、あきれたように言った。
「いいねえ、それ」
潤はパンツを履きながら同意した。
「南の島に行っても腰布は巻け。尻は隠せ。でないと、お前、犯されまくるだけだから」
「えー、嫌だ、そんなの」
「嫌って、腰布を巻くのが? それとも、犯されるのが?」
「後者だよ、決まってるでしょ」
「いや、潤、そういうの好きなのかと思って。いまいちわからないんだよね」
「もう! 好きなわけじゃないって、いつも言ってるでしょ!」
潤が怒った。
「そのわりに、興奮するからさ」
譲が言った。
「それは、シチュエーションプレイの話でしょ」
潤が答えた。
「プレイでも本気で嫌なときもあるんだよ。まして、ほんとに犯されたいとか思う人間なんかいないから!」
「そりゃそうだよな。悪かったよ」
「兄さんはドSで変態だからな」
「いっしょに育った弟同然の従弟と寝てる時点で変態かもしれないけど、それ言ったら、親父なんか、息子同然の甥ととかヤバすぎだろ。息子でなくて甥でもだめだから。養育者な時点でだめだから」
譲が、ツッコミを入れた。自分より悪い例をおじ様に見いだして安心しているようだ。
「兄さんって、僕の父様と寝た?」
潤が譲に尋ねた。
「えっ? また、何でいきなりそんな質問するんだよ。そんなことするわけないだろ」
「叔父様が、昔、息子を交換したって言ってたから」
「え? 息子を交換って、いっしょに遊んだり、遊びに連れて行ったり、ってことだろう。それが何で、そんな話になるんだよ」
「そうなの?」
潤は、よくわからないというように叔父様の顔を見た。 
「遊んだり……。うん、まあ、そうか……」
おじ様から解答を得られなかった潤は一人でぶつぶつ、つぶやいた。
「あとさ、夫婦交換してたんだって。譲、知ってた?」
潤が、僕の着替えを出してくれながら言った。
「ばか、潤、そういう話、後にしろよ」
譲は、赤くなって言った。大洗氏は、
「私も着替えてから下に行こう」
と出て行った。
「じゃあ、朝食の時に話すね」
潤が譲に言った。譲は、たしなめた。
「それ、朝の食卓の話題じゃないだろ」
「え、だって、さっき後で話せって」
潤は、わけがわからないという風だった。
「スワッピングしてたとか本人の前で言うなってことだよ。というか、聞いてる俺が恥ずかしいんだよ」
譲が、顔を赤くして言った。
「どうして? 本人のいないところで悪口言ったらいけないと思うよ。いいことだって本人の前で言ったほうが嬉しいと思うし。だから本人のいないところで、その人の話するのは、よくないと思う」
潤は、譲の意見には全く同意できないというように言った。
「そういうことじゃなくて、普通、家族で性的な話はしないんだよ」
譲が説明した。
「えー? 家族でやってるのに?」
潤は、驚いて、目を丸くした。
「潤と違って、俺らは実の親子だから」
譲は、言い訳した。
「えー、俺だって叔父と甥だよ? それに交換してたのって、俺の親たちとだよ? だから、本当は、俺たちって、叔父様の子か、父様の子か、どっちかわからないんだって。知ってた?」
潤が、また暴露した。
「誰が、そんなこと言ってた?」
「叔父様だよ」
「そういえば、親父と伯父さんは、嫌に仲良かったよなあ……」
譲は回想しているようだった。
「うん。二人は、恋人同士だったんだって」
潤が、嬉しそうに告げると、譲は、
「はぁ? 何、また寝ぼけたこと言ってるんだ」
と呆れ顔だった。
「愛し合ってたんだって。身も心も」
潤は、目をキラキラさせて言った。
「おいおい、身もって……兄弟で? 俺と昴がってことか……うわっ、怖……ありえねぇ」
譲は、引いていた。
「え? そう? 譲兄と昴兄と俺と三人でしたじゃない?」
譲がいっしょに嬉しがらないことは、潤にとって意外なようだった。
「違うだろ。俺たちは、潤と、したんだ。昴と俺がしたわけじゃない。お前は従弟だからいいんだ」
譲は、潤とは一線を引くような言い方をした。
「そうなの? 俺は、譲とも昴とも、それから叔父様ともしてるよ」
「二代にわたっておかしいってことだな」
譲は、ため息をついた。譲は、潤や親世代のせいにしているようだったが僕から見たら、みんなおかしかった。僕も潤も服を着て三人とも階下へ行った。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです

おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの) BDSM要素はほぼ無し。 甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。 順次スケベパートも追加していきます

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

隠れSubは大好きなDomに跪きたい

みー
BL
⚠️Dom/Subユニバース 一部オリジナル表現があります。 ハイランクDom×ハイランクSub

真・身体検査

RIKUTO
BL
とある男子高校生の身体検査。 特別に選出されたS君は保健室でどんな検査を受けるのだろうか?

大学生はバックヤードで

リリーブルー
BL
大学生がクラブのバックヤードにつれこまれ初体験にあえぐ。

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。 そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

愉快な生活

白鳩 唯斗
BL
王道学園で風紀副委員長を務める主人公のお話。

処理中です...