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第六章 ダイニングにて
ギャルソン
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すっきりしたダイニングルーム。
テーブルは白いリネンで覆われている。
ドレスコード、間違ってる。
僕は、自分のバスローブ姿を見下ろして、申し訳なくなった。
僕は、クラスメイトの潤にうながされて、おずおずと食卓についた。
アイロンのかかった真っ白なテーブルクロス。
食卓の上には、黄色いフリージアの花が飾られている。
クリスタルの小ぶりの花瓶には、腐食技法の細かいエッチング模様が全体に入っていた。
自分の服装のそぐわなさに、僕は、もじもじした。
潤は、僕の正面の席についた。
僕は、助けを求めるように、このお屋敷の、お坊っちゃまを見た。
ところが、潤ときたら、僕よりさらに酷かったのだ。
肌が透けそうなローブの襟は、くたっとして胸がはだけている。
ただでさえミニスカートのように短いローブの丈。裾がめくれてお尻が見えるんじゃないかと思える長さだ。
なのに、椅子の上で膝を抱えている。
さっきの続きで、すねているのだ。
あそこは丸見え。全く目のやり場がない。
それに比べたら僕はまだ、まし?と、ちょっとホッとした。
いや、初めてお邪魔したクラスメイトの実家。お客としては、僕って最低だよね?
だって、服装以前に、これまでのご乱行は、いかがなものかと思うもの。
そんな落ち着かない気持ちでいると、ダイニングルームの奥の戸が開いて、潤の母上が入ってきた。
潤の母上は、料理のお皿を持って来て、僕の前に置いた。
母上は、
「潤さん、脚」
と見咎めた。
潤は脚を椅子から下ろした。
「あなたそれ、もう短いのよ」
母上が潤のバスローブを注意する。
「生地が、着慣れてなじんでるからいいんだ」
潤は、うるさそうに、ふくれっつらをした。
「潤さん、すねてないでお給仕して頂戴」
潤は言われて億劫そうに立ち上がった。
潤に似た母上は、僕に、
「どうぞ、召し上がれ」
と美しい微笑みを浮かべて言った。
「いただきます」
僕は、恐縮して応えた。
潤は、母上と共にキッチンに消えた。
僕は、磨かれた銀のカトラリーを手に取って、あらためて、その重厚さに驚いた。
高校生なのに、一人前の大人のように、丁重に扱われているのが嬉しくもあり、気恥ずかしくもあった。
何しろ僕ときたら、訪れてからさっきまでずっと、この家の息子さんたちの酷いご乱行のお相手をつかまつっていたのだから。
こんな丁重なおもてなしを受けるには相応しくない数々の振る舞い。
今さらながら、自分の行動を振り返って、恥じ入るばかりだった。
ガラスの器に入ったサラダは、色鮮やかな黄緑の春キャベツ。
白いお皿には、ほうれん草のキッシュに、ソーセージが添えられていた。
僕は、キッチンの方から聞こえる二人の話し声に聞き耳を立てた。
譲の言ったことは嘘だろう。
きっと僕が、どぎまぎしているのを面白がって、からかうために、どぎつい冗談を言ったのだ。
本気に受け取った自分のいやらしい妄想が恥ずかしかった。
なんて想像をしてしまったんだ。こんなに何もかも準備してもらっていたのに、変な想像をするわ、息子といやらしい行いをするわ、と思うと、潤の母上に申し訳なかった。
潤が、首の細いグラスとお皿を持って戻ってきた。
潤のお皿には、ぶ厚く切ったハムソーセージが数枚のっていた。
「そのハムソーセージ美味しいよ?」
潤がすすめてくれた。
自分の皿にあったものを、銀のナイフで切って、フォークで口に運ぶ。
脂が舌の熱でとろりととけていく。塩味が効いていて美味しかった。
「俺、好きなんだ」
潤が言う。
「そんな薄切り、せこいよな? もう一枚あげよっか?」
潤が皿を僕に差し出した。
僕はフォークで一枚いただいた。
「譲に見つかると一本まるごと食われるから危険なんだ」
潤は秘密ごとのように言う。
僕は何であれ、潤と秘密を共有するのは嬉しくて、ちょっとワクワクする。
「兄さんなんか物の味なんておかまいなしに馬みたいに食うんだから」
潤は、さも自分は兄とは違って高尚であるかのように言う。
が、潤にしたって僕にしたって、母上から見たら残念な食べ手であるのに変わりはないような気がした。
「そのグラスのものは何なの?」
と、ソーサー型のシャンパングラスに入ったものについて、僕は尋ねた。
「瑤に、ぴったりだよ」
と潤は含み笑いをした。
「なんで?」
「チェリージュースだから」
潤は
「ふふふ」
と笑った。
「あ、怒った?」
「別に」
僕は、ちょっと、むくれる。
潤は、面白そうに、からかいの眼差しで僕を見ている。
潤が解説してくれた。
「そのままだと透明なピンク色できれいなんだけど、甘ったるいからフローズンにしたの」
潤がしたわけじゃなくて、母上がしたんだろう。
「シャーベット?」
「そんな感じ」
潤は答えて、二本のストローを咥えた。
僕は、チェリーのお返しに、
「二本いっぺんに咥えてる」
と言ってやった。
潤は、むせそうになって笑った。
「瑤にも、あとで二本いっぺんに咥えさせてやる!」
「一本でも無理なのに」
僕は笑って遠慮した。
「大丈夫。細いから」
潤が席を立った。
潤は、僕の後ろに来て、頬を撫でた。
「やめろよぉ」
僕は、くすぐったさに首をすくめた。
「ふふふ」
潤は笑っている。
潤と僕が、そんな風に戯れていると、キッチンとダイニングルームの境の戸が開いた。
「潤ちゃん」
と母上の声がした。
「なんで、いつもいい時に邪魔するかなあ」
潤はぶつぶつ言った。
潤は空の皿を下げて、再びキッチンに消えた。
潤が、お皿とパン籠を持って戻ってきた。
お尻が見えそうなエッチなローブ姿を注意されたようだった。
生成りのリネンのギャルソンエプロン姿になっていた。
確かに前は危なげなくなった。
だが、後ろから見ると、いけない。ぎりぎりお尻が見えそうな位置で布が交差している。
余計、見たいような気にさせる姿になっていた。
潤がお皿をテーブルに置いている。
僕は、じろじろと、潤の見えそうで見えないお尻を堪能してやった。
「こんなギャルソンいたら、お尻さわられるよ?」
僕は、たまらず指摘した。
潤は、
「ん?」
と、一生懸命、後ろを見ようとしている。自分の尻尾を追いかけて、くるくる回って遊ぶ子犬みたいだ。
「鏡で見てご覧?」
と僕は言ってあげる。
ダイニングには床から天井まである大きな鏡があった。
潤は鏡に映して、後ろを振り返る。
「あ、お尻見えそう?」
潤は、やっと気づいたようだ。
「そういうこと」
なのに潤は、
「見えてないから平気」
なんて言っている。
まあいいや。
僕は、鏡で潤の前も後ろも見られてラッキー、と思った。
料理は、旬のホワイトアスパラガスに、サーモンが乗っていた。
白ワインのビネガーの酸味の効いたソースと粒胡椒がかかかっている。
僕が、そんなことを、わかったわけじゃない。そのように、お尻の見えそうな危ないギャルソンが解説してくれたのだ。
潤は、パン籠からパンを取って、ソーセージと共に食べていた。
僕が食べ終わると、妖しいギャルソンの潤が、席を立って、皿を下げてくれた。
僕は、潤のいない間、パンを食べた。
トースターでほのかに温まって、バターの香りが芳ばしくなった丸パンだ。
潤がメインディッシュを持ってきた。
「鴨肉の赤ワイン煮でございます」
似非ギャルソンの潤が、うやうやしく言った。
「その緑の、フェンネルだよ、苦いよ、胃薬みたい」
潤が、苦そうな顔して警告した。
けど、食いしん坊な僕は、
「ウイキョウでしょ? 大丈夫」
と答えた。
「パンのおかわりは、いりますか?」
ギャルソンきどりで潤が聞いた。
「はい」
と僕は答えた。
潤は、しばらくいなくなった後、パンとグラスを持って戻ってきた。
「『二本差しは無理、一本も入らない』とおっしゃったので、ストローは、おつけしませんでしたが、よろしいですか?」
と潤が言った。
「ご配慮、ありがとうございます」
と僕は笑って答えた。
潤は、
「フローズンにしなかった。クラッシュアイスを入れただけ」
と言ってシャンパングラスを差し出した。
差し出されたシャンパングラスの液体は、透明なクリスタルを透してルビー色に輝いていた。
細い脚のついた丸い浅いグラスの縁には、スライスした鮮やかな黄色いレモンが飾ってあった。
「甘ったるいから、レモン入れたら美味しいよ」
と潤が言った。
僕は、鴨肉とパンを平らげた後、潤といっしょに、チェリージュースを飲んだ。
「よかった、瑤と食事できて」
潤は満足したように、にっこりした。
「ああ、いっしょに食べたかったのにって、残念がってたもんね」
僕も微笑み返す。
「うん。かえって、俺が先に食べてたのが良かったかもしれない。瑤に給仕できたから」
潤が嬉しそうに笑顔を見せた。
「うん、僕も、潤に給仕してもらって、楽しかった。おもてなしありがとう」
僕も、嬉しかった。
僕は、冷えた、さくらんぼジュースを口にして、
「これ、甘ったるくないよ? 酸味が効いてるし」
と伝えた。
「そう? よかった」
二本ストローから唇を離した潤が微笑んだ。
テーブルは白いリネンで覆われている。
ドレスコード、間違ってる。
僕は、自分のバスローブ姿を見下ろして、申し訳なくなった。
僕は、クラスメイトの潤にうながされて、おずおずと食卓についた。
アイロンのかかった真っ白なテーブルクロス。
食卓の上には、黄色いフリージアの花が飾られている。
クリスタルの小ぶりの花瓶には、腐食技法の細かいエッチング模様が全体に入っていた。
自分の服装のそぐわなさに、僕は、もじもじした。
潤は、僕の正面の席についた。
僕は、助けを求めるように、このお屋敷の、お坊っちゃまを見た。
ところが、潤ときたら、僕よりさらに酷かったのだ。
肌が透けそうなローブの襟は、くたっとして胸がはだけている。
ただでさえミニスカートのように短いローブの丈。裾がめくれてお尻が見えるんじゃないかと思える長さだ。
なのに、椅子の上で膝を抱えている。
さっきの続きで、すねているのだ。
あそこは丸見え。全く目のやり場がない。
それに比べたら僕はまだ、まし?と、ちょっとホッとした。
いや、初めてお邪魔したクラスメイトの実家。お客としては、僕って最低だよね?
だって、服装以前に、これまでのご乱行は、いかがなものかと思うもの。
そんな落ち着かない気持ちでいると、ダイニングルームの奥の戸が開いて、潤の母上が入ってきた。
潤の母上は、料理のお皿を持って来て、僕の前に置いた。
母上は、
「潤さん、脚」
と見咎めた。
潤は脚を椅子から下ろした。
「あなたそれ、もう短いのよ」
母上が潤のバスローブを注意する。
「生地が、着慣れてなじんでるからいいんだ」
潤は、うるさそうに、ふくれっつらをした。
「潤さん、すねてないでお給仕して頂戴」
潤は言われて億劫そうに立ち上がった。
潤に似た母上は、僕に、
「どうぞ、召し上がれ」
と美しい微笑みを浮かべて言った。
「いただきます」
僕は、恐縮して応えた。
潤は、母上と共にキッチンに消えた。
僕は、磨かれた銀のカトラリーを手に取って、あらためて、その重厚さに驚いた。
高校生なのに、一人前の大人のように、丁重に扱われているのが嬉しくもあり、気恥ずかしくもあった。
何しろ僕ときたら、訪れてからさっきまでずっと、この家の息子さんたちの酷いご乱行のお相手をつかまつっていたのだから。
こんな丁重なおもてなしを受けるには相応しくない数々の振る舞い。
今さらながら、自分の行動を振り返って、恥じ入るばかりだった。
ガラスの器に入ったサラダは、色鮮やかな黄緑の春キャベツ。
白いお皿には、ほうれん草のキッシュに、ソーセージが添えられていた。
僕は、キッチンの方から聞こえる二人の話し声に聞き耳を立てた。
譲の言ったことは嘘だろう。
きっと僕が、どぎまぎしているのを面白がって、からかうために、どぎつい冗談を言ったのだ。
本気に受け取った自分のいやらしい妄想が恥ずかしかった。
なんて想像をしてしまったんだ。こんなに何もかも準備してもらっていたのに、変な想像をするわ、息子といやらしい行いをするわ、と思うと、潤の母上に申し訳なかった。
潤が、首の細いグラスとお皿を持って戻ってきた。
潤のお皿には、ぶ厚く切ったハムソーセージが数枚のっていた。
「そのハムソーセージ美味しいよ?」
潤がすすめてくれた。
自分の皿にあったものを、銀のナイフで切って、フォークで口に運ぶ。
脂が舌の熱でとろりととけていく。塩味が効いていて美味しかった。
「俺、好きなんだ」
潤が言う。
「そんな薄切り、せこいよな? もう一枚あげよっか?」
潤が皿を僕に差し出した。
僕はフォークで一枚いただいた。
「譲に見つかると一本まるごと食われるから危険なんだ」
潤は秘密ごとのように言う。
僕は何であれ、潤と秘密を共有するのは嬉しくて、ちょっとワクワクする。
「兄さんなんか物の味なんておかまいなしに馬みたいに食うんだから」
潤は、さも自分は兄とは違って高尚であるかのように言う。
が、潤にしたって僕にしたって、母上から見たら残念な食べ手であるのに変わりはないような気がした。
「そのグラスのものは何なの?」
と、ソーサー型のシャンパングラスに入ったものについて、僕は尋ねた。
「瑤に、ぴったりだよ」
と潤は含み笑いをした。
「なんで?」
「チェリージュースだから」
潤は
「ふふふ」
と笑った。
「あ、怒った?」
「別に」
僕は、ちょっと、むくれる。
潤は、面白そうに、からかいの眼差しで僕を見ている。
潤が解説してくれた。
「そのままだと透明なピンク色できれいなんだけど、甘ったるいからフローズンにしたの」
潤がしたわけじゃなくて、母上がしたんだろう。
「シャーベット?」
「そんな感じ」
潤は答えて、二本のストローを咥えた。
僕は、チェリーのお返しに、
「二本いっぺんに咥えてる」
と言ってやった。
潤は、むせそうになって笑った。
「瑤にも、あとで二本いっぺんに咥えさせてやる!」
「一本でも無理なのに」
僕は笑って遠慮した。
「大丈夫。細いから」
潤が席を立った。
潤は、僕の後ろに来て、頬を撫でた。
「やめろよぉ」
僕は、くすぐったさに首をすくめた。
「ふふふ」
潤は笑っている。
潤と僕が、そんな風に戯れていると、キッチンとダイニングルームの境の戸が開いた。
「潤ちゃん」
と母上の声がした。
「なんで、いつもいい時に邪魔するかなあ」
潤はぶつぶつ言った。
潤は空の皿を下げて、再びキッチンに消えた。
潤が、お皿とパン籠を持って戻ってきた。
お尻が見えそうなエッチなローブ姿を注意されたようだった。
生成りのリネンのギャルソンエプロン姿になっていた。
確かに前は危なげなくなった。
だが、後ろから見ると、いけない。ぎりぎりお尻が見えそうな位置で布が交差している。
余計、見たいような気にさせる姿になっていた。
潤がお皿をテーブルに置いている。
僕は、じろじろと、潤の見えそうで見えないお尻を堪能してやった。
「こんなギャルソンいたら、お尻さわられるよ?」
僕は、たまらず指摘した。
潤は、
「ん?」
と、一生懸命、後ろを見ようとしている。自分の尻尾を追いかけて、くるくる回って遊ぶ子犬みたいだ。
「鏡で見てご覧?」
と僕は言ってあげる。
ダイニングには床から天井まである大きな鏡があった。
潤は鏡に映して、後ろを振り返る。
「あ、お尻見えそう?」
潤は、やっと気づいたようだ。
「そういうこと」
なのに潤は、
「見えてないから平気」
なんて言っている。
まあいいや。
僕は、鏡で潤の前も後ろも見られてラッキー、と思った。
料理は、旬のホワイトアスパラガスに、サーモンが乗っていた。
白ワインのビネガーの酸味の効いたソースと粒胡椒がかかかっている。
僕が、そんなことを、わかったわけじゃない。そのように、お尻の見えそうな危ないギャルソンが解説してくれたのだ。
潤は、パン籠からパンを取って、ソーセージと共に食べていた。
僕が食べ終わると、妖しいギャルソンの潤が、席を立って、皿を下げてくれた。
僕は、潤のいない間、パンを食べた。
トースターでほのかに温まって、バターの香りが芳ばしくなった丸パンだ。
潤がメインディッシュを持ってきた。
「鴨肉の赤ワイン煮でございます」
似非ギャルソンの潤が、うやうやしく言った。
「その緑の、フェンネルだよ、苦いよ、胃薬みたい」
潤が、苦そうな顔して警告した。
けど、食いしん坊な僕は、
「ウイキョウでしょ? 大丈夫」
と答えた。
「パンのおかわりは、いりますか?」
ギャルソンきどりで潤が聞いた。
「はい」
と僕は答えた。
潤は、しばらくいなくなった後、パンとグラスを持って戻ってきた。
「『二本差しは無理、一本も入らない』とおっしゃったので、ストローは、おつけしませんでしたが、よろしいですか?」
と潤が言った。
「ご配慮、ありがとうございます」
と僕は笑って答えた。
潤は、
「フローズンにしなかった。クラッシュアイスを入れただけ」
と言ってシャンパングラスを差し出した。
差し出されたシャンパングラスの液体は、透明なクリスタルを透してルビー色に輝いていた。
細い脚のついた丸い浅いグラスの縁には、スライスした鮮やかな黄色いレモンが飾ってあった。
「甘ったるいから、レモン入れたら美味しいよ」
と潤が言った。
僕は、鴨肉とパンを平らげた後、潤といっしょに、チェリージュースを飲んだ。
「よかった、瑤と食事できて」
潤は満足したように、にっこりした。
「ああ、いっしょに食べたかったのにって、残念がってたもんね」
僕も微笑み返す。
「うん。かえって、俺が先に食べてたのが良かったかもしれない。瑤に給仕できたから」
潤が嬉しそうに笑顔を見せた。
「うん、僕も、潤に給仕してもらって、楽しかった。おもてなしありがとう」
僕も、嬉しかった。
僕は、冷えた、さくらんぼジュースを口にして、
「これ、甘ったるくないよ? 酸味が効いてるし」
と伝えた。
「そう? よかった」
二本ストローから唇を離した潤が微笑んだ。
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