潤 閉ざされた楽園

リリーブルー

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第四章 お邸の玄関と洗面所にて

犬になる僕

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「可愛いね、ヨウ君、子犬みたい」
「んっ、んっ、潤……」
「こんな姿、潤に見られたら、どうしようね?  勝手にお尻開発されちゃって、初々しい、一番、いいとこ俺に取られちゃって、悔しがるかな?」
「やめ、やめて」
「今さら後悔してるの? 本当は、潤は、そんなこと気にしないけどね。あいつは何も感じないから。悲しみも何も感じないんだ。サーモスタットが壊れてるからね」
「潤……」
僕は、潤を求めて、譲の快楽の責めから逃れるために、這いつくばりながら戸に手をかけて、戸を開けて外へ出ようとした。しかし、手かけに届かないので、引き戸は開かなかった。
「おや? 外へ出るの? いいよ。このまま、子犬みたいに、外に出ても。露出癖のある、ヨウ君」
「違いますっ」
僕は、戸から手を離した。
「そうかなあ? さっきも、庭の噴水のところで、潤とやってただろう?」
譲が四つん這いの僕の背を優しく撫でて言った。
「どうして……それを?」
潤は、家から見えないって言ったのに。
「庭は、二階から丸見えなんだよ?」
「潤が、見えないって……言ってたから」
譲の指が浅く、ゆっくり動いていた。
「潤は、露出癖があるんだ。皆が見ているのを知っててやってるんだ」
「皆が?」
「まあ、上からだから、そんなに見えたわけでもない」
「手で、された、だけ」
僕は、お尻の快感で、途切れ途切れになって言った。
「もったいない、俺がしゃぶってやりたかった」
「みんなって、だれ?」
「あの場所、おやじやおふくろの部屋からも見えるんだよ。もちろん見ようと思えばって話だけどね」
僕は、万が一、見られていたかと思うと、とても恥ずかしかった。
「あっ、また、指が吸い込まれそう。興奮してるね?  見られたかもって思って感じちゃったんだ?」
「あっ、ああん」

「コンコンコン」
と引き戸がノックされた。
「潤です」
潤の声がした。譲が、僕のお尻から、指を抜いて、洗面台で、手を洗った。
「んっ、ん」
僕は、快感を求めて、床で呻いた。
「開けて」
潤の声が言った。
「瑤君、開けてあげなよ」
譲が、僕をうながした。僕は、立ち上がって引き戸を開けた。潤が、黒いエプロン姿で、お皿とグラスを持って立っていた。
「瑤、大丈夫? 」
飢えていた僕は、食べ物の匂いを嗅いで、食べ物を見て、目がくらんで、皿ごと食べそうになった。
「ワン!」
「何言ってるの、瑤、犬?」
潤が笑った。
「グラス持ってよ」
「わわわわわーん」
僕は、受け取って、ストローに口をつけた。
「なんなの、その犬語」
潤は、お皿を洗面台に置いた。その時、僕は、重大な事実に気づいた! 裸エプロン!
「わわわわ、わわわわ、うわわわ!」
「瑤、こぼれる!」
潤にグラスを取り上げられ、洗面台に置かれた。
「おあずけ」
「くぅーん、くぅーん、うわわわん!ばうわう!」
僕は夢中で、潤に飛びついた。
「この犬どうにかしてよ」
譲が、
「お前、何、その格好」
と潤に言って、潤のエプロンの裾をめくった。
「エッチ!」
「なんだ、履いてるのか」
「パンツくらい履いてるよ。この格好で夕飯食べてたんだから」
「まじ? やめろよ」
「だって、制服、クリーニングに出されたから」
「ワイシャツくらい着てろよ」
「シャツも出されたんだよ。だから、裸で食べてたら、服を着ろって注意されて、面倒って言ったら、エプロン渡された」
「裸族だな、お前は」
「わわわわん!」
「犬が発情してるし」
僕は、前足で、潤のエプロンをひっかいた。
「はっ、はっ、はっ」
「お手」
僕は潤の手に前足をのせた。
「ちんちん」
「くぅーん」
僕は、恥ずかしがった。
「この犬、意味間違えてる。あそこ見せることだと思ってるな?  見えるけど」
「うわわーん」
僕がちゃんとちんちんをすると、ジュースが与えられた。
僕が飲んでいると、譲が、潤のパンツをずり下げた。
「ケツ白い」
「ちょっと! いつも見てるくせに」
「いいなあ、この半ケツ状態」
などと言って、潤のお尻を観察した。
「この、エプロンの紐が、尻にかかってるのがいい」
「脱がすのか、履かせるのか、どっちかにして」
「そりゃ、脱がすさ」
譲が、潤のパンツの中に手を入れてお尻を撫でた。僕は、横から覗き込んでいた。
「あっ、ああーん」
「わざとらしいな。洋講堂喫茶室で、そういうエッチなバイトしてるんだろ」
「こんな格好してないよ」
「すれば? 繁盛するぜ?」
「いいの?」
「やっぱり、だめ」
譲が、出て行こうとした。
「あれ? 譲、行っちゃうの? 三人でお風呂入るんじゃないの?」
「狭いだろう? いいよ、俺、レポート書かなきゃならないし。二人で、仲良くしろよ、またな、おやすみ」
譲は、出て行った。
「変なの。譲、何か、やましいことがあるな? 瑤に、何かしたんでしょ?」
「わわーん」
「だから、何それ。譲と犬ごっこでもしてたの?」
潤が、僕から、グレープフルーツジュースを奪った。潤は、ストローをゴミ箱に捨てて、グラスに口をつけた。ジュースを口に含むと、僕に口移しした。僕の顎を、こぼれたジュースが伝った。こぼれたジュースを、潤が舐めとった。僕はジュースを飲み込んで呼んだ。
「潤!」
「あ、なおった!」
潤は、グラスを洗面台に置いて僕と抱き合った。
「犬病がなおったね」
「譲に、犬になる魔法をかけられたの」
と僕が言った。
「そうなんだ?」
潤が笑った。
「食べない?」
潤が、お皿からカナッペを取って、差し出した。
「これ、ウニのムースだよ」
「食べるワン!」
「なんで犬なの?  裸だから?」
「立って食べてるから」
「椅子に座って」
潤は、片手で、プラスチックの白いスツールに、バスタオルを敷いてくれた。僕は、座って、潤から、食べさせてもらった。
「もう、瑤と夕飯食べるの、楽しみにしてたのに、なかなか来ないから、もう食べちゃったよ?」
「くぅーん」
僕は、潤の手に、頬をすりすりした。
「また、犬だしっ」
カナッペを平らげた後は、海老のサラダでした。そして夏みかんの練乳がけの時に、
「はっ!  潤の精○がかかってる!」
と言って、
「どうして、そういうことだけ、人間語なの?」
と、犬の僕は、叱られた。
「クゥーン」
「食べれば? 俺の精○がけ」
と言って、潤が手づかみで、僕の口に突っ込んできたので、僕は、甘酸っぱい潤の指先をぺろぺろ舐めた。
「はっ、はっ」
「もっと、欲しいの?」
僕は、最後は、潤の指についた甘い練乳を、たくさん舐めた。
「おしまい!」
と言って、潤は、手を洗った。
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