346 / 366
第三章
潤校長 5
しおりを挟む
そして目の前にいるミドルティーンの少年たちを見ると、ぐらぐらした。
自分は、傍目には、もう立派な大人で、地位も名誉もあったけれども、心の一部は、完全に子どもだった。
それが、人々の感じやすい子どもの部分や、現役の子どもたちの心に触れて、交感できる一面もあろうが。
強烈な満たされない寂しさが、身内を襲う時は、思わず自分が自分たちの生徒くらい、あるいはもっと幼い少年であるかのように感じるのだった。
「今でも苦しんでいるの?」
瑤が、潤の手を握ったまま立ち上がって、間近で潤の目を見た。
唇がくっつきそうだ。
キスの予感がした。
子どもたちにされる親愛のキスではなく。
ずっとずっとしていない、封印していたキスの味が思い浮かんだ。
数センチに瑤の唇が迫った時、潤は、はっとして瑤の顔から身を離した。
窓から覗いている四つの目に気づいたからだ。
いつも潤を慕って懐いている、十四歳の寄宿舎住まいの生徒二人だった。
瑤が、潤の視線を追って、窓を見た時、明るい茶色と暗い茶色の頭が、窓の下に引っ込んだ。
「誰?」
瑤が聞いた。
「君と僕みたいな生徒だ。好奇心旺盛で、可愛い」
「可愛い?」
「あ、昔のね。昔の君と僕のように……」
「愛し合っているの?」
「え?」
自分は、傍目には、もう立派な大人で、地位も名誉もあったけれども、心の一部は、完全に子どもだった。
それが、人々の感じやすい子どもの部分や、現役の子どもたちの心に触れて、交感できる一面もあろうが。
強烈な満たされない寂しさが、身内を襲う時は、思わず自分が自分たちの生徒くらい、あるいはもっと幼い少年であるかのように感じるのだった。
「今でも苦しんでいるの?」
瑤が、潤の手を握ったまま立ち上がって、間近で潤の目を見た。
唇がくっつきそうだ。
キスの予感がした。
子どもたちにされる親愛のキスではなく。
ずっとずっとしていない、封印していたキスの味が思い浮かんだ。
数センチに瑤の唇が迫った時、潤は、はっとして瑤の顔から身を離した。
窓から覗いている四つの目に気づいたからだ。
いつも潤を慕って懐いている、十四歳の寄宿舎住まいの生徒二人だった。
瑤が、潤の視線を追って、窓を見た時、明るい茶色と暗い茶色の頭が、窓の下に引っ込んだ。
「誰?」
瑤が聞いた。
「君と僕みたいな生徒だ。好奇心旺盛で、可愛い」
「可愛い?」
「あ、昔のね。昔の君と僕のように……」
「愛し合っているの?」
「え?」
0
お気に入りに追加
276
あなたにおすすめの小説
平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです
おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの)
BDSM要素はほぼ無し。
甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。
順次スケベパートも追加していきます
塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。
身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる