344 / 366
第三章
潤校長 3
しおりを挟む
呆然として立ち上がり立ち尽くす潤を見て、瑤も立ち上がり歩み寄って言った。
「やっぱり、潤だったんだね?」
瑤は、にっこり笑って潤の手を取った。
「潤のこと、忘れたことはなかったよ」
瑤は、潤の手をかたく握りしめた。
「あの時は、申し訳なかった。母が、逆上してしまって」
瑤は、悲しそうな顔をした。
「ずっと、そのこと、謝りたかったんだ」
「謝る?」
「身寄りのない潤を追い出したりして。しかも裸のまま、表に放り出すだなんてそんな虐待。本当に申し訳なかった。母は、ひどいことをしたと悔いている。僕からも謝る」
瑤は、潤の手を取ったまま、床に膝をついて謝罪した。
「あのあと、潤が、どんなつらい思いをしたかと思うと……。到底僕を、僕らを許せないと思うけれども」
潤の胸に、むらむらした思いが湧いてきた。
「そうだね……あの後のひどい生活を思うと、到底、君を許す気にはなれない」
「……だよね」
瑤は、悲しそうにうなだれた。
「僕は、好きだった。潤のことが、好きだった。でも、潤にとっては、あの時のことも、みんな、悲しい思い出なんだね?」
「あの時?」
「うん。子ども部屋でした、あのこと」
瑤の顔が真っ赤になった。
立派な男になった今でも、少年の日に間近で睦みあった時に見た、長いまつ毛、ぱっちりした目、小さな唇は、そのままだった。
「やっぱり、潤だったんだね?」
瑤は、にっこり笑って潤の手を取った。
「潤のこと、忘れたことはなかったよ」
瑤は、潤の手をかたく握りしめた。
「あの時は、申し訳なかった。母が、逆上してしまって」
瑤は、悲しそうな顔をした。
「ずっと、そのこと、謝りたかったんだ」
「謝る?」
「身寄りのない潤を追い出したりして。しかも裸のまま、表に放り出すだなんてそんな虐待。本当に申し訳なかった。母は、ひどいことをしたと悔いている。僕からも謝る」
瑤は、潤の手を取ったまま、床に膝をついて謝罪した。
「あのあと、潤が、どんなつらい思いをしたかと思うと……。到底僕を、僕らを許せないと思うけれども」
潤の胸に、むらむらした思いが湧いてきた。
「そうだね……あの後のひどい生活を思うと、到底、君を許す気にはなれない」
「……だよね」
瑤は、悲しそうにうなだれた。
「僕は、好きだった。潤のことが、好きだった。でも、潤にとっては、あの時のことも、みんな、悲しい思い出なんだね?」
「あの時?」
「うん。子ども部屋でした、あのこと」
瑤の顔が真っ赤になった。
立派な男になった今でも、少年の日に間近で睦みあった時に見た、長いまつ毛、ぱっちりした目、小さな唇は、そのままだった。
0
お気に入りに追加
276
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。
塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
双葉病院小児病棟
moa
キャラ文芸
ここは双葉病院小児病棟。
病気と闘う子供たち、その病気を治すお医者さんたちの物語。
この双葉病院小児病棟には重い病気から身近な病気、たくさんの幅広い病気の子供たちが入院してきます。
すぐに治って退院していく子もいればそうでない子もいる。
メンタル面のケアも大事になってくる。
当病院は親の付き添いありでの入院は禁止とされています。
親がいると子供たちは甘えてしまうため、あえて離して治療するという方針。
【集中して治療をして早く治す】
それがこの病院のモットーです。
※この物語はフィクションです。
実際の病院、治療とは異なることもあると思いますが暖かい目で見ていただけると幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる